キング・コング』戦前大阪歌舞伎座チラシ
メリアン・C・クーパー フェイ・レイ ロバート・アームストロング

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キング・コング, KING KONG (1933)
製作国:アメリカ上映時間:100分, ジャンル:, アクション, キング・コング, 3.6, 監督, メリアン・C・クーパー, アーネスト・B・シュードサック, 脚本, ジェームズ・アシュモア・クリールマン, ルース・ローズ, 出演者, フェイ・レイ, ロバート・アームストロング, ブルース・キャボット, フランク・ライチャー
キング・コング (1933年の映画) – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B0_(1933%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)



『キング・コング』戦前生野座 メリアン・C・クーパー フェイ・レイ ロバート・アームストロング 即決 170,000円


『キングコング』(イラスト)雑誌広告ポスター/初版/RKO/SF/特撮■黄文字【美品】
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キングコング戦前宣材『キングコング』(イラスト)雑誌広告ポスター/初版/RKO/【美品】(当時もの) サイズ:B5
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『ゴリラ』戦前松竹座 アルフレッド・サンテル チャールズ・マレイ アリス・デイ クロード・ギリングウォーター
即決 30,000円
原題 The Gorilla 製作年 1927年 製作国 アメリカ 配給 ファースト・ナショナル支社
初公開日 1927年 製作会社 ファースト・ナショナル映画
最近ニューヨーク市に引続いて奇怪な殺人が行われ、人心ために怯々として全市は戦慄した。
しかもその犯行の現場から見て1頭の巨大なるゴリラによってこの残虐が繰返されていることが判明した。
警察当局は全市に厳重な警戒網を張り怪物逮捕に努めたが、ゴリラは神出鬼沒未だ捕わるるに至らない。
折も折巨万の財産家として著名な実業家サイラス・タウンセンドが一夜何者かのために殺害された。
そしてそれは周囲の事情から推して例のゴリラの仕業であり且つその背後にこれを操る怪人物が存在することが判明した。
当局からは時をうつさずギャリティー及びムリガンの2探偵を派遺した。
さてこのサイラス老人の身辺を巡る人物には、彼の信用ある秘書でサイラスの美しい娘アリスの婚約者たるアーサー・マースデン、多年タウンセンド家に出入してこれも秘かにアリスに想いを寄せているローレンス・スチーヴンス、及び事件発生以来この家に入込んできた新聞記者ジャック・シモンズの3人であった。
その立場から考えて最も嫌疑濃厚なマースデンから訊問が開始されることになった。ところが何時の間にか机上に1通の手紙が置かれてあった。それには今夜12時ゴリラ再び襲来すべしと認めてあったのである。
人々は緊張と恐怖のうちに空しく時計と睨めっこをしていたが、サイラス老人の遺書がアリスの手によって開かれようとした時、突如電燈が消えた。そしてアリスが気付いた時には彼女の手には遺書は無かった。
続いて不可解な事件の突発、遂にゴリラはその怪異な巨躯を人々の目の前に現した。この怪物とその背後の人物とはそも何人であろうか?


キングコング(当時もの)日本語版■戦前宣材『キングコング』(イラスト)雑誌広告ポスター/初版/RKO/SF/特撮■【美品】
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松竹座グラヒック 第3巻第3号 クリームヒルト号
- 出版社松竹座編輯部
- 刊行年1925
- ページ数38p
- サイズA5
- 状態中古品(良好)
- 解説大正14年9月 表紙小折れ

松竹座グラヒック 第2巻第1号 バグダッドの盗賊号
- 1925
- ページ数37p
- サイズA5
- 状態中古品(良好)
- 解説大正14年1月

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「バグダッドの盗賊」(1924)
『バグダッドの盗賊』 The Thief of Bagdad(1924)
監督: ラウール・ウォルシュ
1924年・アメリカ・モノクロ (サイレント)
盗賊のアーメド(ダグラス・フェアバンクス)は王宮に盗みに入り、美しい王女(ジュリアン・ジョンストン)と恋に落ちる。
最高の秘宝を献上した者が姫と結婚できる。
キネマ週報 160号 -昭和8年6月23日- 表紙「映画 処女よ・さよなら」

〈広告 キングコング カラー折込〉







「コングの復讐」松竹座ニュース キングコング続編 戦前 映画 匿名配送 現在 1,000円

戦前映画 「コングの復讐」:漫画 岡山クラブ キングコング続編 匿名配送 現在 67,444円
コングの復讐のtychのレビュー・感想・評価 2021/11/03 14:26
コングの復讐(1933年製作の映画) 3.7
THE SON OF KONG 1933年 70分。
冒険家たちは再びコングの島を訪れる。
島でコングの息子が泥にはまっているのを助けた彼らは、コングの息子に大熊や恐竜から守ってもらう。
そして 宝も見つけさあ脱出 という時、大地震と暴風が島を襲い 島は海に沈んでゆく。この中でも コングの息子は最後まで人間に尽くす。SFXを駆使した娯楽作品 一行がコングの島に上陸してから ラストまでコングの復讐のtychのレビュー・感想・評価 2021/11/03 14:26 コングの復讐(1933年製作の映画) 3.7 THE SON OF KONG 1933年 70分。冒険家たちは再びコングの島を訪れる。島でコングの息子が泥にはまっているのを助けた彼らは、コングの息子に大熊や恐竜から守ってもらう。そして 宝も見つけさあ脱出 という時、大地震と暴風が島を襲い 島は海に沈んでゆく。この中でも コングの息子は最後まで人間に尽くす。SFXを駆使した娯楽作品 一行がコングの島に上陸してから ラストまでのテンボは快調である。、、邦題は 偽り有り。のテンボは快調である。、、邦題は 偽り有り。



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コングの復讐, THE SON OF KONG, 製作国:アメリカ上映時間:70分, ジャンル:, アクション, コングの復讐, 3.0, 監督, アーネスト・B・シュードサック, 脚本, ルース・ローズ, 出演者, ロバート・アームストロング, ヘレン・マック, フランク・レイカー, ジョン・マーストン, ヴィクター・ウォン, エドワード・ブラディ
コングの復讐 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E5%BE%A9%E8%AE%90
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『コングの復讐/キングコング続篇』戦前グランドキネマ アーネスト・B・シュードサック ウィリス・H・オブライエン
即決 70,000円

キングコングの復讐(初版)難有■戦前映画チラシ


紐育摩天樓上
キング・コングの最期から始まり、
骸骨島の大地震
コングの息子の悲壮なる犧牲まで、
再び展開する驚天動地の怪異譚。
荒唐無稽と嗤ふれ、
之は人類創生以前
地球上に於ける巨獣怪物の地獄圖繪だ
Beginning with the end of King Kong on String Ikuuma Tenro, Until the tragic death of Kong’s son in the Skeleton Island earthquake, An earth-shattering ghost story that unfolds again. Absurd and laughing, This is a hell picture of giant monsters on the earth before the creation of mankind.
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魔の南支那海 巨大イカ(当時もの)■戦前宣材

『巨大イカ/大西洋の秘密』(イラスト)

雑誌広告ポスター/初版/SF・怪奇/特撮(当時もの)


『豹族ツアラア』希少/雑誌広告ポスター/初版/

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黒猫:





黒猫 :劇場公開日:1934年9月13日
解説 ボリス・カーロフと「ベラ・ルゴシが共演する怪奇劇で、美術監督から昇進したエドガー・G・ウルマーが第1回作品。
エドガー・アラン・ポーの名作からヒントを得て監督者ウルマーがピーター・ルーリックと共同して書き下ろした脚本である。
1934年製作/65分/アメリカ 原題または英題:The Black Cat 劇場公開日:1934年9月13日 配信で「黒猫」を見る 。
あらすじ ブダペスト、ビゼグラード間の急行列車が新婚のアリスン夫婦を乗せて一路暴走している。
最中、その車室を明けて1人の男が入ってきた。車掌の手違いから同室となったビタス・ワーデガストという精神病学の泰斗でオーストリア人である。
彼は世界大戦に出征し、奮戦を重ねた。しかし指揮官のヒジャマール・ポールジッグに欺かれ、バイカル湖付近のクルガール牢獄へ15年に渡って投じられ、あまつさえ娘と妻をポールジッグに奪われたのであった。
そして今復讐の一念に燃えて、かつての古戦場マルマロス要塞に居を構えているポールジッグのもとを訪問する途上なのである。
丁度新婚旅行の2人と同じ方向なので列車を降りて更にバスを共にしたのであった。
豪雨は沛然と降頻り、崖は崩れてバスは谷間に墜落した。
ピーター・アルスンの妻ジョーンは傷を負ったのでワーデガストは2人をポールジッグの邸宅へと導いた。
ワーデガストの手当てで彼女の傷も癒えたのが、彼女の美しさにはワーデガストもポールジッグも共に心あやしく戦くのであった。ワーデガストは妻と娘を返せと迫ったがポールジッグは2人共肺炎で死んだと言って取り合わなかった。
そしてポールジッグは悪魔拝教を奉信し、黒猫を用いてワーデガストを苦しめた。
ジョーンはワーデガストの娘カーレンが生きていてポールジッグの妻となっているのを発見した。ワーデガストは新婚の夫婦を帰してやれとポールジッグに勧めたが彼は肯ぜず、将棋で争うこととなりワーデガストは負けて、ポールジッグは従僕に命じピーターを倒しジョーンを幽閉した。
その時ワーデガストはジョーンの口から娘カーレンのいることを告げられ怒りに激してポールジッグに迫りなぶり殺しにした。この情景を見てピーターは妻を救わんものとワーデガストをピストルで射った。死なば諸共とワーデガストは死のスイッチをひねったのでこの大邸宅はたちまち火焔に包まれたがアリスン夫婦は辛うじて脱出することができた。
キネマ週報 162号 -昭和8年7月7日-(表紙モデル)ダイアナ・ウインヤード





フランケンシュタインの花嫁 ボリス・カーロフ
昭和10(1935)年 戦前 丸ノ内帝国劇場 浅草大勝館 新宿武蔵野館

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『フランケンシュタインの花嫁』(1935):
エルザ・ランチェスター演じる女人造人間 のメイクが有名だが、実は前半にすご い特撮がある。
プレトリアスが才能を誇示す るため、自分が創造したホムンクルス (人造小人)をフランケンシュタインに見せるシーン である。
逃げ出したホムンクルスをプレトリアスがピンセットでつまみ上げてみせる。魔法 を見ているようだ。
いやいや、80年以上前にこの技術はすごす ぎでしょ!
こん な超絶的な合成シーンを無視するのだろう
ラストでは、せっかく誕生した花嫁 にふられたモンスターが逆上して暴れ だす。
プレトリアス博士が用意してお いた自爆装置を作動させたもんで、博 士の住む塔が爆発して崩壊する。
毎回、ラストが建物の崩壊 (火災、洪水、爆発など)で終わるのがフランケ ンシュタインシリーズの定番である。
それでもモンスターは死ぬことはなく、 次の作品でまた蘇ってくるのだ。
キネマ週報 KYOTO KINEMA CLUB WEEKLY No.670 裏表紙「フランケンシュタイン」予告

昭和初期 映画 フランケンシュタインの幽霊 面子 戦前 戦後 オバケ 妖怪 めんこ メンコ(検)駄菓子屋くじ引き 怪物 現在 1,700円

映画ポスター/チラシ フランケンシュタインの花嫁 ボリス・カーロフ 昭和10(1935)年 戦前 ☆ Bride of Frankenstein Boris Karloff


植物学者のグレンドン博士は、チベットの山奥に幻の花「
それを治すにはマリフェイザの花が必要で、
戦前 映画チラシ「月光石」/怪奇映画 二つ折り* 現在 1,000円

エジプト学者・
レイングは「
ラルフは叔父が死んだことを知らされず、
その夜は満月の夜だった。モアラント教授は「もしも『永劫の光』
『演藝と映画昭和12年5月』ヘンリー・フォンダ大河内傳次郎ジャン・ギャバン鈴木澄子田中絹代高峰三枝子/丹下左膳大高原朱と緑悪魔の人形

透明人間:名古屋・宝塚劇場

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『透明人間』(1933):
全編に合成やミニチュア撮影を多用。
列車の脱線転覆シーン
クライマックスのシーン炎上する小屋を背景に、雪の上に透明人間の足跡が点々とついてゆく。
死の直前に姿を現わす透明人間など、特撮ファン的に興味深いカットがいろいろ。
なかでも注目したのは、シャツ一枚になった透明人間が、警官 や村人を追いかけ回すユーモラスなカットである。
テーブルの上のガラス製の実験器具の向こうに、宙に浮いたシャツが見えている!



