EU:チャイナEVの補助金調査へ
EU: To investigate subsidies for Chinese-made EVs
歐盟:調查對中國製造電動汽車的補貼
ー中国製の安いEV輸入が大問題ー
ーEUの危機感、中国へ対抗措置もー
hisayoshi-katsumata-worldview記事からサマリーをお届けします。
EU:フォンデアライエン欧州委員長
9月13日、中国製の安価なEVの流入を、問題視した。
「中国政府の補助金支援が、競争を阻害していないか」を調査する。
複数の欧州メディア
フランスが水面下で、欧州委に調査開始を強く求めていた。
フランスは外交面で、中国と友好ぶりを演出している。しかし、内情は複雑である。
中国製EVのシェア拡大:
昨年の約2倍、8.2%へ上昇した。
中国政府の税制優遇や、
工場建設の支援、低利融資、
エネルギー料金の上限設定など、
中国の手厚い支援が、影響している。
EUは、実態調査して関税引上げを目指す。
中国政府の対応:
『ロイター』(9月14日)
中国商務省は、EV補助金調査巡りEUを批判した。
中国は、自国EV企業を守ると主張している。
中国商務省は「EUに強い懸念と不満を示す声明」を発表した。
独シュミット・オートモーティブ・リサーチ
中国EVは、欧州で存在感を高めている。
欧州EV市場:中国車シェア
2019年の0.5%から21年には3.9%に急伸。
23年1~7月には8.2%まで伸ばしている。
欧州ブランド名を利用
欧州の中国車の9割が、上海汽車集団が買収した英国ブランド「MG」だ。
中国車だが、表向きは欧州企業名を冠したもの。
欧州ブランド名で、影響力を得ているのだ。
中国EVの泣き所は、ブランド力がないことだ。
自動車は、長年培ってきたブランド力がものを言う世界である。
EUとしても危機感を持って当然だ。
中国の国家補助金を調査
EU域内に起因するゆがみを、EUが受け入れることはない。
調査は最長9ヶ月を要する可能性がある。
ACEA:ジグリッド・デ・フリース事務局長
中国車メーカーは、公的資金と政府の意向に支えられている。
欧州や他市場で攻勢をかけているのは、周知の事実だ。
米国の中国EV関税率
米国は、中国EVへ27.5%水準に近い関税率を科した。
EUでも、これと同水準が適用されると中国EVへ大きな影響が出る。
中国EVは、EUで二つの価格帯で販売されている。
ボルボのポールスター
浙江吉利控股集団子会社ボルボ・カー(スウェーデン)と立ち上げたポールスター。
価格が8万9900ユーロ(1400万円)の超高級EVがある。
中国製の7割が安価
一方、3万ユーロ(467万円)以下の安価なEVが中国製全体の7割を占める。
欧州車大手の同型車と比べても、中国製EVは割安すぎる。
欧州のEV電池規制
今年6月欧州議会がEV電池規制を承認した。
電池の製造時CO2排出量の報告義務化が盛り込まれている。
ライフサイクルアセスメント(LCA)
中国製EVは、その製造を火力発電に依存する。
欧州製EVは、ライフサイクルアセスメント(LCA)で優位なのだ。
EUは、脱炭素を大義に中国EVにグリーン関税を課すことができる。
「環境のEU」が優位
EUは、中国EVの泣き所を突く手段を、すでに持っている。
こうなると、中国がEUに圧力をかけることは難しい。
https://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/33282332.html