月探査機SLIM:月面ドッグラン撮影を完了! Lunar probe SLIM: Completed lunar dog run photography! 月球探測器SLIM:完成月球狗跑攝影!

今回観測した岩石(©JAXA、立命館大学、会津大学)

月探査機SLIM:月面ドッグラン撮影を完了!
Lunar probe SLIM: Completed lunar dog run photography!
月球探測器SLIM:完成月球狗跑攝影!

・13カ所、333枚のフルスキャン画像を地球送信

・月と地球のカンラン石を比較、月の起源調査へ

JAXA研究所掲載記事からSummaryをお届けします。

小型月着陸実証機 SLIM:高精度着陸と軽量化を実現するための技術 - Small lunar landing demonstrating mission, SLIM: Tech for high-precision landing and weight reduction - | 宇宙科学研究所

宇宙科学研究所:会津大学:立命館大学

SLIMのマルチバンド分光カメラ(MBC)が 10バンド分光撮像に成功した。

SLIM観測画像を公開:

JAXAが、’SLIMの電力回復後の観測画像’を一部公開した。

当初期待していたより、多くの岩石を観測できた。

20240201_1a.png

SLIM搭載MBCの画像(図1-1)

着陸直後のドッグランエリア(月面スキャン撮像のモザイク画像)

20240201_1b.png

SLIM搭載MBCの画像(図1-2)

電力回復直後のドッグランエリア(モザイク画像)

太陽の方向が逆転し、東から西に変わった。

そのため、2つの画像で、影の射す方角が異なる。

20240201_02.png

10バンド詳細観測した岩石(図2)

日射条件が異なったために、観測対象の岩石を一部変更および追加した。

20240201_03.png

’あきたいぬ’を観測3

電力回復後に、’あきたいぬ’を、近赤外線(波長1.65μm)で観測。

MBCのオートフォーカス機能:

フォーカスをあわせることで距離を測定できる。

距離がわかると、岩石の大きさも計算することができる。

’あきたいぬ’までの距離は18m、横幅は63cmであることが判明。

20240201_4.jpg

SLIMチームとMBCチーム(図4)

MBCでの観測を完遂:

1.SLIM電力回復後、フルスキャン画像333枚を波長を変えて、2回撮影。

2.岩石やレゴリスの高解像度10バンド観測を、13カ所で実施。

データをもとに、岩石の判別と鉱物の化学組成の解析を進める。

科学的成果が得られ次第、発表する。

https://www.isas.jaxa.jp/topics/003674.html

小惑星の破片がシャワーのように次々に月と地球を襲った様子の想像図(大阪大学提供)

月の起源調査月と地球のカンラン石を比較

SLIMが、’重力天体への高精度着陸’に成功した。

ISAS/JAXA は、月の起源の調査を開始する。

SLIM: (Smart Lander for Investigating Moon)

将来の月惑星探査に必要な’高精度着陸’を、SLIMが実証。

SLIMの実現で、’月よりも重量制約の厳しい惑星への着陸’も現実になる。

はやぶさ2・挑戦の先へ:/下 「300億円」予算限られ | 毎日新聞

月面からのサンプルリターン:

また、将来月面からのサンプルリターンを実施する場合。

1.月面からSLIM級のリターン機を打ち上げれば、

2.’はやぶさ’のカプセルを、地球に送ることができる。

月マントル組成の不均質の地質学的証拠を世界で初めて明らかに | 論文へのGATEWAY | 宇宙科学研究所 研究情報ポータル あいさすGATE

月の形成と進化の謎を解く:

月は’ジャイアントインパクトで形成された’とする説がある。

この場合、マントル組成(=月の90%)は、地球と似た組成となる。

1.マントルは月内部の物質である。

2.月面で、マントル組成を直接調べるのは難しい。

3.マントルが、’月表面に露出した場所を調べること’が重要。

月は地球から分離した」は本当か、いよいよ両者のマントル組成を直接比較–日本の月面着陸機SLIM - UchuBiz

ピンポイント着陸の重要性:

クレーター近くには、’マントル由来と考えられる物質’が露出している。

SLIMは、クレーター付近にピンポイント着陸し、その場観測した。

クレーター内部および周辺:

隕石衝突により掘削されたクレーター内部および周辺。

’月内部物質が露出したと考えられる場所’が存在する。

JAXA|月周回衛星「かぐや(SELENE)」が明らかにした月内部からのカンラン石の全球表面分布とその起源

月周回衛星「かぐや」が重要な発見:

月周回衛星「かぐや」の重要な発見の一つ。

月表面に’マントル由来と考えられる物質が露出している場所’を発見した。

かんらん石」は上部マントルの主要構成鉱物|海洋研究開発機構(JAMSTEC) 高知コア研究所

月と地球のカンラン石を比較:

具体的には「カンラン石」と呼ばれるマントル物質を含んだ岩がある。

カンラン石とは:

原始の月が、まだ熱を持ち溶けている時代。

比重が大きく月マントル内部に沈んでしまった物質(参照図)

カンラン石の組成を地球のものと比較し、月の形成と進化の謎に迫る。

Multi-Band CameraMBCの重要性

SLIMは、カンラン石の組成を調べるのだ。

そのためにMulti-Band CameraMBCを搭載した。

MBCの機能:

1.月面における太陽光の反射光を分光し(=虹色のように分け)

2.それぞれの波長での、光の強さを調べる

今後、カンラン石の組成を決定することを目指す。

https://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/science/index.html