映画チラシ ターザンの怒り ジョニー・ワイズミュラー
https://auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w1201128545


映画チラシ ターザン 紐育へ行く
監=リチャード・ソープ ジョニー・ワイズミュラー
https://auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x1201131847


大ターザン(当時もの)■戦前宣材『魔城脱走記/大ターザン』(イラスト)

雑誌広告ポスター/初版/SF・怪奇/特撮(当時もの)




The Return Of Chandu 1934 11×14インチホラーシリアルロビーカード
Maria Alba-元のタイトルを表示, Last Moving Picture Company, US $29.99, (7327)

Return of Chandu The Magician 1934
The Evil Eye Lobby Card 11″ X 14 Bela Lugosi, Toad Hall Books and Records, US $47.99,

The Return Of Chandu 1934 11×14,
Last Moving Picture Company, US $29.99,


- 刊行年1925年
- ページ数10ページ
- サイズ縦約18.5×横約13cm
- 冊数1冊
- 状態中古品(並下)
- 解説大正14年3月31日発行。 初版。
名古屋の大須にあった映画館「港座」の
ニュースチラシです。 - ¥33,000
監督: セシル・B・デミル
出演: セオドア・ロバーツ 他



『チート』:
(原題: The Cheat)は, セシル・B・デミル監督による1915年公開の米国の無声映画。主演は早川雪洲, フランスで1回リメイクされた。, 日本人は表で西洋風を装っても裏では奇妙で野蛮な二面性を持っているというイメージが作られた[1][2]。日本人である早川雪洲が主演したことで名高い作品であるが, 内容が白人女性の肩に焼印を当てるなど「国辱的である」との理由により, 当時の日本では公開されなかった[3]。米国で2回
本作の設定はより刺激的であった。, 日本に題材をとった作品を数多く撮っていたトーマス・H・インス監督の『タイフーン』(1913年)のヒットだった[1]。同作はスパイ活動をしている日本人外交官が愛人のフランス女性を殺し, 外交官役を早川雪洲が演じた[1]。早川の長編映画初主演作である同作の大ヒットを見て, 集客を見込んだジェシー・L・ラスキーが類似作として企画したのが本作であった[1]。, 有色人種と白人の結婚や性的関係は禁止されていたため(en:Anti-miscegenation laws in the United States), 米国では19世紀半ば頃より20世紀半ばまで

日活週報 第71号 早川雪洲「犠牲」
¥5,500
出版社神田 日活館
- 刊行年(大正14年9月8日)
- ページ数表紙含12p
- サイズ195×135㎜

https://eiga3mai.exblog.jp/32055052/
「龍の娘」アンナ・メイ・ウォン/早川雪洲 他 ¥4, 400, 1930年代, 197×270㎜
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積み上げ#13以降ーーー
「スコウ・マン」 The Squaw Man, 1914

かつて、アメリカ映画産業の中心地は東海岸のニューヨークだった。

デミルは、映画製作の知識も経験もほぼ無いに等しい素人だ。
エジソンと短編映画を撮っていたオスカー・G・アッフェルと協力。
2人が、共同監督という形で演出を手掛けることになった。
ロサンゼルスで撮影:
当初、アリゾナで撮影予定だったが、注目のロサンゼルスで撮影した。
デミルが最終的にロケ地として選んだのは、撮影所の少ない未開拓のハリウッド地区だった。
当時デミルとラスキーが借りた納屋は、現在アメリカ国家歴史登録財に指定され博物館である。


まずはニューヨークへとやって来たジェームズだった。
そこで知り合った気のいいカウボーイ、ビッグ・ビル(ディック・ラ・レノ)と親しくなり、
ワイオミング州の田舎町マーヴェリックで広大な牧場を買い取った。
名前をジム・カーストンと変え、牧場主としての人生をスタートさせる。
ジェームズが若い先住民女性を救う:
ある日、先住民女性が、無法者キャッシュ・ホーキンズ(ウィリアム・エルマー)から、嫌がらせを受けていた。
女性は先住民の酋長ワビワナ(ジョゼフ・シングルトン)の娘ナトゥリッチ(レッド・ウィング)
ホーキンズがジェームズを逆恨み:
さらに、この件を逆恨みしたホーキンズがジェームズを背後から撃とうとしたところ、
たまたま居合わせたナトゥリッチがホーキンズを射殺した。
保安官は殺人事件として犯人を捜すものの、命を救われたジェームズは、固く口を閉ざすのだった。


しかも、従兄弟ヘンリーが死亡してしまった今、我が息子は伯爵家にとって唯一の跡取り。
せめて息子だけでもイギリスへ送って高等教育を受けさせるべきだと使者に説得されたジェームズは、
それが息子の将来のためになると考えて同意する。
その頃、保安官はホーキンズ殺しの犯人がナトゥリッチであることを突き止めていた。
最愛の息子は遠いイギリスへ行ってしまう、
自分は保安官に捕まってしまうかもしれない。
人生を悲観したナトゥリッチは思い余って自害。
その亡骸を前にしたジェームズは悲しみのあまり涙するのだった…。

西部開拓時代のアメリカのメロドラマ:
白人男性と先住民女性による身分の違いを超えたロマンスがメインテーマだ。
恐らく原作舞台劇が評判となったのもそれが最大の理由だったのだろう。
なにしろ、当時のアメリカで異人種間の結婚はまだまだ重大なタブーだった。
そう考えると、ヒロインのナトゥリッチ役に本物の先住民女優レッド・ウィングを起用した本作は、
当時としては大胆で勇気ある試みだったとも言えるだろう。
本名をリリアン・セイント・シールというレッド・ウィングはウィネベーゴ族の出身で、
同時期に活躍したモナ・ダークフェザーと並んで、アメリカ映画における先住民女優の先駆け的な存在だった。
「愚者ありき」 A Fool There Was (1915)
https://eiga3mai.exblog.jp/25795559/

監督:フランク・パウエル
製作:ウィリアム・フォックス
原作:ルドヤード・キプリング
戯曲:ポーター・エマーソン・ブラウン
脚本:ロイ・L・マッカーデル
撮影:ジョージ・シュナイダーマン
出演:セダ・バラ
エドワード・ホセ
メイベル・フレンイヤー
クリフォード・ブルース
ヴィクター・ブノア
メイ・アリソン
ルナ・ホッジス
フランク・パウエル
アメリカ映画/67分/モノクロ作品(サイレント)
評価(5点満点):★★★☆☆

<あらすじ>
ニューヨークのウォール街に勤める裕福な弁護士ジョン・シュイラー(エドワード・ホセ)は、貞淑な妻(メイベル・フレンイヤー)と幼い娘(ルナ・ホッジス)を愛する良き家庭人だ。
友人や部下からも慕われる人格者で、政府から重要な外交の仕事も任されている。今度も外交交渉のためにヨーロッパへ行くこととなり、旅行を兼ねて妻と娘を連れて行くつもりだったが、直前になって義妹(メイ・アリソン)が事故で怪我をしてしまったことから、一人で船に乗ることとなった。そこで知り合ったのが、謎めいた妖艶な美女(セダ・バラ)だった。
美女の正体は、金持ちの男をたらしこんでは骨の髄まで財産を絞り取り、その挙句に捨てては次の金持ちに乗り換えている冷酷な悪女。これまで幾人もの男を破滅へと追いやってきた。今もまた一人の哀れな男(ヴィクター・ブノア)を捨てようとしているところで、彼女を追いかけてきた男は船上で拳銃自殺を遂げる。
そんなこととは露知らず、たちまち美女の虜となってしまうジョン。音信不通になってしまった彼を心配する家族や友人だったが、その頃ジョンはイタリアの避暑地で美女とのバカンスにうつつを抜かしていた。
数ヵ月後、ジョンは美女を連れてニューヨークへ戻るものの、妻子の待つ自宅へは寄り付かず、美女を連れて別宅を借り、酒と愛欲に溺れる自堕落な日々を過ごすようになった。もはや仕事も手につかず、日中から酔いつぶれ、どんどんと生気を失っていくジョン。そんな彼をよそに、贅沢三昧とパーティ三昧に明け暮れる美女。
親友トム(クリフォード・ブルース)の忠告にも耳を貸さず、妻や娘の懇願にもうわの空のジョンは、まるで麻薬中毒者のごとく美女なしでは生きていけない身になっていた。ほとんど廃人寸前の彼を、家族や友人は救うことが出来るのだろうか…?

映画史上最初のセックス・シンボルと呼ばれるサイレント期の大物スター女優セダ・バラ。かつて映画界にはヴァンプ女優という言葉があった。ヴァンプとは妖婦。つまり、セックスを武器に男を骨抜きにして破滅させてしまう悪い女のことだ。吸血鬼=ヴァンパイアが語源だとされているが、そのヴァンプ女優第一号がセダ・バラだった。言うなれば、彼女こそが元祖セクシー女優というわけだ。

そんなセダ・バラの出世作となった本作。役名もそのものずばり、ヴァンパイアである。もちろん、男の精気も財産も吸い取ってしまう吸血鬼のような女という意味であり、別に人間の血を吸ったりするわけじゃない(笑)。グラマラスで豊満なわがままボディ、相手の男をひれ伏せさせる高圧的で傲慢な態度、そしてコッテコテに塗りたくった迫力の超濃厚メイク。あまりにも造形が過剰すぎて、今となっては笑いすら溢れかねないのだけれど、きっと当時の概念ではこれがセクシーだったのかもしれない。まあ、何事も価値基準というのは時代によって様変わりするし、なにしろ今から100年以上も前の映画なので、その辺は推し量るしかないのだけれど。

そもそも、セダ・バラという女優そのものが美しいのかどうか、セクシーなのかどうかという点についても、今の観客には首をひねりたくなるところかもしれない。顔つきはゴツすぎるし、体型も寸胴だし、とても男を夢中にさせるような妖婦には見えないんですけど…と言いたいところだが、とはいえサイレント時代の美人女優、例えばポーラ・ネグリとかグロリア・スワンソンとか、はたまたイタリア映画界最大のディーヴァと呼ばれたフランチェスカ・ベルティーニなどを思い浮かべても、だいたい押し並べてこんな感じ。スリムで細面の女性が美しいとされるようになったのは、もっと後のことなのだろう。

それはそうと、作品そのものは啓蒙映画の傾向が強いように感じる。要するに、殿方、ゆめゆめこのような女と関わってはなりませんぞ、さもなくばこんな酷い目に遭ってしまうことになりますから…という戒めだ。なので、妖婦の餌食となった中年紳士ジョンの転落ぶりは徹底的に凄まじい。ラストなんて、ほとんど末期の麻薬中毒患者。おどろおどろしい演出も、まるでホラー映画みたいだ。演じているエドワード・ホセという人は、当時活劇映画の女王パール・ホワイトの映画によく出ていた役者だが、前半の溌溂と自信に満ちたエリート紳士ぶりと、後半のボロボロ&ヘロヘロになった情けない愚か者ぶりの落差は、思わず別人かと思ってしまうくらいに激しい。これはなかなかの大熱演である。

もちろん、その一方でセダ・バラの妖艶でグラマラスな魅力を堪能するという男性向け娯楽映画の側面もある。下着姿のサービスショットもあり。さすがに、彼女が男どもを虜にして離さない“秘技”こそ描かれないものの、彼らの精根尽き果てたような姿を見ていると、あらまあ、よっぽど凄いテクをお持ちなのねえ~と想像も膨らむってもんだ(笑)。

また、ちょっと面白いなと思ったのは、妖婦には妖婦なりの意地があるという点だ。そもそも、彼女がジョンにターゲットを絞った理由の一つは、船で乗り合わせる以前に公園で彼の家族とすれ違った際に、ジョンの幼い娘を“可愛いわね”と撫でようとしたところ、そんな怪しい人と話しちゃダメよ!みたいな感じでジョンの妻に邪魔されたこと。彼女にとって、これがある種の復讐なのではないか?と思わせるフシがあるのだ。

さらに、イタリアの高級リゾートでジョンの知人とすれ違った際に、その知人の奥方がケバケバしい格好をした妖婦のことをチラリと見て、まるでバカにするかのように黙って通り過ぎていく。それにいたく傷ついたのか、彼女は一緒にいたジョンに対し、なんで自分を庇ってくれないのかと憤慨するのだ。もしかすると、金持ちの男ばかりを狙って破滅させる彼女を駆り立てるものとは、そうした男たちの妻や母親、姉妹といった、彼らの周囲にいる気取った上流階級婦人たちに対する憎しみなのかもしれない。

制作は20世紀フォックスの前身であるフォックス・フィルム・コーポレーション(初公開時の社名はウィリアム・フォックス・ヴォードビル・カンパニー)。監督のフランク・パウエルは、サイレント期の貴婦人女優マージョリー・ランボーの主演作を数多く手がけた人だが、その監督作品の大半は現存していない。というか、セダ・バラの主演作もほとんどが失われてしまい、現在見ることが出来るのは本作を含めて数本のみ。ほぼ全裸に近いスケスケ衣装で体脂肪率高そうな豊満ボディをさらけ出した「クレオパトラ」(’17)など、スチル写真だけは残っているものの、肝心の本編を見ることはもはや叶わない。’34年にプロダクション・コードが本格施行される前、特に’10年代後半~’20年代までのハリウッド映画は、今見ても驚くくらいに性描写が奔放だった。そういう意味でも、セダ・バラの作品というのは価値があるだけに、そのフィルムの多くが跡形もなくなくなってしまったことは非常に惜しまれる。
参考DVD情報(アメリカ盤)
モノクロ/スタンダードサイズ(1.33:1)/音声:2.0ch Dolby Digital (ピアノ伴奏のみ)/言語:サイレント/字幕:英語/地域コード:ALL/時間:67分/発売元:Kino Video (2002)
特典:原作のルドヤード・キプリングによる詩の完全収録(テキスト)/作品批評(テキスト)/スチルギャラリー
「山家の娘」 Fanchon The Cricket (1915)
https://eiga3mai.exblog.jp/33826903/

