図1 リチウムイオン電池(インサーション型)の概念図
(例)3Li+FeF3 ⇄ 3LiF+Fe (例)2LaF3 + 3Cu ⇄ 2La + 3CuF2 4Li+a-TiS4 ⇄ Li4TiS4
図2 革新型蓄電池(リザーバ型)の概念図
図3 金属フッ化物電極(FeF3)の サイクル特性に与えるアニオン レセプターの効果検証
図4 硫黄電極(左)と非晶質金属硫化物電極(右)の充放電挙動
図5 フッ化物全固体型薄膜セルの模式図とサイクル特性
京大・トヨタ:フルオライドイオン電池:1000キロ走EV(動画):
Kyoto Univ/Toyota: “Fluoride ion battery”: EV running 1000 km:
京都大学/丰田:“氟离子电池”:EV行驶1000公里
京大・トヨタ:
1回の充電で東京から福岡まで。
1000キロメートルを走るEV、実現に向け開発中。
「フルオライドイオン電池」:
現在のリチウムイオン電池をしのぐ蓄電池の有力候補に「フルオライドイオン電池」が名乗りを上げた。
京都大学とトヨタ:
「フルオライドイオン電池」の原型を試作。
「電気をためる性能をリチウムイオン電池の7倍に高める」目途を付けました。
答えが出たと考えるのはまだ早いが、世界中の研究者が、解を探っている最中。
日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO62404420X00C20A8TJM000?n_cid=NMAIL007_20200807_H&s=4
リチウムイオン電池を凌ぐ革新型蓄電池の基礎技術を構築
-RISING プロジェクトの成果発表-
ーSPring-8:高エネルギーX線回折ー
金属フッ化物電極:問題点を解決(図3)
リチウムイオンを多量に挿入脱離する金属フッ化物電極においては、「放電で
生成するフッ化リチウムが固体のため、充電受け入れ性が低い」という問題があ
りました。
そこでこのフッ化リチウムが適度に電解液に溶解するような添加剤、
具体的にはフッ素に結びつくアニオンレセプター*2 を添加剤として加えること
により、サイクル特性を大幅に向上させることに成功しました。
硫黄電極の寿命が短い:問題点を解決
また同様に、「多量のリチウムイオンと反応する硫黄電極においては、従来は放
電により硫黄が溶解して寿命が短い問題」がありました。
「硫黄を金属と共有結合した非晶質な金属硫化物として固定化すること」により、安定した充放電が可能になりました。
大型放射光施設 SPring-8:高エネルギーX線回折(図4)
その反応機構について、大型放射光施設 SPring-8*3 における高エネルギーX線回折*4 を適用して解明を図りました。
充放電で硫黄原子どうしの結合が形成/解離することが分かりました。
この非晶質材料の反応機構解析に代表されるように、放射光・中性子といった高度な解析技術により、従来困難であった電池内で起こる現象の解明にも、大きく前進しました。
ハロゲン化物蓄電池を提案:
また「マイナス電荷を持つハロゲン化物イオンの移動」に着目しました。
「多電子移動が可能なハロゲン化物蓄電池を提案」、その作動検証にも取り組みました。
- 生成物が、電解液に溶解しすぎる塩化物系の場合、
- 溶解性の低い電解液や電解質塩の、高濃度化により解決、
「電極-電解質界面で起こるイオン移動をナノレベルで制御する技術」を開発。
高利用率・長寿命化を達成:
この手法は、水溶液系の亜鉛空気電池において、電解液に溶けすぎる亜鉛種の溶解抑制にも活かされており、従来にない高利用率・長寿命化を達成しています。
全固体電池:溶液を介さず、固体間でイオンをやりとり(図5)
またフッ化物の場合にはイオン伝導性が高いフッ化物固体電解質をモデル薄膜セルにより構築しました。
溶液を介さずに固体間でイオンをやりとりする全固体電池*5 とすることで、従来不活性とされてきた材料の活性化に成功し、高い充放電容量を示すことを明らかにしました。
今回の研究:
従来は使用が困難であると考えられてきた系を、「溶解度制御といったコンセプト」により、「LIB を遥かに凌ぐ、エネルギー密度500Wh/kg ・高エネルギー密度の革新型蓄電池の構築できること」を示しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/documents/160328_1/01.pdf