フォトエレクトロンソウル:大型加速器の電子銃を小型化(動画):
Photoelectron Soul: Miniaturize the electron gun of a large accelerator:
光电子之魂:大型加速器电子枪小型化:
ー電子ビームを照射する電子銃ー
SPring-8
巨大な電子銃大型放射光施設(SPring-8)に代表される大型加速器。
SPring-8には「電子ビームを照射する巨大な電子銃」が搭載されている。
大型の加速器:
大型の加速器は、
- 電子や陽子などの粒子を、
- 光の速度近くまで加速して、
- 高エネルギー状態を作り出す。
「宇宙の根源に迫ったり、たんぱく質の立体構造を解明する」ために利用される。
名古屋大学ベンチャー
フォトエレクトロンソウルこの大型高出力の電子銃を小型化した。
光源を小型化し、“半世紀ぶり”に革新を起こした。
半導体検査装置や電子顕微鏡、表面加工への展開を狙う。
微細化する半導体:
電子銃から照射する電子ビームは、ナノレベルの加工や検査に不可欠。
特に微細化が進む半導体に関しては、重要度が高まっている。
同社が応用先に目を付けたのは、「半導体のシリコンウエハーの欠陥検査プロセス」だ。
半導体製造の前工程:
「成膜や露光を行うシリコンウエハーに、異常がないか」を検査する工程。
「異常は、ゴミなどに起因して発生する」ため、発生箇所がランダムだ。
フォトエレクトロンソウル
鈴木孝征社長現在の問題点:
現在、「主流の電界放出(FE)型では、検査時間が16時間もかかる」と指摘する。
電子銃の問題点を解消:
「電子銃の標準方式である熱電子放出型とFE型」には弱点がある。
「試料に照射するプローブ電流と、光源サイズのトレードオフ」が生じる点だ。
熱電子放出型:
熱電子放出型では、電流を大きくすることができるが、光源サイズが大きい。電界放出(FE)型:
FE型はその逆で、電流は小さくなるが、光源サイズをナノレベルまで小さくできる。高分解能の解析が可能になる。
FE型の課題:
50年以上前に生まれたFE型。
熱電子放出型よりも、光源サイズの小さい電子ビームを照射できる革新を起こした。
しかし、微細世界の限界や、時間的なコストの課題が起こっていた。
「半導体フォトカソード」方式:
同社は「半導体フォトカソード」という方式の電子銃を用いている。
微細検査の効率化を実現:
半導体フォトカソードは、
- 高エネルギーの加速器を使い、
- 素粒子や原子核の性質や振る舞いを、
- 観察する際に用いられてきた。
6分の1に小型化:
- 「ビッグバン」状態を作りだすため、
- 高出力で大型だったことが、
- 今まで、応用面の課題だった。
同社はこれを、従来の6分の1まで小型化することに成功した。
加速器の半導体素材:
また、電子ビームを発生させる内部半導体の劣化が早い点も問題視されていた。
そこで、加速器半導体素材をGaNにした。
劣化を抑え、連続使用時間を大幅に高めた。
電子顕微鏡や金属加工に応用:
パルス光やマルチ電子ビームなど、多様な電子ビームを出せるようになった。
また、半導体の検査時間を大幅に削減した。
照射時間を10分の1に:
「試料に照射される電流量を示すプローブ電流」が、FE方式に比べ10倍以上高い。
照射時間だけなら、単純計算で10分の1にできる。
年間10台の量産開始:
2020年、半導体検査装置の部品に採用されており、年間10台ほどの量産も開始している。
電子顕微鏡の分野:
今後見据えるのは電子顕微鏡の分野だ。
従来、動きのある物体を捉えることが難しかった。
電子銃から出すパルス光を応用することで、連続的に物体を捉えることを目指す。
電池材料、医薬品で活用:
電池材料の金属表面における動きの観察や医薬品などで活用できるとにらむ。
金属加工の分野:
さらには、3Dプリンターをはじめとした金属加工などの分野も視野に入れる。
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