「アメリカの恋人」とも呼ばれた国民的な大女優メアリー・ピックフォード。最大のライバルとされたリリアン・ギッシュが清楚で可憐な乙女役を演じて人気を博したのに対し、メアリーは明るくて活発で反骨精神旺盛なお転婆娘役を得意とした。中でも、『想い出の丘へ』(’19)や『アンニー可愛や』(’25)などで演じた野生児役は彼女のトレードマーク
メアリーの演じる自立した強いヒロインたちは、さながらウーマンリブ的な女性像の先駆けだったとも言えよう。もちろん、本作『山家の娘』(’15)の主人公ファンションも同様だ。

舞台はフランスの平凡な田舎(ロケ地はペンシルヴァニア州)。森の奥深くのあばら屋に住んでいる少女ファンション(メアリー・ピックフォード)は、幼くして両親と死に別れた天涯孤独の身で、近隣住民から魔女と恐れられている祖母ファデット(ガートルード・ノーマン)に育てられている。ボロを身にまとった貧しい野生児ファンションのことを、村の若者や子供たちはバカにしているが、

ファンションは、いじめっ子(ジャック・ピックフォード)から暴力を振るわれている気弱な少年ディディエ(リチャード・リー)を発見。
憤慨した彼女はいじめっ子に飛びかかって撃退し、泣きじゃくるディディエを優しく慰めてあげる。
悪名高き野生児ファンションと遭遇する。

彼女がディディエを助けてくれたと知って好意を抱くランドリー。ファンションもひと目見た時からランドリーを好いていた。そんな2人の背中を押そうとするディディエ。しかし、ランドリーにはマデロン(ロッティ・ピックフォード)という親同士の決めた許婚がいるため躊躇する。
気分転換に海岸へ向かったランドリーは誤って海へ転落。たまたま居合わせたファンションに救われる。この件で2人の距離は一気に縮まるのだった。
「Hoodoo Ann(疫病神のアン)」 (1916)
https://eiga3mai.exblog.jp/32628456/

サイレント映画の巨匠D・W・グリフィスがメアリー・ピックフォード、リリアン・ギッシュに続く秘蔵っ子。
スターとして育てた女優メエ・マーシュ。
製作と脚本を担当は恩師グリフィス。共演も『イントレランス』(’16)でマーシュと夫婦役を演じるロバート・ハロンだ。
グリフィスがノークレジットで共同演出にも携わっており、彼の個性が強く出た道徳劇になっている。

主人公は田舎の孤児院で暮らす孤独な少女アン(メエ・マーシュ)
天真爛漫だが不器用で優しい性格の彼女は、それゆえ周囲の子供たちからバカにされていた。
教師たちからも可愛げのない子供だとして冷たくあしらわれていた。
ただひとり親切にしてくれるのは黒人のメイド、ブラック・シンディ(マダム・サル=テ=ワン)のみ。
実は生後間もない13日の金曜日に孤児院へ引き取られたアン。
彼女の手相を占ったブラック・シンディは、「あなたが結婚するまでは災いが付いて回る」と同情するのだった。

アンとは正反対に、教師たちから可愛がられるのは世渡り上手な少女ゴールディ(ミルドレッド・ハリス)。
大人のご機嫌をうかがうのが得意なゴールディは、そのおかげで可愛い人形を2つも持たせて貰っている。
アンはそれが羨ましくて仕方がない。ある日、彼女は我慢が出来ずにゴールディの人形のひとつを盗んだ。
ところが、乱暴に扱ったせいで人形は壊れてしまう。返せなくなったアンは、人形を物置部屋の隅に隠す。
教師から「ゴールディの人形を知らないか?」と訊かれてもウソをつき通すアン。
その晩、男子のイタズラが原因で火事が発生し、孤児院は瞬く間に炎に包まれる。
みんないち早く外へ飛び出して無事だったが、しかしゴールディだけが逃げ遅れた。
アンは、勇気を出して炎の中へ飛び込み、ひとりでゴールディを救出する。

その様子を目撃したのが、裕福なサミュエル(ウィルバー・ヒグビー)とエリノア(ロヨラ・オコナー)のナップ夫妻だった。
実は、アンと同じ年ごろの娘を亡くしていたナップ夫妻。
命懸けの救出劇で疲れ切った彼女を自宅へ連れ帰ったナップ夫妻は、そのまま彼女を養女として引き取ることにする。

人のものを盗んだり嘘をついたりすると、巡り巡って自分が一番困ることになるんですよ、
反対に良いことをすれば必ず報われますから…という教訓をユーモラスに描いた、
青少年向けのおとぎ話的な道徳劇として普通に面白い。

脇役で要注目なのは、少女ゴールディ役のミルドレッド・ハリス。
そう、あのチャールズ・チャップリンと16歳で結婚した最初の妻である。
本作の撮影時はまだ14歳。それにしては大人びて見える。
また、巡査役を演じているエルモ・リンカーンは、映画史上初のターザン役スターとして有名な俳優。
孤児院の黒人メイド、ブラック・シンディ役のマダム・サル=テ=ワン。
ハリウッドで最初にメジャー映画会社と専属契約を結んだ黒人女優だった。
「Snow White(白雪姫)」 (1916)
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評価(5点満点):★★★☆☆



あのウォルト・ディズニーが少年時代に映画館で見て強い感銘を受け、後に世界初の長編アニメ映画『白雪姫』(’37)を作るきっかけになったと言われる、文字通り伝説的なサイレント映画である。もちろん、これが世界初の映画版「白雪姫」。パラマウント映画の前身であるフェイマス・プレイヤーズが製作し、劇場公開時は大評判になったと伝えられている。

ただし、直接の原作はグリム兄弟の童話ではなく、アメリカの有名な劇作家ウィンスロープ・エイムズが脚色した舞台劇。1912年10月31日にブロードウェイで幕を開けた舞台版「白雪姫と七人の小人たち」は、絵本から抜け出てきたように煌びやかな美術セットや衣装が評判となり、通算72回の公演が行われるスマッシュヒットとなった。その映画化権をフェイマス・プレイヤーズの社長アドルフ・ズーカーが買い取り、舞台版と同じブロードウェイのスーパースター、マーギュライト・クラークを主演に迎えて実写映画化したというわけだ。

ストーリーの大筋は、我々の知っている「白雪姫」とあまり変わらない。恐らく最大の違いは、白雪姫と王子様が早い段階から既に相思相愛の仲となっていること、そして悪い女王が魔女の助けを借りて悪事を行うことであろう。そもそも、グリム童話では美人を鼻にかける高慢ちきな女性という設定の悪い女王だが、本作ではもともと不細工で容姿のコンプレックスが強い、若い王子にも露骨な色目を使う男狂いのオバサンとして描かれているのが興味深い。ちなみに、魔女の魔法で悪い女王が行商の老婆に化けるシーンでは、2枚の静止画を重ねたクロスフェードの手法で変身を描いている。言ってみれば映画最初期のVFX。きっとジョルジュ・メリエスの影響だろう。また、魔女がホウキに乗って空を飛ぶシーンはアニメ処理。元祖CGである(笑)。

先述したように直接的な原作はブロードウェイの戯曲で、舞台版で主演を務めたマーギュライト・クラークが白雪姫役を演じている。当時のアメリカ映画界はニューヨークからハリウッドへ制作拠点を移したばかりで、まだまだ将来の未知数な新興産業に過ぎなかった。スターの地位も基本的にはブロードウェイの方が上。そうした中、当時既に何本もの映画に出演していたマーギュライト・クラークは、最も早い時期に映画進出した大物ブロードウェイ・スターの一人だった。舞台デビューは1900年、映画初出演は31歳の時。本作の撮影時は33歳だったわけだが、とてもそんな年齢には見えない。メアリー・ピックフォードも真っ青のベビーフェイスである。

王子様役のクレイトン・ヘイルは巨匠D・W・グリフィスの『東への道』(’20)や『嵐の孤児』(’21)にも出ていた端正な二枚目俳優。トーキーの到来で人気が急落してからも俳優業を続け、『マルタの鷹』(’41)や『カサブランカ』(’42)、『百万弗の人魚』(’52)など数えきれないほどの作品で、クレジットに名前も載らないような端役をこなしていた。『サンセット大通り』(’50)では往年の映画スター、クレイトン・ヘイル、つまり本人役で顔を出している。

悪い女王を演じているドロシー・G・カミングは、セシル・B・デミル監督のスペクタクル巨編『キング・オブ・キングス』(’27)で聖母マリア役をやったオーストラリア出身の女優。実は主演のマーギュライト・クラークより9つも若い。また、後にグリフィスの『散り行く花』(’19)と『東への道』でリリアン・ギッシュの相手役を演じ、ハリウッドのトップスターとなるリチャード・バーセルメスが、悪い女王が魔法で変身したリンゴ売りとして登場する。
「マックスの離婚」 Max Wants A Divorce (1917)
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当然ながら、その名声はアメリカへも及ぶこととなり、’16年にシカゴを拠点とする映画会社エッサネイ・スタジオに招かれて渡米する。ちょうど当時、看板スターだったチャップリンが抜けたエッサネイは、その後釜としてランデーに白羽の矢を立てたのだ。結局、彼のアメリカ進出はあまり成功せず、後輩チャップリンと親交を深めることは出来たものの、しかしたった3本の短編コメディを撮っただけでフランスへ戻ることになる(その4年後に再びアメリカ市場へ挑戦するのだが)。その3本のうちのひとつが、この『マックスの離婚』である。

物語は遺産相続を巡る珍騒動。結婚したばかりのマックスのもとへ、亡くなったおじさんの莫大な遺産が転がり込むことになるのだが、しかし相続するための条件は彼が「独身」であること。慌てた彼は妻との一時的な離婚をすべく、その理由として自らの浮気を偽装しようと画策するのだが、嫉妬深い妻が「偽装のつもりが本気になった困る」とあれこれ余計な邪魔をするおかげで、次々とトラブルに見舞われることになる。全ての努力が水の泡となるオチを含め、なんともたわいなく微笑ましい作品だ。

監督・脚本・主演を兼ねるのは、もちろんマックス・ランデー。基本的には当時の王道的なスラップスティック・コメディなのだが、例えば舞踏会シーンで差し込まれる影絵アニメーション風のファンタジックな演出など、エスプリを効かせたお洒落で洗練されたタッチは、当時のアメリカ産短編喜劇と一線を画す魅力とも言えよう。まあ、その分だけ品良くまとまってしまったような印象は否めず、チャップリンやキートンのように体を張ったギャグもないため、物足りなく感じる無声喜劇ファンはいるかもしれない。それでも、フランス時代の作品に比べるとだいぶアメリカナイズされているとは思うのだが。あと、シンプルなプロットに比して登場人物が多すぎるため、特に後半はストーリーが分かりづらくなってしまったようにも思う。

マックスの妻を演じているのは、名作『狂へる悪魔』(’20)で天下の名優ジョン・バリモアと共演した可憐な清純派女優マーサ・マンスフィールド。当時まだデビューしたばかりで、なんともキュートで初々しい。その後、24歳の若さで映画撮影中の事故で火だるまになって焼死してしまう。また、マックスの浮気相手に白羽の矢が立つ若い女性役を、あのブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』の基となった同名舞台劇の、’26年初演版で主人公ロキシー・ハートを演じた有名なブロードウェイ女優フランシーヌ・ラリモアが演じているのも要注目。彼女の出演映画は大半が現存してないため、これは貴重だと言えよう。
「The Poor Little Rich Girl」 (1917)
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「アメリカの恋人」と呼ばれたサイレント期ハリウッドにおける最大のスーパースター、メアリー・ピックフォード。
サイレント西部劇『モヒカン族の最後』(’20)で知られる名匠モーリス・ターナーと組んだチャーミングなコメディ映画である。
当時のピックフォードは自らの製作会社を設立したばかり。
オリジナル版『嵐の国のテス』(’14)で人気を不動のものとし、アメリカの国民的な映画スターへと成長した。
ハリウッドの歴史で女優が映画製作の主導権を握ったのは彼女が初めて。
本作はピックフォードでなくズーカーがプロデューサーを務めている。
しかしピックフォードがニュージャージーに所有していたスタジオで撮影されている。
「The Married Virgin」 (1918)
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監督:ジョー・マクスウェル

<あらすじ>


サンセット大通りのダンス教室で教えながら、エキストラとして映画に出るようになったヴァレンティノ。やがてずば抜けたルックスを買われ、’18年のコメディ『A Society Sensation』で初めて名前がクレジットされる。ただし、当時はまだちゃんと芸名が決まっておらず、ロドルフォ・ディ・ヴァレンティナにロドルフォ・ディ・ヴァレンティーニ、ルドルフ・ヴォランティノなど、作品によってクレジットはまちまちだった。しかも、そのエキゾチックで中性的で耽美的な顔立ちや雰囲気は、健康的で男らしいオールアメリカン・ボーイが好まれた当時の映画界では極めて異質。そのため、「世間知らずなアメリカの乙女をたぶらかす不良外国人の優男」という悪役を主にあてがわれる。最も初期の出演作のひとつである、この『The Married Virgin』(’18)も御多分に漏れずだ。

