NHK:中国BYDのタイ新工場を視察 NHK: Visit to China’s BYD’s new factory in Thailand NHK:參觀中國比亞迪泰國新工廠

NHK:中国BYDのタイ新工場を見学
NHK: Visit to China’s BYD’s new factory in Thailand
NHK:參觀中國比亞迪泰國新工廠

・タイ新工場が日本車シェアを切り崩す

・バンコクから2時間のタイ東部ラヨーン県

NHK ビジネス特集からSummaryをお届けします。

トヨタの牙城 タイ市場が切り崩される?中国EVの攻勢

EV最大手の中国BYD:

現在、中国メーカーBYDが、タイでEV拡販を図っている。

タイ新工場に取材訪問し、中国の戦略と日本の危機を深掘りした。

タイのBYD 新工場を取材:

2024年7月4日、完成式典を取材した。

1.日本車の牙城を切り崩すのは、BYDの新工場だ。

2.首都バンコクから2時間のタイ東部ラヨーン県に向かった。

BYDのラヨーン工場:

ここを拠点に東南アジア各国にもEVが輸出される。

1.東京ドーム20個分もの広大な敷地に建てられた工場。

2.年間15万台ものEVが生産される計画である。

タイ工場完成式典を取材:

完成式典の取材は当初、中国とタイのメディアだけに限定された。

当初、許可が出なかったが、許可を取ることができた。

生産ラインでのBYDの戦略について詳しくお伝えする。

バンコク中心部での調査:

7月28日の午後5時、ラマ4世通りを走る車を数えてみた。

1.なんと、バンコクでは、100台中81台が日本車である。

2.タイ地方部で見かける車は、ほぼ日本車だけだ。

日本車がタイに進出:

1960年代、 円高で日本メーカーのタイ進出が加速した。

1.タイにトヨタやホンダ、日産、いすゞ自動車などが進出。

2.1985年プラザ合意以降、日本の大手8社が生産拠点を置く。

数多くの部品メーカーも進出してサプライチェーンを構築した。

トヨタのピックアップトラック:

特に日本メーカーが得意なのは、ピックアップトラックだ。

1.タイでは荷台を改造して、乗り合いバスのようにする。

2.農作物や商品を載せたりなどの様々な使い方がある。

力強い走りと頑丈さ、利便性が人気で、新車販売の4割を占める。

トヨタの販売シェア:

トヨタのタイでのシェアは圧倒的。

2023年、市場販売割合は34.3%と、タイでトップを走る。

豊田章男会長のタイへの思いは特別だと言われる。

2000年代初め、現地仕様のピックアップトラックを開発した。

日本車シェアに変化の兆し :

ただタイで、急速に変化の兆しが見られる。

バンコクで生活する私にとって、タクシー配車アプリが欠かせない。

1.最近、車を呼ぶと、中国のEVが来ることが増えている。

2.「AION」「NETA」「MG」など、中国製EVが殆どだ。

中国車シェアが急増:

ここ数年、タイに中国車10社が参入し、EVの販売を開始した。

バンコクの販売ディーラー:

日本車販売店が、中国メーカー店にくら替えする動きがある。

1.日本車シェアは90%だったが、2023年78%にまで低下した。

2.中国車シェアは、2%台から10%へシェアを増加した。

BYD“新たな時代を迎えようとしている”

中国EV工場の建設ラッシュ:

今年に入り、中国メーカーの攻勢は勢いを増している。

長城自動車のタイ工場:

2024年1月中国の長城自動車がタイ工場にEV生産ラインを新設。

中国の「NETA」:

3月には、中国EVブランド「NETA」が現地生産を始めた。

中国の最大手BYD:

そして7月、中国EVの最大手BYDも現地生産を開始した。

BYDの完成式典を取材:

NHKが、工場完成の式典を取材することができた。

中国メディアが、200人式典会場に参加し、熱気が漂っていた。

BYD創業者の王伝福会長:

タイは、自動車生産の新時代を迎えるのだ。

BYDが、タイにEVの技術を持ち込むと宣言した。

BYDの生産現場の取材:

NHKは、生産現場の取材も特別に許可されました。

取材したのはコンパクトEVのドルフィンの組み立てライン。

ドルフィンの組み立てライン:

1.作業員たちの会話は、タイ語に混じって中国語飛び交う。

2.中国技術者たちが、タイ人従業員に作業手順をアドバイス。

工場関係者の説明:

工場内で中国流の製造方法を教え込み、中国化を推し進めている。

3.取材当日、このラインでは400人が働いていた。

4.中国技術者2人が、タイ人3人の技術指導を担当。

今後、この工場は従業員1万人を雇用する予定だ。

中国の熟練技術者が、直々にEV生産ノウハウを伝える。

今後、電池・トランスミッションを生産する体制を整える。

タイの工科大学と提携:

人材育成は工場内だけにとどまらない。

1.2023年、BYDはタイの国公立の工科大学と相次いで提携。

2.EVや自動運転研究、インターンシップの受入れを開始。

サプライチェーンの構築:

サプライチェーン構築に向けた動きも活発だ。

タイの部品メーカーから自動車部品を調達する商談会も実施。

中国国内販売の伸びが鈍化:

これまで、中国国内でEV販売台数は拡大の一途。

しかし、2023年から中国国内販売の伸びが鈍化。

1.今、過剰生産による値下げ競争が激化

2.中国メーカーの収益が、急速に悪化

タイ政府のEVシフト:

中国への警戒感も、欧米のようには高くない。

3.タイでは、EVシフトを進めたいというタイ政府の思惑と一致。

4.タイは、’中国のEV輸入は関税をゼロの優遇策’を設けている。

日本メーカーはタイから撤退:

日本メーカーはタイでの生産の縮小や撤退に追い込まれた。

1.SUBARUが、現地生産からの撤退を明らかにした。

2.スズキは、2025年末にタイ工場を閉鎖することを決定。

3.ホンダも、7月にタイの2工場を1か所に集約する方針。

上記のメーカーは、ガソリン車を中心に販売を続けてきた。

タイのセター首相

2023年12月、タイのセター首相が日本メディアとインタビュー。

’日本はEVの生産でやや遅れをとっている’と懸念を表明した。

伊藤忠総研 :深尾三四郎エグゼクティブ・フェロー

今のうちに今後EVを積極的に投入すべきだ。

1.日本のハイブリッド車需要も、かなり旺盛だ。

2.日本の中古車売却価格は、高い価格水準を維持できている。

今が最後のチャンスと認識する必要がある。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240731/k10014528671000.html