米国の補助金:サムスン・TSMCへ全額支給は無理
US subsidy: impossible to pay the full amount to Samsung/TSMC
美國補貼:不可能全額支付三星/台積電
・予算280億ドルに対し、申請額が700億ドル
・米商務省は3月末までに、支給金額発表
勝又壽良のワールドビュー掲載記事からSummaryをお届けします。
米国・レモンド商務長官:
2月26日の講演:
米国は、10年後先端半導体のシェア目標を20%に設定した。
バイデン政権の巨額補助金:
1.補助金総額280億ドルに対し、申請額は700億ドルに達した。
2.補助金、融資、融資保証の組み合わせで、交付されるとのこと。
この金額では、全プロジェクト費用の15%しかカバーできない。
東亜日報(2月28日):
レモンド米商務長官:
投資企業は、’CHIPS法・補助金を受けることは難しい’との見解を示した。
半導体補助金発表を控え、米商務長官がこの発言をした。
サムスン電子やインテルへの補助金:
米政府CHIPS法・補助金の発表期限が迫っている。
1.半導体先端企業が、要求した補助金総額は700億ドルに上る。
2.補助金予算は280億ドルしかない。補助金申請は、その2.5倍だ。
戦略国際問題研究所(CSIS):
2月26日、米CSISが、600通の投資意向書を受け取ったと発表。
先端企業の要求金額だけでも、700億ドルを超える。
TSMCの米国工場建設計画:
予定通りの補助金が得られなければ、日本から輸出せざるを得ない。
TSMCにとって、日本の補助金が、米国との交渉カードである。
これは、TSMCが日本での生産に大きな期待を賭けている証しだ。
TSMC:
アリゾナ州フェニックス近郊に、ファウンドリー工場を建設中だ。
サムスン電子やTSMCの要請:
レモンド商務長官は、補助金希望額の半分を、受け取れても「幸運」だ。
サムスン電子やTSMCに厳しい査定:
サムスンやTSMCは、米国補助金に釣られて、工場建設に着手した。
いまさら、建設中止は不可能だ。米国政府の「作戦勝ち」である。
サムスン電子:
173億ドルを投じて、テキサス州タイラー市にファウンドリー工場を建設中。
CHIPS法・補助金の発表時期:
ブルームバーグによると、
1.米商務省は3月末に、’主要企業向け補助金の規模’を発表する。
2.先進チップ製造支援で、今年中に’12件の補助金の交付’を発表する。
今年11月大統領選挙の影響:
しかし、11月の大統領選挙を控えている。これを考慮することが重要だ。
外国企業が、補助金配分で不利益を被る可能性がある。
日本のTSMC補助金:
TSMCは、日本から半分近い補助金を受け取る。
日本のTSMC補助金は、米国より遥かに巨額だ。
’TSMCの日本への信頼が高まる’のは当然のこと。
TSMC補助金の内訳:
日本政府が、引き続き財政支援計画を発表した。
1.第1工場に、4760億円を補助した。
2.第2工場に、7300億円を追加補助する。
TSMC・両工場で、財政支援は1兆2060億円に達する。
TSMC巨額支援の条件:
日本は、これだけの巨額支援を、無条件で拠出する訳でない。
次の条件を、TSMCに課している。
1)操業条件:10年間は撤収しない。
2)資材調達:製造装置と素材の半分を、日本で調達する。
3)製造目標:半導体供給が難しい状況でも増産する。
上記の3条件で、TSMCに不利となる項目はない。
熊本工場で、成熟品半導体も製造:
熊本第1・第2工場は、主に6ナノ~28ナノ半導体を生産する。
更に、成熟品半導体も製造するのだ。これが、重要な意味を持つ。
中国の成熟品半導体製造:
中国が、成熟品半導体で、世界シェア3割を狙う。
これが、西側諸国にとって脅威になるのだ。
1.中国の先端半導体製造は、米国の輸出規制により抑止された。
2.日本と台湾が、中国・成熟品半導体のシェア上昇を阻止する。
これで、世界の旧世代半導体の安定供給を保証する。
https://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/35166519.html