主人公はアメリカ西海岸の大富豪令嬢メアリー(ヴェラ・シッソン)。父親のマクミラン氏(エドワード・ジョブソン)は米政府から公共事業を受注している大企業の経営者で、早くに母親を亡くしたメアリーは父親っ子として大事に大事に育てられた。前途有望な若手弁護士ダグラス(フランク・ニューバーグ)と婚約し、今まさに幸せの絶頂にあるメアリー。しかし、そんな彼女の人生に暗い影を落とすのが、継母エセル(キャスリーン・カークマン)の存在だ。最初から財産目当てでマクミラン氏と結婚したエセルは、夫のことを愛していないばかりか、先妻の娘であるメアリーに対しても冷淡。しかも、家族に隠れて年下の若い愛人まで囲っている。

その愛人というのが、ルドルフ・ヴァレンティノ演じるハンサムなイタリア貴族サン・フラッチーニ伯爵である。これが貴族とは名ばかりの詐欺師みたいな男で、エセルと付き合っているのも旦那の莫大な財産が目的。そんなサン・フラッチーニ伯爵を繋ぎ留めておくために、エセルは夫の重大な秘密を明かしてしまう。それは10年以上も前のこと。チンピラに因縁をつけられてトラブルになったマクミラン氏は、正当防衛とはいえ過剰反応で相手を射殺してしまう。慌ててその場から逃げたマクミラン氏だったが、そのときに使用した拳銃は国内でも彼しか持っていない特殊仕様であるため、警察に見つかりでもしたら動かぬ証拠となってしまう。たまたまその事実を知ったエセルは、夫の書斎からこっそり拳銃を盗み出していたのだ。

早速、マクミラン氏のオフィスへと乗り込んでいったサン・フラッチーニ伯爵は、拳銃と引き換えに10万ドルの現金を要求。ところが、予想に反してマクミラン氏から取引を拒まれ追い出されてしまう。そこで伯爵が目をつけたのがマクミラン氏の愛娘メアリー。彼女を誘惑して結婚すれば、父親の財産も使い放題だ。頃合いを見計らって欲しい分だけの金を持ち出せばいい。そう考えた彼は、その時には君と一緒に南米へ高飛びするつもりだとエセルを丸め込み、2人でメアリーをハメようと計画する。ちょうど季節はサマー・シーズンへ突入し、メアリーは継母エセルと2人でサンディエゴの避暑地コロナド島でバカンスを過ごすことに。これ幸いとばかり、サン・フラッチーニ伯爵はエセルの友人を装ってメアリーに接近し、あらゆる手練手管を駆使して誘惑しようとする。

しかし、メアリーが愛しているのは婚約者ダグラスただひとりだけ。数々の女性をモノにしてきた伯爵のセックスアピールもまるで歯が立たない。こうなったら奥の手段だとばかり、エセルはマクミラン氏の秘密をメアリーに洗いざらい打ち明け、伯爵と結婚しなければあなたのお父さんは刑務所行きになると脅かす。誰よりも父親を愛しているメアリーは、後ろ髪を引かれつつも最愛の男性ダグラスとの婚約を一方的に破棄し、仕方なくサン・フラッチーニ伯爵と結婚することとなる。ただし、結婚後も寝室は別々というのが条件。周囲の目をごまかして仮面夫婦を貫く2人だったが、しかしやがて伯爵は自分を男として受け入れないメアリーに苛立つようになり、そんな彼を見てエセルもまた嫉妬の炎を燃やしていく…。
「醒めよ人妻」 Old Wives For New (1918)
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ハリウッドで最初の長編劇映画『スコウ・マン』(’14)を大ヒットさせたデミル。
最も得意は、当時のアメリカで社会現象にもなった『チート』(’15)を筆頭とするスキャンダラスなメロドラマ。
中でも『アナトール』(’21)に代表される6本の「結婚映画」
夫婦生活の現実をシニカルに描き、高い評価を得た。この『醒めよ人妻』もそのひとつだ。

主人公は地方都市の政財界で大きな影響力を持つ石油王チャールズ・マードック(エリオット・デクスター)。
誰もが羨む優雅な暮らしをしているマードックだが、しかし本人は不幸と孤独を日々感じていた。
その原因は妻ソフィー(シルヴィア・アシュトン)だ。

ソフィーは、かつては可憐で愛らしい美女だった、暴飲暴食ですっかり太った。
妻ならば召使いたちを仕切って家庭内の規律を正し、夫に対しては恋人のように接して欲しい。
マードックは、子供たちのことも考えて黙っていたが、しかしいよいよ我慢できなくなってソフィーに離婚を切り出す。
これに対して烈火のごとく怒るソフィー。2人の子供を産み育てたのに、用が済んだらお払い箱にする気なのかと。
家の中が気まずい雰囲気になったため、マードックは息子チャーリー(J・パークス・ジョーンズ)とキャンプに出掛ける。

ニューヨークでブティックを経営するジュリエット・レーバーン(フローレンス・ヴィダー)
都会の喧騒を離れて週末の息抜きをするため、秘書マードックと同じキャンプ場へとやって来る。
息子チャーリーは父親を「僕の兄です」と冗談のつもりで紹介した。
ジュリエットはそれを本当だと受け取ってしまう。しかし妻がいる既婚者であることを打ち明けた。
その事実にショックを受けたジュリエットは、騙されたと感じてニューヨークへ帰ってしまった。

夫の浮気を疑ったソフィーは激怒し、ますます夫婦の仲は険悪なものになってしまう。
そこで今度は、マードックは娘ノーマ(ヘレン・ジェローム・エディ)のドレスを新調するためニューヨークへ行く。
しかし、訪れた店はジュリエットの経営する高級ブティックだった。
「スージーの真心」 True Heart Susie (1919)
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「アメリカ映画のファースト・レディ」ことリリアン・ギッシュを主演に撮った恋愛ドラマである。
グリフィスというと『國民の創生』(’15)とか
『イントレランス』(’16)のような超大作歴史劇や、
『散り行く花』(’19)とか『嵐の孤児』(’21)のような芸術性の高いメロドラマを思い浮かべる。

主人公はのどかな田舎の農村に住む10代の少女スージー(リリアン・ギッシュ)。
早くに両親を亡くした彼女は、叔母(ロヨラ・オコナー)と2人で慎ましやかに暮らしており、
家畜の世話から家事手伝いまで一人前にこなすしっかり者だ。
そんな彼女は、学校の同級生ウィリアム(ロバート・ハロン)に恋をしている。
しかし、鈍感でうっかり者の彼は、そんなスージーの気持ちにいまひとつ気付いていない。

ある日、スージーとウィリアムは近くの町へ買い物に出かけるのだが、そこでたまたま知り合った都会の紳士(ジョージ・フォーセット)がウィリアムを気に入り、大学の入学費用を支援して貰うことになる。ところが、待てど暮らせど都会の紳士からの連絡はない。すっかりしょげ返ってしまうウィリアム。そんな彼の様子に同情したスージーは、大切に飼っている家畜の乳牛デイジーを売り払うことにする
スージーは、デイジーを売って得た現金を封筒に入れ、匿名の慈善家からの寄付としてウィリアム宛てに郵送する。現金を受け取ったウィリアムは、送り主を例の都会の紳士だと勘違い。大喜びする彼の姿を見て、スージーもささやかな幸せを感じるのだった。

こうして、入学金を払って都会の大学へ進学したウィリアム。
アルバイトで生活費を稼ぐ彼は、裕福な家庭で育った同級生たちからバカにされるが、ケンカに勝ったことから仲間として認められるようになる。
一方、村に残ったスージーも学士様の妻となるに相応しいよう、コツコツと独学で勉強を続けていた。
あっという間に4年の歳月が過ぎ、大学を卒業したウィリアムは教会の牧師となるため村へ戻ってくる
あっという間に4年の歳月が過ぎ、大学を卒業したウィリアムは教会の牧師となるため村へ戻ってくる。
髭まで蓄えて立派な青年になったウィリアムとの再会を、はにかんだ様子で喜ぶスージー。

やはり別格なのは主演のリリアン・ギッシュである。
ヒロインのスージーを演じるギッシュの、なんとチャーミングで健気で可愛らしいこと!
撮影当時は25歳だったはずだが、10代の少女を演じても全く違和感がない。
大人しくて控えめで純情で、それでいて一本筋の通った気丈な少女。
スージーの、揺れ動く繊細な心情を細やかな表情や仕草で的確に演じている。
「カリガリ博士」 Das Cabinet des Dr. Caligari (1920)
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全てのホラー映画のルーツ、なによりもドイツ映画の黄金時代を築いたとされるサイレント映画の大傑作である。
村祭りの見世物小屋を根城に夢遊病者チェーザレを操って連続殺人を重ねる狂人カリガリ博士。
その都市伝説めいた妖しげで不気味なストーリーといい、
チェーザレ役のコンラート・ファイトを筆頭とする俳優陣のパントマイム的な過剰演技といい、
建物も地面も空間も全てが歪んでデフォルメされた異常なビジュアル世界、
そしてクライマックスに明かされる衝撃のどんでん返しといい、
映画そのものがまさに出口のない悪夢を具現化したような作品。
20世紀初頭にドイツで生まれた芸術運動「表現主義」を初めて本格的に映画へ取り入れた本作
その唯一無二の革新的な映像表現ゆえにアメリカやヨーロッパ各国、日本など世界中で大評判となり、
エルンスト・ルビッチの歴史大作『パッション』(’20)と並んで、ドイツ映画を巨大産業へ成長させるきっかけを作ったのである。
本作『カリガリ博士』は、かつてはカリガリ博士をヒトラーのような独裁者、夢遊病者の殺人鬼チェーザレをそのプロパガンダに操られる大衆の隠喩と分析され、ナチスの台頭や第二次世界大戦の勃発、ホロコーストの惨劇へと向かっていく当時のドイツの社会情勢を投影した作品と解釈されることも多かった。
ドイツで公開された『カリガリ博士』の評判を聞きつけたフランスの高名な映画評論家ルイ・デリュックが、パリで行われたスペイン赤十字を支援するチャリティイベントの一環として、’21年11月14日に1回限りの特別上映を行ったのである。これが大反響を巻き起こしたことから、2週間後にフランスの配給会社コスモグラフが配給権を獲得し、’22年3月2日より正式公開が実現。
ドイツで公開された『カリガリ博士』の評判を聞きつけたフランスの高名な映画評論家ルイ・デリュックが、パリで行われたスペイン赤十字を支援するチャリティイベントの一環として、’21年11月14日に1回限りの特別上映を行ったのである。これが大反響を巻き起こしたことから、2週間後にフランスの配給会社コスモグラフが配給権を獲得し、’22年3月2日より正式公開が実現。
F・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』(’22)に『ファントム』(’22)、フリッツ・ラングの『死滅の谷』(’20)に『ドクトル・マブゼ』(’22)、パウル・ヴェゲナーの『巨人ゴーレム』(’20)にパウル・レニの『裏町の怪老窟』(’24)などのドイツ表現主義映画が世界を席巻する
「黙示録の四騎士」 The Four Horsemen of Apocalypse (1921)
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当時まだ無名だった若手俳優ルドルフ・ヴァレンティノを、一躍ハリウッドのトップスターへと押し上げた作品である。『國民の創生』(’15)や『イントレランス』(’16)と並ぶサイレント映画の超大作、アメリカで最初の反戦映画などと呼ばれ、劇場公開時はチャップリンの『キッド』(’21)を抑えて年間興行成績で断トツの第1位を記録。セルジオ・レオーネ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(’84)でも、ジョー・ペシ演じるイタリアン・マフィアが本作に言及するシーンがある。それほど、かつてはアメリカ人なら誰もが知る大ヒット作だった。その割に現在、映画史上で語られることが少ないのは、やはり時代に色褪せてしまったことの証だろう。

原作はスペインの作家ヴィセンテ・ブラスコ・イバニェスが1916年に発表した同名小説。戦乱の度重なる欧州から逃れた男マダリアーガは南米で成功して家族を持つものの、まるで対照的なフランス人とドイツ人の娘婿たちはお互いにそりが合わず、マダリアーガの死後はそれぞれの故郷へ家族を連れて帰国。やがて第一次世界大戦が勃発し、血の繋がった親戚同士が敵味方に分かれて戦うこととなり、結局どちらの息子たちも戦死してしまう。タイトルは新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する四騎士のことで、それぞれ「支配」「戦争」「飢饉」「死」を担い、人間に苦難と災いをもたらすとされる。

1919年に英訳されアメリカでも大ベストセラーとなった同作は、その壮大なスケールゆえに映画化困難として各映画会社は手を出さなかったそうだが、唯一メトロ社だけが映画化に名乗りを上げて権利を手に入れた。メトロ社とは後にハリウッド最大の映画会社MGM(メトロ=ゴールドウィン=メイヤー)として合併する三社の一つである。そして、そのメトロ社の社長リチャード・ロウランドに映画化を強く勧めたのが女流脚本家ジューン・マティスだった。

’19年にメトロ社のシナリオ部門の主任に抜擢され、ハリウッドの映画会社で初めての女性重役(トップ女優として自らの制作会社を設立したメアリー・ピックフォードは別格)となったマティスは、原作の出版当初から映画化を熱望していたとされる。彼女の書いた脚本の出来栄えに感心したロウランドは、監督やキャストの人選もマティスに一任。そこで彼女は、当時『復讐のアルプス』(’20)や『征服の力』(’21)などでコンビを組み、私生活でも恋愛関係にあったとされるアイルランド出身の鬼才レックス・イングラムを監督に起用する。

