台湾TSMC:日本の熊本工場が2月24日オープン
Taiwan TSMC: Japan’s Kumamoto factory opens on February 24th
台灣台積電:日本熊本廠2月24日開業
・18ヶ月という最速工期で、第一工場が完成
・TSMCのアリゾナ工場は、2025年以降の見込み
勝又壽良のワールドビュー掲載記事からSummaryをお届けします。
TSMCの熊本工場:
今月、2月24日に開所式を行う。
2022年4月に工事着工以来、18ヶ月という最速で竣工した。
2023年末に、機械搬入を開始。24年末に、半導体製品を出荷する。
日本の’鹿島’が熊本工場建設:
熊本工場建設を担ったのは、’鹿島’である。
TSMC熊本工場の建設過程:
この建設スピードは、TSMCの台湾本社を驚愕させた。
建設工事は、新型コロナ禍でも、’異例の24時間体制’で行われた。
熊本県知事の蒲島郁夫氏:
この工事は、’通常なら10年かかる工事である’と聞く。
日本は、熊本工場誘致で出遅れた。
結果的に遅れを取戻して、TSMC米国工場よりも早く操業する。
TSMC創業者である張忠謀:
昨秋、記者会見で張氏は日本を高く評価した。
1.日本は(半導体製造に)理想的な場所だ。
2.土地や水、電力が豊富で、仕事文化もよい。
TSMCの魏哲家CEO:
2023年12月、TSMCが会合で、取引先首脳を集めた。
熊本工場の建設を担う鹿島などを特別表彰した。
「卓越した貢献に感謝」と発言。
TSMCのアリゾナ州工場
TSMCは、米国アリゾナ州に工場を建設中である。
しかし、アリゾナ州の労働組合との調整が長引く。
2024年末の操業予定が、25年以降にずれ込んだ。
TSMC創業者である張忠謀氏:
張忠謀氏は、次のとおり公言している。
1.米国の労働者は、不器用で勤勉さを欠く。
2.半導体の製造場所として、今一つ物足りない。
日本の半導体事情:
日本は、台湾に比べ潜在的な優位性が存在する。それは、次の3点に要約される。
(1)水資源・工業用地・電力などが豊富
日本の水資源は豊富:
日本の水資源は、台湾に比べ豊富である。
年間降雨量は、日本が台湾の6.4倍、韓国の6.2倍もある。
台湾の水資源は貧弱:
台湾の水資源の8割は、台風によってもたらされている。
台風が1回も襲来しなかった2021年は、大変な「水飢饉」となった。
台湾で半導体がつくれないという騒ぎが起こった。
日本は、地下水が豊富であるから、そのような懸念はない。
(2)日本では専門技術者が豊富
台湾での技術者確保:
台湾は、兵役に服するか半導体技術者になるかという選択を課している。
台湾政府が、半導体技術者養成に力を入れている証拠だ。
1.総人口は2342万人(2023年)と日本の5分の1である。
2.今後台湾は、半導体技術者の確保で、限界に突き当たる。
日本では、多くの大学が半導体技術者を養成(=工学部電子工学科)している。
(3)日本の設備・素材の技術水準
日本は、1980年代に世界の半導体で5割強の生産シェアを誇った。
半導体製造設備から半導体素材まで、ワンセットで先端技術を蓄えている。
TSMCの筑波研究所
TSMCは、筑波市に研究所を設けている。
日本の半導体素材メーカーと、最先端の半導体研究に参加している。
TSMCが、もっとも信頼できる国は、日本をおいてほかにない。
Rapidusの千歳工場
’鹿島’は、Rapidusの北海道・千歳工場も建設する。
2023年9月、Rapidusは起工式を済ませた。
2025年4月、2nanoの次世代半導体試作品を発表する。
2027年から、量産化開始という過密スケジュール。
日本の半導体生産計画:
現在、日本の半導体生産シェアは、10%しかない。
だが、日本は、潜在的な半導体生産能力を活用できる。
ラピダスは、従来の日本の半導体計画と異なる。
米国IBMやiMEC研究所と提携し、一挙に2nano半導体を実現する。
日本は、過去の挫折を踏まえて、慎重な計画に基づいているのだ。
https://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/34958684.html