さらに、マティスは当時まだロドルフォ・ディ・ヴァレンティナ、ルドルフォ・ヴァレンティナなどの名義で映画の脇役をこなしていた無名の若手俳優に注目。スタジオの反対を押し切って彼を実質的な主人公フリオ役に抜擢し、以降ルドルフ・ヴァレンティノとしてメトロ社から売り出し、ハリウッド伝説の二枚目スターへと成長していく素地を作ることとなる。
「霊魂の不滅」 Körkarlen (1921)
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監督:ヴィクトル・シェストレム
シェストレム作品の『霊魂の不滅』を100回以上も繰り返し見たという。
「フォーゲルエート城」 Schloß Vogelöd: Die Enthullung eines Geheimnisses (1921)
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評価(5点満点):★★★☆☆




舞台となるのは19世紀の半ば、深い森に囲まれた壮麗な屋敷フォーゲルエート城だ。毎年の恒例である秋の狩猟大会が開催され、領主であるフォーゲルシュレイ侯爵(アルノルト・コルフ)の友人たちが集まって来るものの、しかし初日はあいにくの悪天候。暇を持て余した人々が応接間で歓談していたところ、そこへ招かれざる客がやって来る。実の弟ペーターを射殺して財産を独占したと噂されるエーチュ伯爵(ロータル・メーネルト)だ。証拠不十分のため起訴されることはなかったが、しかし社交界では彼こそが犯人だと信じて疑わない人が多い。そんなエーチュ伯爵の思いがけない登場に、来客たちは当惑しながらも好奇の目を向ける。

困り果てたのは主催者フォーゲルシュレイ侯爵とその夫人センタ(ルル・キューザー=コルフ)。というのも、死んだペーターの未亡人であるサフェルシュタット男爵夫人(オルガ・チェーホワ)が招待されていたからだ。前夫の親友でもあるサフェルシュタット男爵(パウル・ビルト)と再婚した夫人は、エーチュ伯爵がいると聞いてショックを受け、すぐさま夫婦揃って帰ると言い出す。しかし、敬愛するファラムンド神父(ヴィクトル・ブルットナー)がやって来ると親友センタから知らされ、それならばと城に留まることにする。ローマに住む神父とは滅多に会う機会がないからだ。

そして翌日の夕方、ファラムンド神父がフォーゲルエート城に到着する。待ちかねていた男爵夫人は、長らく会っていなかった神父に積もる話を語り始める。亡き夫ペーターとの結婚生活は、最初の数年こそ幸福そのものだったが、しかし彼がスピリチャルな世界に傾倒し始めてから、すっかり状況が一変してしまったという。清廉潔白な人格者となったペーターは、妻にも聖女であることを求めるようになり、彼女はその息苦しさに耐えられなくなった。そして、その反動からやがて悪に魅せられるようになったというのだ。そこまで告白した男爵夫人は興奮のあまり言葉が続かなくなり、この日はひとまず休むことにする。

ところがその晩、寝室へ戻ったはずのファラムンド神父が忽然と姿を消してしまう。屋敷中を探しても見つからず、門番によると神父が出て行った形跡もない。人々はエーチュ伯爵の関与を疑う。彼が神父に何かしたのではないかと。しかし、そのエーチュ伯爵も午後に出掛けたままで戻った様子がない。まるで神隠しのような出来事に招待客たちは不気味さを覚え、中には恐ろしい悪夢にうなされて朝一番に城を出て行ってしまう者までいた。


原作はドイツで最初の大衆向け週刊誌Berliner Illustrierten Zeitungに連載された作家ルドルフ・シュトラッツのミステリー小説。当時の宣伝ポスターを見ると、まるでホラー映画のような禍々しい雰囲気だが、しかし実際の本編はメロドラマ・スタイルの通俗的なミステリーという印象で、招待客の悪夢を再現したドリームシークエンスにこそ怪奇幻想趣味が見られるものの、それ以外は非常にオーソドックスな仕上がりだと言えよう。
「ドクトル・マブゼ」 Dr. Mabuse, der Spieler (1922)
https://eiga3mai.exblog.jp/31366203/
ドイツ映画/270分/モノクロ・サイレント作品
評価(5点満点):★★★★☆

オープニングは疾走する列車を舞台にした緊迫の強奪劇。ドイツ・スイス間の経済協定書を持った役人が、目の前に座った怪し気な男に殺されてブリーフケースを奪われ、鉄橋に差しかかったところで男がブリーフケースを列車の窓から外へ放り投げると、猛スピードで高架下を駆け抜ける自動車がそれを見事にキャッチする。実にスピーディで計算し尽くされた連係プレイ。90年前の観客が思わず息を呑んだであろうことは想像に難くない。

この大胆不敵な強奪計画を指揮したのが、本作の主人公であるドクトル・マブゼ(ルドルフ・クライン=ロッゲ)。表の顔は高名な精神科医だが、その素顔はヨーロッパ中を混乱に陥れる巨大な犯罪組織のボス。しかも、催眠術を使って他人を自在に操り、特殊メイクを駆使して次々と他人に成り代わる変装の名人だ。そんなマブゼの常人離れした犯罪王ぶりが、強奪劇に続く冒頭の10分程度で的確に描かれる。

人の良さそうな老紳士に扮して隠れ家を出たマブゼは、道端を通りがかった足の不自由な浮浪者に金を恵んでやるのだが、この浮浪者は市中に放った無数のスパイのうちのひとりで、与えた紙幣には次なる行動の指示が記されている。で、車に乗って出かけた老紳士マブゼだが、その途中で追突事故を起こしてしまい、通りがかった別の車に助けられて目的地へ向かう。しかし、これもまた実は計画通りで、乗り換えた車は先ほど列車からブリーフケースを受け取った部下の車だ。ここでマブゼは部下に経済協定書の取り扱いを指示する。

やがて車は貧民街の真ん中でストップするのだが、中から出てきたのは酔っぱらいの中年労働者。もちろん、その正体はドクトル・マブゼ。車の中で次の変装をしていたのだ。で、酔っぱらい親父マブゼがとある家の前へ差し掛かると、口うるさいおかみさんがガミガミ言いながら出迎える。もちろん、このおかみさんもマブゼの手下。帰り着いた我が家は秘密基地のひとつで、その地下室は偽札工場になっている…というわけだ。

このようにマブゼは、市民の日常生活に紛れ込むことで自らの存在を周囲の目から徹底的に隠し、網の目のように張り巡らされたスパイ網を駆使して思い通りに犯罪を遂行していく。そりゃ当局の捜査線上になかなか浮かんでこないわけですよ。直接の手下以外は、その素顔も正体も知らないわけだから。そのうえ神出鬼没。たとえ事件の現場に居合わせたとしても、巧妙に変装をしているため誰もその存在に気付かない。恐らくジゴマやファントマといった連続活劇映画の怪盗たちを下敷きにしつつ、そこへスヴェンガリやファウストのような悪魔的要素を融合させたのだろう。

本作ではそんな希代の犯罪王ドクトル・マブゼによる悪行の数々を軸としつつ、犯罪撲滅に凄まじい執念を燃やす検察官フォン・ヴェンク(ベルンハルト・ゲッツケ)との熾烈な戦いが描かれていく。さらに、己の命を差し出すほどマブゼに心酔して悪事に加担する美しき踊り子カーラ(アウド・エゲーデ=ニッセン)、恵まれた暮らしに退屈したことから刺激を求めて裏社会と関わるトルド伯爵夫人(ゲルトルード・ヴェルカー)、違法賭博や女遊びにうつつを抜かす大富豪の御曹司エドガー(パウル・リヒター)などが絡むことで、後にラング自身も認めているように、第一次世界大戦後の腐敗したドイツ社会の世相を浮かび上がらせているのだ。
「シャーロック・ホームズ」 Sherlock Holmes (1922)
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俳優ジョン・バリモア:
「アメリカで最も偉大な悲劇俳優」とも呼ばれたブロードウェイの伝説的な大スター。
これは、40歳のバリモアが、世界で最も有名な私立探偵シャーロック・ホームズ役に挑んだ作品である。

物語の始まりはケンブリッジ大学:
教授が保管していたアスリート基金の現金が盗まれた。
学生である欧州某国のアレクシス王子(レジナルド・デニー)に犯人の疑いがかけられる。
もしも逮捕されたら王室の名誉が汚されるばかりか、国際問題にまで発展してしまう。
危惧したアレクシス王子は、寮のルームメイトである医学生ワトソン(ローランド・ヤング)に相談。

ワトソンとシャーロック・ホームズ:
ワトソンは、頭脳明晰と学内でも評判の同学年シャーロック・ホームズ(ジョン・バリモア)に犯人探しを頼む。
その頃、下宿先で過ごしていたホームズは、たまたま転んで怪我をした。
ところを介抱してくれた女性アリス・フォークナー(キャロル・デンプスター)に一目惚れ。

ケンブリッジの学生ウェルズが窃盗犯:
ワトソンからアレクシス王子の件を相談されて、犯人探しに協力することとなったホームズ。
すると、すぐに怪しい人物の存在が浮上する。
同じケンブリッジの学生ウェルズ(ウィリアム・パウエル)だ。
学生ウェルズは、夜中に学生寮をうろついて何かを探していた。
ホームズは、「学生ウェルズが、アレクシス王子のカフスボタンの持ち主だ」と見抜いた。
逃げようとしたウェルズを捕まえて問い詰めると、自らが盗難事件の犯人であることを白状する。

ロンドン下町の犯罪王:モリアーティ教授:
実は、ウェルズの父親はロンドン下町の犯罪王・モリアーティ教授(グスタフ・フォン・セイファーティッツ)の手下だった。
その父親が亡くなったため、ウェルズはモリアーティ教授の後を継ぐよう強制された。
そして、上流階級との繋がりを作るため、ケンブリッジ大学へ送り込まれたのだ。
ウェルズ自身は犯罪の世界を嫌悪:
ウェルズは、モリアーティ教授の組織から逃げようと考え、その資金にするため盗みを働いた。
アレクシス王子に濡れ衣を着せたのは、「外国の王族なら、逮捕を免れるだろう」と思ったからだ。
しかし、「アレクシスは3番目の王子で王位継承権がない」ため、外国王室の特権が通用しなかった。
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ダグラス・フェアバンクスの代表作である。
古代イスラム世界の有名な説話集・千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)
フェアバンクス演じる怠け者で罪深いバグダッドの盗賊が、よりによって美しいお姫様に恋をした。
彼女と結婚するため幻の秘宝を探し求めて冒険の旅に出る。

物語のテーマ:「幸福とは努力して手に入れるもの」
自身も苦労して成功を手に入れたフェアバンクス自身のモットーだった。
主演のみならず製作・原案もフェアバンクスが手掛け、
フェアバンクスも現場でしばしばメガホンを取っており、
実質的には彼の監督作も同然だったと言われている。
天下のダグラス・フェアバンクスが、その映画人生の集大成として挑んだ超大作だ。

舞台はイスラーム帝国の中心地バグダッド。
盗賊アフメッド(ダグラス・フェアバンクス):
金だろうが女だろうが欲しいものは手当たり次第に盗み、ろくに働きもせず自由気ままに暮らしていた。
そんなある日、盗賊アフメッドは、路上の魔術師から盗んだ魔法のロープで、王宮へ忍び込んだ。
姫君の寝顔に一目惚れ:
王様カリフ(ブランドン・ハースト)の一人娘である姫君(ジュラン・ジョンソン)の寝顔に一目惚れしてしまう。
しかし、異変に気付いたモンゴル人侍女(アンナ・メイ・ウォン)が騒いで、衛兵が駆けつけた。
アフメッドは慌てて王宮から逃げ出すのだった。
姫君の誕生日に侵入:
なんとしてでも、あの美しい姫君を手に入れたい。
そんな折、姫君の誕生日を祝う宴が王宮で開かれた。
各地から花婿候補が集まると聞いた。
彼は、どさくさに紛れて姫君を誘拐しようと思いつく。

盗賊仲間(スニッツ・エドワーズ)の協力:
「七つの島と海の王子」に化けたアフメッドは、花婿候補のひとりとして王宮へ足を踏み入れることに成功。
姫君は、占い師から「王宮の庭に咲くバラを手にした男性が運命の相手だ」とのお告げを受けた、
期待に胸を膨らませながら花婿候補の行列を眺めていた。
しかしインド王子(ノーブル・ジョンソン)は不機嫌そうな様子だ。
ペルシャ王子(マチルデ・コモン)は脂肪の塊みたいに太っている。
モンゴル王子(上山草人)のその邪悪な顔つきは見るもおぞましかった。
この中から花婿を選ばなくてはいけないの?
姫君が絶望しかけたところへやって来たのがアフメッド。
姫君は、その颯爽としたハンサムな風貌に一目惚れした、
アフメッドが庭のバラを手にする姿を見て「彼こそが運命の人に違いない!」と心ときめかせるのだった。

アフメッドの正体は盗賊:
一方、モンゴル王子は、モンゴル人侍女からアフメッドが盗賊だと知らされ、それをカリフへと報告。
実は、モンゴル王子はバグダッドの占領支配を目論んでいる。
偵察のための女スパイを姫君の侍女として送り込んでいたのだ。
正体のバレたアフメッドは鞭打ちの刑に処され、牢獄へ閉じ込められた。
なんとか彼を王宮の外へ逃がすことが出来た姫君だった。
最も珍しい秘宝を持ってきた王子と結婚:
しかし残りの3人から花婿を選ばねばならなくなる。
姫君は、3人の中から7ヶ月以内に最も珍しい秘宝を持ってきた王子と結婚すると宣言。
インド王子とペルシャ王子、そしてモンゴル王子は、従者を連れて秘宝探しの旅へ出ることになる。

また、見るからに薄気味の悪いモンゴル王子を演じるのは日本人俳優・上山草人。日本から渡米して日系人劇団で活動していた草人は、本作の企画を知って自ら売り込んでモンゴル王子役を得たという。欧米でアジア人の脅威を煽る黄禍論が盛んだった当時、彼は悪役専門のアジア系俳優として「Soujin」の名前で活躍。当時の本作の宣材資料には、「日本で最も偉大なシェイクスピア俳優」と宣伝されていたそうだ。面白いのは、コロコロに太ったペルシャ王子をマチルデ・コモンというフランス女優が演じていること。確かによく見ると男性ではなく、付け髭を付けたふくよかな女性である。そうそう、インド王子役のノーブル・ジョンソンは、ハリウッドにおけるアフリカ系俳優の先駆者だ。
「芸術と手術」 Orlacs Hände (1924)
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ドイツ表現主義映画の傑作にしてサイレント・ホラー映画の金字塔『カリガリ博士』(’20)の名匠ロベルト・ヴィーネが、第二の祖国とも呼ぶべきオーストリアで撮った異色の心理恐怖譚である。
ヴィーネだが、その一方で隣国ドイツよりも映画界の成長が遅かったオーストリアで初の映画組合創設にも尽力。『カリガリ博士』で世界的な名声を手に入れ、同名ロシア文学をドイツ表現主義の手法で映画化した『罪と罰』(’23)も高く評価された彼が、満を持して取り組んだ初めてのオーストリア映画が本作だった。

高名なコンサート・ピアニストのポール・オルラック(コンラート・ファイト)は、巡業公演を終えて最愛の妻イヴォンヌ(アレクサンドラ・ソリーナ)の待つ自宅へ向かっていたところ、たまたま利用した夜行機関車が衝突事故を起こしてしまう。駅で出迎えようとしたイヴォンヌは、事故の知らせを聞いて慌てて現場へと急行。専属運転手の協力で意識不明の夫を発見した彼女は、その足で友人の外科医セラ(ハンス・ホンマ)のもとへ駆け込む。
頭部を激しく強打して昏睡状態とはいえ、ひとまず命に別状はないポール。しかし、損傷の著しい両手は切断する以外に方策がなかった。ピアニストが天職の夫にとって、手は命よりも大切なもの。なんとか両手を失わずに済む手段はないのか?涙を流しながら懇願するイヴォンヌに心動かされたセラ医師は、その晩たまたま病院へ担ぎ込まれたある人物の遺体の両手をポールに移植する。

イヴォンヌの献身的な看護のおかげもあり、ほどなくしてポールは意識を取り戻す。愛する妻の顔を見て安堵の表情を浮かべたポール。しかし、包帯を巻かれた両手に妙な違和感を覚え、さらにはこちらをジッと見つめる不気味な男の幻覚に悩まされる。
まるで、自分の手が自分のものではないみたいだ。不安を募らせるポールにセラ医師は両手を生体移植したことを告げ、そのうえで包帯を取って見せる。移植手術は無事に成功していた。
ところが、いよいよ明日の朝は退院というタイミングで、彼の病室に差出人不明の手紙が置かれていた。そこに書かれていたのは、移植されたポールの両手が殺人犯のものであるという告発。大きなショックを受けたポールが問いただすと、セラ医師は渋々ながらもそれが事実であることを認める。ポールに移植された両手は、処刑された強盗殺人犯ヴァッスールのものだったのだ。

それ以来、ポールは自分の両手が勝手に動き出して殺人を犯すのではないかという妄想に囚われていく。
コンサート活動はおろか日常生活すらまともに送れなくなってしまい、オルラック夫妻は借金の返済に苦しめられるようになる。

久しぶりに父親のもとを訪ねたポール。すると、そこにはナイフで胸を一突きされた父親の遺体が転がっていた。
殺人鬼の両手を生体移植されたピアニストの周囲で起きる殺人事件。
果たして、血に飢えた両手が勝手に動き出して人を殺めたのか?
それともピアニストの強迫観念を逆手に取った何者かによる陰謀なのか…?
「夜の女」 Lady of the Night (1925)
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ハリウッド黄金期における最大の映画スタジオMGMの女王として君臨した。
伝説的な大女優ノーマ・シアラーの出世作である。
1923年、シアラーは、ルイス・B・メイヤーと専属契約を結んで映画に出演するようになった。
1924年、メイヤーが、にメトロ社およびゴールドウィン社との合併スタジオMGMを設立した。
シアラーは、MGM社が得意とするメロドラマで、めきめきと頭角を現していく。
特に評判となったのが、裕福な上流階級の令嬢と、不幸な生い立ちの商売女という1人2役を演じた『夜の女』だ。
これを機にシアラーはMGMを代表するトップ女優へと成長することとなった。

窃盗犯クリスとバニング判事:
クリス・ヘルマー(リュー・ハーヴェイ)は窃盗罪で、生まれたばかりの娘と妻を残し、警察に連行された。
厳格なバニング判事(フレッド・エスメルトン)は、クリスに禁固20年の刑を言い渡した。
それから17年後:
同じ頃にヘルマーの娘モリー(ノーマ・シアラー)が、女子少年院を出る。
奇しくも、バニング判事の娘フローレンス(ノーマ・シアラー)も、私立学校を卒業する。
身寄りのないモリー:
母親を亡くして身寄りのないモリーは、酒場でタクシー・ダンサー(ダンスの相手をして金を稼ぐホステス)として働く。
やがてお人好しのチンピラ、チャンキー(ジョージ・K・アーサー)と付き合うようになった。
強いデヴィッドに一目惚れ:
そんなある日、ヤクザな客に絡まれたモリーは聡明な若者デヴィッド(マルコム・マクレガー)に助けられる。
真面目で腕っぷしが強いデヴィッドに一目惚れしてしまうモリー。
当然ながらチャンキーは気に食わないものの、愛するモリーの恋路を邪魔するような度胸もなかった。

実は無名の発明家であるデヴィッド:
「世界中の金庫を自在に開け閉めできる機械」を、開発したばかりだった。
モリーがデヴィッドにアドバイス:
銀行の防犯システムとして採用して貰えるんじゃないか?
その言葉通り、彼の発明は銀行の役員たちから評判となり、破格の契約金で取引が成立した。
これで一躍、大金を手にしたデヴィッド。
実は、その役員のひとりがバニング判事であった。

デヴィッドは父親を訪ねて来た娘フローレンスと出会い、お互いにひと目で恋に落ちる。
やがて頻繁にデートを重ねるようになったフローレンスとデヴィッド。
そうとは知らないモリーは彼への想いを募らせていくが、しかしデヴィッドにとってモリーは気の合う友達でしかなかった。
そんな折、フローレンスとデヴィッドの逢引現場にモリーが鉢合わせてしまう。
ショックを受けながらも、事情を察して立ち去っていくモリー。
「ビッグ・パレード」 The Big Parade (1925)
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黄金期のハリウッドを代表する巨匠キング・ヴィダーの出世作であり、戦争映画の金字塔とも呼ばれる不朽の名作である。なにしろ、公開当時に2000万ドル前後と言われた本作の興行収入は、現在の金額に換算すると3億5000万ドルを優に超えるという
本作がD・W・グリフィス監督『國民の創生』(’15)と並んで、サイレント期のハリウッドで最も興行的に成功した映画と言われる

ヴィダー監督は、いわばそのアンチテーゼとして徹底的にリアルな戦争映画を志した。
それが、一兵卒の視点から戦場の悲惨な地獄を生々しく再現した野心作『ビッグ・パレード』(’25)だったのである。

物語の始まりは1917年。当時、すでに第一次世界大戦の勃発から3年が過ぎようとしていた
裕福な会社経営者アッパーソン氏(ホバート・ボスワース)の次男坊ジェームズ(ジョン・ギルバート)、
厳格な父親のもと修業を積む従順な兄ハリー(ロバート・オバー)とは対照的に、父親に反抗して仕事もせず遊んでいる自由人。

いよいよアメリカもドイツへ宣戦布告し、第一次世界大戦へ参戦することになる。たちまち国中で戦意高揚の気運が高まり、国民の間でもにわかに愛国心が広まっていくが、しかし遊び人の不良青年ジェームズはいたって無関心。
たまたま兵役志願者の送迎パレードに出くわしたジェームズは、楽団の演奏する軍歌の軽快なリズムに気分が高揚し、なおかつ志願者の中に学生時代の友人たちがいたことから、思わずその場のノリで志願書類を提出する。それを知った母親は大きな衝撃を受けて悲しむが、しかし父親は大喜びで誇らしげに息子を戦争へ送り出すのだった。

過酷な訓練を経てジェームズが到着したのは、フランス北部の小さな村シャンピヨン。
そこで彼は、同じ部隊に所属するシャイで不器用な建設作業員のスリム(カール・デイン)、
ブロンクスの違法酒場で働く粗野なバーテンのブル(トム・オブライエン)と友情を深めていく。

ジェームズはその農家のひとり娘メリサンド(ルネ・アドレー)に一目惚れする。
スリムやブルも同じくメリサンドに好意を抱き、断られても断られてもしつこく猛アタックするのだが、
しかし彼女はスマートで紳士的で優しいジェームズに惹かれていく。
「アクメッド王子の冒険」 Die Abenteuer des Prinzen Achmed (1926)
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評価(5点満点):★★★★★




現存する世界最古の長編アニメーション映画であり、『白雪姫』(’37)や『ファンタジア』(’40)などのディズニー・アニメにも多大な影響を及ぼしたと言われる作品。それがドイツの女性アニメーター、ロッテ・ライニガーの手掛けた、美しくも壮麗な影絵アニメーション『アクメッド王子の冒険』だ。

もともと舞台女優だったというライニガー。高名なマックス・ラインハルトの劇団に所属していた彼女は、休憩の合間などに趣味の切り絵を楽しんでいたところ、同劇団出身のスーパースターで映画監督でもあったパウル・ウェゲナーに認められ、彼の作品のタイトル・シークエンスや字幕シークエンスのシルエット・デザインを任されるようになる。当時はまだサイレント映画の時代。シーンとシーンの間に挿入される字幕には、その重要性ゆえ凝った装飾が施されることも多かったのだ。やがてウェゲナー作品でストップモーションによる特撮を手掛けたライニガーは、その実力が認められベルリンの文化研究所でアニメーションの実験研究を行うように。そこで将来の夫カール・コッホやワルター・ルットマンらアヴァンギャルド作家と知り合い、切り絵を使った影絵アニメーションを手掛けることとなる。

影絵アニメを制作するために、ライニガーは専用の機械を夫コッホと共に開発。それはミシン台のような形をしており、真ん中にはガラス板がはめ込まれ、2本の電球によって真下から照らされている。これが言うなればフレームとなるわけだ。そこに半透明の薄い紙に描かれた背景画を敷き、その上にメインの切り絵を配置する。紙の切り絵は随所をワイヤーによってパーツが繋がれており、それを少しづつ動かしながらコマ撮りすることでアニメーションが完成するわけだ。もちろん、これはあくまでも単純な基本構造であり、様々な実験を重ねることで、より複雑かつダイナミックな映像表現が可能となっていったのである。

1919年から短編の影絵アニメーションを発表するようになったライニガーと仲間たち。背景画の抽象的デザインなどはワルター・ルットマン、縫い針や石鹸の泡、二重露光など様々な素材や技巧を駆使した特殊効果はベルトルド・バルトッシュといった具合に、各アーティストがそれぞれの得意分野で制作に携わる一方、ライニガーは総監督として演出からデザイン、ストーリーまで全体の舵取りを行い、さらには全ての切り絵を自ら一人で作り上げたという。そして、短編アニメのみならず企業コマーシャルも手掛けるようになった彼らに銀行家ルイス・ハーゲンが声をかける。インフレ対策の一環で大量の映画用フィルムを購入したハーゲンは、それを使って長編アニメ映画を作らないかと持ち掛けたのだ。当時のアニメは短編が一般的だったことからはじめは躊躇したというライニガーだが、仲間たちと相談のうえで引き受けることにする。そうして生まれたのが本作だったというわけだ。

制作におよそ3年を費やしたという本作。ストーリー自体はアラビアの説話集『千夜一夜物語』からの抜粋だが、『ライニガーのデザインした影絵アートはインドネシアの伝統的な影絵芝居ワヤン・クリッをお手本としている。そのオリエンタルでエキゾチックでボタニカルなデザインは、アラビアン・ナイトの世界にピッタリで全く違和感なし。全体的なアニメーションの動きはぎこちなさも目立つが、しかし部分的には驚くほどなめらかできめ細かく、なによりも女性キャラクターの奥ゆかしい動作を含めた艶めかしさは特筆に値する。とにかく手が込んでいて美しいのだ。

さらに、魔法のランプから巨大な精霊が現れたり、魔法使いが瞬時に様々な動物へ姿を変えるなど、後年の特殊視覚効果を先駆けたような映像表現の豊かなイマジネーションも素晴らしい。中でも見どころは終盤の魔法使いVS魔女の妖術バトルと、アクメッド王子VS魔物軍団の全面戦争。お互いが次々と猛獣に変身し、さらには火の玉で攻撃しあう妖術バトルは迫力満点。あの火の玉のリアルな特殊効果など、どうやって作ったんだろう?と驚かされる。辺り一面に湧いて出る魔物たちとアクメッド王子の壮絶な戦いも超スペクタクル。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズに至るまで、あらゆるファンタジー・アクション映画の原点がここにあると言っても過言ではないだろう。

1926年9月3日にドイツのベルリンで初上映された『アクメッド王子の冒険』。ただ、やはり当時は長編アニメーションという形態そのものが異例だったこともあり、芸術的な評価は高かったものの、ロードショー公開へ向けての配給元がなかなか見つからず。フランスの巨匠ジャン・ルノワールの取り計らいでパリで上映されたところ大反響を巻き起こし、それを契機に各国で劇場公開されるようになったという。本作を見て強い感銘を受けたウォルト・ディズニーは、本作の魔法使いの表情や手の動きを『白雪姫』の邪悪な女王の動作の参考にしたとされるほか、『ファンタジア』の制作の際にはワルター・ルットマンをハリウッドへ招いている。

なお、その後ナチスの台頭を避けて国外へ脱出したライニガーとコッホの夫妻は、ルノワールやルキノ・ヴィスコンティらとの仕事を経て、戦後もコンスタントに子供向けの影絵アニメーションを制作。日本の藤城清治やフランスのミッシェル・オスロなど、彼女の作品に影響を受けた芸術家は少なくない。その名刺代わりの代表作とも言える本作は、80年以上を経た今も見る者の胸をワクワクとときめかせる。時代に色褪せることのない魔法のような傑作だ。
「雀」 Sparrows (1926)
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「心の不思議」 Geheimnisse einer Seele (1926)
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『カリガリ博士』(’20)や『ドクトル・マブゼ』(’22)、『ヴァリエテ』(’25)など、一連の表現主義映画で世界中の映画人に多大な影響を与え、サイレント期に黄金時代を享受したドイツ映画界。
それらの大半を製作したのが、ドイツ最大の映画会社ウーファである。
一般的な劇映画からニュース映画、教育映画まで幅広く手掛けたウーファは、1918年に文化映画部門を設立。
次なるプロジェクトとして、より同時代的な題材を探し着目したのは、当時世界中で話題を呼んでいた「精神分析学」だった。
ここで定義される文化映画とは、娯楽目的だけではなく教育にも役立つ高度に知的な映画のことで、その制作部長としてハンス・ニューマンが任命される。

20世紀初頭に心理学者ジークムント・フロイトが初めて提唱し、精神医学の世界に革命をもたらした「精神分析学」。
「無意識」という概念の発見は、精神医学のみならず思想や文学・芸術などの分野にも大きな影響をもたらす。
これまでに数多くの映像作家がフロイト的な視点から人間心理の深淵に迫ろうとしてきた。
本作が目指したのは、ずばり「精神分析学」における「無意識」の映像化。
ここではより学術的かつ具体的に人間の潜在意識をビジュアルで表現しようとしたのである。

医者フェルマン(ヴェルナー・クラウス)は、幼馴染である妻(ルート・ヴァイアー)と幸福に暮らしている。
子供好きの彼はなかなか子宝に恵まれないことが悩みだったが、しかしそれ以上に妻のことを心から愛していた。
そんなある日、フェルマン宅のすぐ近所で殺人事件が発生。
どうやら夫が妻をカミソリで殺してしまったらしい。
少なからずショックを受けたフェルマンは、それ以来鋭利な刃物に対して強い恐怖心を抱くようになる。
これがきっかけとなり、夜ごと悪夢に悩まされていくフェルマン。
そこでフェルマンは、強迫観念の原因となる過去の出来事をさかのぼり、己の潜在意識の中に眠るコンプレックスやトラウマと向き合っていく…。

『パンドラの箱』(’29)や『三文オペラ』(’31)で知られる巨匠G・W・パブストが監督を任される。
当時のパブストは出世作『喜びなき街』(’25)が大評判となったばかりだ。
まだデビューして3年目の新人監督ゆえ、本作はあくまでも雇われ仕事だったようだ。

特撮を駆使して描かれるドリーム・シークエンス:
悪夢的なイメージのたたみかけによって人間心理の不条理を具現化させている。
シュールレアリズム的な実験映像としてなかなか興味深い。
「魔術師」 The Magician (1926)
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アメリカ映画/88分/モノクロ・サイレント作品
評価(5点満点):★★★★☆

<あらすじ>

舞台はフランスのパリ:
名門大学や美術学校が集中する学生の街カルチエ・ラタン。
女性マーガレット(アリス・テリー)は、ローマ神話に出てくる半人半獣の農耕神ファウヌスの巨大な像を制作して。
マーガレットが半身不随に:
マーガレットが倒れてきた彫刻の下敷きとなり、半身不随になってしまう。
マーガレットの後見人である伯父のポルオエ博士(フィルミン・ジェミエ):
伯父のポルオエ博士は、若くて前途有望な姪の将来を心配した。

高名な外科医に手術を依頼:
アメリカ人の高名な外科医アーサー・バードン(イワン・ペトロヴィッチ)に手術を依頼する。
困難を極めたオペは見事に成功し、人々はアーサーのことを「神の手を持つ名医」と称賛。
さらに、年齢の近いマーガレットとアーサーはお互いに愛し合うようになる。

そんなアーサーの手術を憎々しげな表情で見学する男がいた。それが医学生のハドー(パウル・ヴェゲナー)。秘かに古代の錬金術を研究している彼は、既に存在する生命を救うことなどたわいもない、生命をいちから創造してこそ神にたとえられるべきだと考えており、アーサーの名声に対して激しいライバル心を燃やしていたのだ。アルセナル図書館で古文書を調べていたハドーは、ついに生命創造の秘訣を記した文書を発見。そこには、様々な材料のひとつとして「処女の心臓の血」が記されていた。これなくして生命を創造することは不可能だという。そこで彼が目をつけたのがマーガレット。アーサーの婚約者であり、未婚の処女である彼女を生贄にしようというのだ。

偶然を装ってマーガレットに近づくハドー。自己顕示欲の強い彼は、自らが習得した魔術をアーサーやポルオエ博士に見せつけて悦に入る。そんなハドーのことを薄気味悪く感じるマーガレット。さらに、同居人である親友の画家スージー(グラディス・ハマー)の留守を狙ってマーガレットの自宅へ押しかけたハドーは、催眠術を使って彼女に悪夢のような幻覚を見せる。それは、農耕神ファウヌスに誘惑されるという淫らな妄想だった。この件をきっかけにハドーの魔力に抗えなくなったマーガレットは、アーサーとの結婚式の当日に忽然と姿を消してしまう。ハドーと結婚するとの書置きを残して。大きなショックを受けるアーサーだったが、しかしマーガレットがハドーに操られていることを確信し、ポルオエ博士と共に彼女の行方を捜すことにする。

やがて、アーサーとポルオエ博士はモンテカルロのカジノでマーガレットを発見。催眠術の解けかかった彼女を救い出し、郊外のサナトリウムで療養させることとなる。しかしハドーの魔手はここへも及び、アーサーらが目を離した隙にマーガレットは連れ去られてしまう。辺鄙な片田舎の古城に実験設備を整え、いよいよ生命創造の神秘に迫ろうとするハドー。果たして、アーサーたちはハドーの野望を打ち砕いてマーガレットを救うことが出来るのか…!?

MGMの配給によって全米公開された本作だが、少なくとも’60年代まではフィルムが紛失したものと考えられていた。しかし、その後世界各地で上映用プリントが幾つも発見され、現在はワーナー傘下のクラシック映画専門配給会社ターナー・エンターテインメントが著作権を保有している。ただ、現存するフィルムの上映時間はオリジナルよりも9分ほど短い79分。ワーナーから発売されているオンデマンドDVDも、この短縮バージョンで収録されている。
「ドン・ファン」 Don Juan (1926)
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舞台は中世ヨーロッパ。気性が激しく誇り高いスペイン貴族のドン・ホセ・ド・マラナ(ジョン・バリモア)
最愛の妻ドンナ・イソベル(ジェーン・ウィントン)が秘かに浮気していることを知り、
不倫相手の青年貴族レアンドロ(ジョン・ロッシュ)を城の壁へ生き埋めにしたうえで、
妻をひとり息子ドン・ファンから引き離して追放してしまう。
怒りと悲しみで女性を激しく憎悪するようになった

それ以来すっかり人が変わってしまい、取っ換え引っ換え愛人を作っては色欲に溺れていた。
その結果、ドン・ホセは、棄てた愛人のひとりドンナ・エルヴィラ(ヘレナ・ダルギー)に恨まれてナイフで刺し殺される。
今わの際に彼は、最愛の息子ドン・ファンへ「女のことなど決して本気で愛しちゃいけない。適当に遊んで飽きたら棄てれば良いんだ」と言い残して息絶えるのだった。

成長したドン・ファン(ジョン・バリモア2役)は、イタリアのピサ大学を優秀な成績で卒業してローマに居を構えていた。
亡き父親の言いつけ通りに女性を遊び道具としか見做さず、次々と美女を誘惑しては飽きたらポイッと捨ててしまうプレイボーイのドン・ファン。

その噂を聞きつけて強い関心を持ったのは、恐怖政治でローマを支配する独裁者チェザーレ・ボルジア(ワーナー・オーランド)の妹ルクレツィア(エステル・テイラー)だ。自身も絶世の美女として知られるルクレツィア
たとえドン・ファンであろうと私の美貌にかかればイチコロ、きっと本気で夢中になるはずだわ!と考え、ボルジア家主催の華やかな舞踏会に彼を招待する
「あれ」 It (1927)
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アメリカ映画/71分/モノクロ・サイレント作品

ニューヨークの下町ブルックリンの貧困家庭:
アル中でほとんど家に帰ってこない無責任な父親と、遺伝的な精神疾患を抱えながら生活費を稼ぐ。
自宅で売春をする母親に育てられたクララは、苦しくて辛いどん底の生活から抜け出すべく映画スターを目指した。
美人コンテストで優勝し、’22年に映画デビュー:
彼女は、チャーミングでコケティッシュな明るい個性と感受性豊かな天性の表現力に恵まれた
『船に打ち乗り海原指して』(’23)のボーイッシュなお転婆娘役で最初に脚光を浴びる。
屈託のないセックスアピールを発揮:
天真爛漫で屈託のないセックスアピールを発揮するようになったクララは、
『酒!』(’24)や『電光娘』(’25)、『モダンガールと山男』(’26)、『人罠』(’26)などの主演作を次々とヒットさせた。

原作はイギリス出身の女流小説家エリナー・グリンが雑誌「コスモポリタン」で発表した同名の短編小説。
流行作家のグリン女史だが、大胆な性描写を含む女性向けの恋愛小説は特にアメリカの大衆から支持され、
当時は映画界や社交界にも引っ張りだこの有名なセレブだった。
本作でも豪華なイブニングドレスを身にまとって本人役でゲスト出演し、「It(あれ)」とは何かを主人公たちに説明する。
そのグリン女子曰く、「あれ」とは男女に関係なく生まれ持って備わった、異性を惹きつけてやまない魅力のこと。
要するにセックスアピール:
それは顔つきや体型など物理的なものを超越して、どれだけお洒落をして着飾っても「あれ」を手に入れることは出来ない。
生まれながらに「あれ」を備えた男女だけが、理想の相手と結婚が出来る。

若い女性ベティ:(クララ・ボウ)
ニューヨークの有名な大手デパートで、ランジェリー売り場の販売員として働く。
天真爛漫で元気いっぱいの彼女は、歯に衣着せぬ物言いでたびたびトラブルを起こす。
無邪気な笑顔と気風の良さで周りから愛されている。
同居人の親友モリー(プリシラ・ボナー)はデパートの同僚。子
気遣うベティは、子供を出産したばかりのモリーを、自分の給料で母子を養っている。
ベティは新社長に一目惚れ:
そんなある日、デパートの先代社長が年齢を理由にして引退した。
その一人息子サイラス(アントニオ・モレノ)が後を継ぐこととなる。
新社長として売り場を見学に来た若くてハンサムなサイラスに、ベティはすっかり一目惚れした。
なんとかして彼の気を引こうとアピールするものの、クソ真面目な仕事人間のサイラスは目もくれない。

そんなベティに関心を寄せたのが、サイラスにくっついてきたお調子者の親友モンティ(ウィリアム・オースティン)。彼女こそ今世間で話題の「あれ」を持った女性だ!ベティが自分にアピールしていると勘違いしたモンティは、すっかり有頂天となって彼女をデートに誘う。いやいや、あなたはお呼びじゃないんですけど!と思ったものの、すぐに考えを改めるベティ。というのも、今晩ホテル・リッツのレストランで食事をするというサイラスの話を立ち聞きしていたのだ。これは彼に接近するまたとないチャンス!そう考えたベティは、ホテル・リッツに連れて行くことを条件に、モンティからのデートの誘いを受ける。しかし、よくよく考えるとホテル・リッツに着ていくようなドレスがない。途方にくれたベティだったが、またもやパッとアイディアが閃く。安物のワンピースをハサミでジョキジョキと裁断したベティは、モリーにも手伝ってもらって流行り風のイブニングドレスにリメイクしてしまう。

かくして、精いっぱいのお洒落をしたベティは、モンティにエスコートされ意気揚々とホテル・リッツへ参上。見るからに手作りの安っぽいドレスにレストランのマネージャーは呆れ顔で、上流階級のリッチなマダムたちも眉をひそめるものの、根っからのポジティブ・シンキングなベティは一切お構いなし。ウェイターの制止を無視して、ど真ん中のテーブルに陣取った彼女は、お目当てのサイラスを見つけて熱い視線を送る。そんな彼女にサイラスも一発でメロメロ。どうやら自分のデパートの社員だとは全く気付いていない様子だが、ベティにしてみれば彼を夢中にさせられればこっちのものだ。ところが、よく見ると彼には連れの女性がいる。モンティによると彼女はサイラスと幼馴染の大富豪令嬢アデラ(ジャクリーン・ガッズドン)といい、周囲はいずれ2人が結婚するものと期待しているという。そうはさせないわよ!ということで、ベティはサイラスに猛アプローチ。また会えますよね?と名残惜しげな彼にベティは、きっと貴方は次に私と会っても気付かないはずよ、と意味深な言葉を残して立ち去っていく。これも男心を手玉に取るための手練手管だ。

そして、なんといっても主演のクララ・ボウ。その愛くるしいことといったら!どこか幼い少女の面影を残したキュートな童顔と、無邪気で屈託のない満面の微笑みは、セクシーというよりもむしろ健康的な親しみやすさがある。彼女が当時の映画ファンを夢中にさせたというのも大いに納得。グレタ・ガルボのように男性から崇拝される美の女神とも、リリアン・ギッシュのように男性が守りたくなる可憐で奥ゆかしい聖女とも違う、生命力に溢れるナチュラルな明朗快活さこそが彼女の持ち味だ。そんなクララ・ボウにとって、意志が強くて誇り高い庶民の逞しさと、恋する乙女のピュアな繊細さを併せ持つヒロインのベティはこれ以上ないくらいのハマリ役。しかも、喜怒哀楽の感情が豊かなベティを実に生き生きとした表情で演じきっている。本作の大ヒットでトップスターの地位を揺るぎないものとした彼女は、たちまち「イット・ガール」と呼ばれて時の人となったわけだが、その抗しがたいほどの魅力は今なお全く輝きを失っていない。
見世物(1927): the show wiki
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カーニバル見世物小屋を舞台に、愛と憎しみと殺人と策略が複雑に交錯する。いかにもブラウニング好みの題材だ。

見世物小屋で人気の演目は、看板スターのサロメ(ルネ・アンドレ)が演じる「洗礼者ヨハネの死」

ところが、レナが現金を奪われたことを警察に通報した。ロビンは彼女の父親を殺した容疑者として追われる身となってしまう。
そんなロビンを匿おうとするサロメ。

愛憎入り乱れる恋愛メロドラマにして、殺意と欲望の渦巻く犯罪サスペンス。なおかつ、怪奇幻想的なホラー・ムードも漂う。
「サンライズ」 Sunrise: A Song of Two Humans (1927)
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ドイツ表現主義映画の巨匠F・W・ムルナウのハリウッド・デビュー作。
アメリカ映画の歴史に燦然と輝く不朽の名作である。
第1回アカデミー賞授賞式:1929年5月16日
主演女優賞ジャネット・ゲイナーは、3部門でアカデミー賞を獲得した。
本作は、名もなき平凡な夫婦の波乱に満ちた1日を通して、人間の愚かさと醜さと美しさと気高さを描いた。

それは湖のほとりに佇む、平和で美しい小さな村。
毎年夏休みシーズンになると、都会から大勢の観光客がやって来る。
若い男(ジョージ・オブライエン)は、優しい妻(ジャネット・ゲイナー)と可愛い子供に恵まれて幸せに暮らしていた。
しかし都会の女(マーガレット・リヴィングストン)に誘惑され、仕事も家庭も放り出して情事に溺れていた。
そんなある晩、女と密会した男は、彼女から妻殺しの計画を持ちかけられる。
奥さんをボートに誘い出して、事故に見せかけて殺してしまえというのだ。
そうすれば、都会で一緒に楽しく暮らせると。まさか自分にそんなこと出来るはずがない。
この恐ろしい計画にひどく動揺し、罪悪感で眠れぬ夜を過ごした男だったが、その翌朝ついに覚悟を決める。

幼い子供の世話をメイド(ボディル・ロージング)に任せ、ボートに乗って向こう岸へと向かう男と妻。
しかし、すぐに妻は夫の様子がおかしいことに気付く。
いよいよ妻を手にかけようと立ち上がる男だったが、しかし怯えて命乞いをする妻を見てガックリと膝を落とす。

やはり彼には妻を殺すことなど出来なかった。
やがてボートが向こう岸へ着くと、恐怖とショックのあまり一目散に逃げだす妻。
ちょうど通りがかった路面電車に妻は飛び乗り、必死に後を追いかけてきた男も間に合う。
「月世界の女」 Frau im Mond (1929)
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『メトロポリス』の2年後にフリッツ・ラングが発表したサイレントSF映画である。
ラングが本作で挑んだのは、有人宇宙ロケットと宇宙旅行を科学的事実に基づいてリアルに描くこと。
1923年ロケット工学者ヘルマン・オーベルトが「惑星間宇宙へのロケット」を発表、宇宙ロケット・ブームが訪れた。
オーベルトが監修を務めた本作では、画期的なロケット技術の描写され、「世界で最初のSF映画」とも呼ばれている。
主人公は裕福な青年実業家ヘリウス(ウィリー・フリッチ)。
彼は異端の科学者マンフェルト教授(クラウス・ポール)と共に、有人宇宙ロケットの発射を計画していた。
マンフェルト教授は30年前に「月には金脈が眠っている」と主張して学会を追放された人物。
しかし既に月面へ探査機を送り込んでいたヘリウスは、その説に信ぴょう性があると考えていたのだ。
金脈の発見が目的であることを隠して準備を進めてきた2人。
マンフェルト教授は何者かが既に気付いているのではないかと疑っていた。
世界で最も裕福な5人の悪徳実業家たちがヘリウスとマンフェルト教授の計画を知り、ウォルター・ターナー(フリッツ・ラスプ)と名乗るスパイを秘かに送り込む。
彼らはもしも本当に月で金脈が発見された暁には、その権利を自分たちだけで独占しようと考えていた。
その頃、ヘリウスの助手にして親友でもあるヴィンデガー(グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム)の自宅では、彼と同僚女性フリーデ(ゲルダ・マウルス)の婚約パーティが行われていた。
実は秘かにフリーデを愛していたヘリウス。
フリーデもまた彼に好意を寄せていたものの、しかし仕事人間のヘリウスは宇宙計画に没頭していたため、積極的なヴィンデガーのプロポーズを受け入れてしまったのだ。
マンフェルト教授やヴィンデガー、フリーデに事情を打ち明けたヘリウス。こうなった以上は、最高責任者である自分も教授と一緒に宇宙ロケットへ乗ると決断するヘリウスに、
それならば私もとフリーデが名乗り出たことから、嫌々ながらヴィンデガーも同乗することになる。
かくして、月へ向けて出発する宇宙ロケット。
宇宙旅行は順調に進むものの、思いがけない珍客がロケットに紛れ込んでいた。
ヘリウスと同じ高級アパートに住むSFマニアの少年グスタフ(グストル・グステッテンバウアー)だ。
やがてロケットは月面へと到着する。
本作では巨大倉庫で建設された宇宙ロケットを発射台へ移動させたり、その発射台には熱を吸収するために大量の水が張られていたりと、21世紀の宇宙科学技術の基礎となったリアルなテクノロジーが具体的かつ詳細に描かれている。
実際に宇宙ロケットが発射されるのは映画が始まって1時間20分を過ぎた辺り。
それまでは月面探査計画の機密情報を巡る『ドクトル・マブゼ』風のスパイ戦が展開する。
なお、劇中で描写されるロケット技術があまりにも現実に忠実であるため、ナチスがV-2ロケットの開発を始めると上映が禁止され、フィルム自体が倉庫の奥深くで封印されてしまった本作。
日本では15年近く前に1度DVD化されたきりだが、アメリカでは既にブルーレイで発売されている。

「マダム・サタン」 Madam Satan (1930)
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巨匠セシル・B・デミルが手掛けた奇想天外でクレイジーなセックス・コメディである。
セシル・B・デミルは、もともとはサイレント時代にスキャンダラスなブルジョワドラマで一時代を築いた映画監督。
上流階級の貴婦人の視点から男尊女卑や階級社会を辛辣に風刺した『男性と女性』(’19)
『何故妻を換へる?』(’20)などの女性ドラマはデミルにとって十八番中の十八番だった。

本作では、ブルジョワ妻が、家庭を顧みない無責任な夫に腹を立てた。
妖艶な美女「マダム・サタン」に扮して、浮気性の夫にお灸をすえる。
奇抜なコスチュームの男女が舞い踊るド派手なミュージカル。
ドレスに身を包んだ美女を競り落とす破廉恥な乱痴気パーティ。
しまいには大規模な特撮を駆使した飛行船の墜落パニックまで盛り込んだ。

主人公は社交界の花形アンジェラ(ケイ・ジョンソン)
ある日、新聞の朝刊を読んでいたアンジェラは、社交欄の記事で夫が別の女性と夜遊びしていたことを知る。
だんだんと焦り始めたボブ:
そうだよ、男ってのはみんな子供なんだよ!
僕はね、いつまでも恋をしていたいロマンチストなんだ!
いつから君はそんな退屈な女になってしまったんだい?
その言葉にアンジェラはいたく傷つく。
「陽気なママさん」 Let Us Be Gay (1930)
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’34年7月に悪名高き自主検閲条項「ヘイズ・コード」が施行される以前のハリウッド。
保守的なカトリックの道徳観念に縛られない自由な価値観が許容されていたのだが、
当時のシアラーが演じたヒロインたちはまさにそんな時代の申し子だった。
相手の不倫が原因で離婚した元旦那への当てつけに、幾人もの男たちを大胆なセックスアピールで誘惑しては弄ぶ、
本作の主人公キティもそのひとりであろう。

かつては愛する夫ボブ(ロッド・ラ・ロック)のため献身的に尽くし、専業主婦として家事や子育てに忙しい毎日を送っていたキティ(ノーマ・シアラー)。
彼女は、夫に若くて美しくて派手な愛人ヘレン(ヘレーヌ・ミラード)がいると知って大きなショックを受ける。これだけ自分を犠牲にして尽くして来たのに!と涙を流しながら憤慨するキティ。

それから3年後、美容院へ通って見違えるほど美しく変身した彼女は、
移住先のフランスでビジネスウーマンとして成功し、パリ社交界の花形として男性たちの羨望の的となっていた。
そこで親しくなったのが、毎年パリを訪れるアメリカの大富豪ブーシコルト夫人(マリー・ドレスラー)。
お互いにユーモアセンスがあって気風の良い2人は、母親と娘ほどの年齢差がありながら意気投合する。
そんなある週末、キティはブーシコルト夫人の屋敷へ招かれて久しぶりにアメリカへ帰国する。

かくしてブーシコルト夫人の大豪邸へとやって来たキティ。
屋敷にはパリ社交界でも有名人だった中年プレイボーイのタウンリー氏(ギルバート・エメリー)や、
地元富裕層の貴婦人マッジ(ヘッダ・ホッパー)とその愛人ウォーレス(タイレル・デイヴィス)、
ダイアンの婚約者ブルースなども集まっていた。
そこで問題の年上男を紹介されたキティは少なからぬショックを受ける。
というのも、それは他でもない別れた旦那ボブだったからだ。
「Die Frau, nach der man sich sehnt(憧れの女性)」 (1929)
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マレーネ・ディートリッヒが、男たちを夢中にさせ破滅させる生粋のファム・ファタールを演じたメロドラマ映画である。
ディートリッヒは、ジョセフ・フォン・スタンバーグの『嘆きの天使』(’30)で彗星のごとく現れてスターダムを駆け上がり、
映画の都ハリウッドへ招かれて一時代を築いたシンデレラ的な大女優という印象を持たれがちだが、
しかし実は映画デビューしたのは1923年のこと。『嘆きの天使』の時点ですでに7年のキャリアがあり、
舞台は南フランスの架空の小都市セレス=バス。
古くより鉄鋼業で栄えてきた工業都市で、大規模な製鉄工場を経営するルブラン一族がその中心的な役割を担ってきた。
ところが、家督を継いだ長男シャルル(オスカル・シーマ)は無能な坊ちゃんで、そのため工場は倒産の危機に直面していた。
そこで、シャルルは裕福な会計士ポワトリエ氏(カール・エッティンガー)の娘アンジェラ(イーディス・エドワーズ)と弟アンリ(ウノ・ヘニング)を政略結婚させることで、財政危機を乗り越えようと画策した。
家族のために愛情のない結婚をしたアンリは、
妻アンジェラを連れて新婚旅行へ出かけることとなる。富裕層向けの豪華な寝台車に乗り込んだアンリとアンジェラ、そして忠実な執事ディーナー(ブルーノ・ゼイナー)。するとそこでアンリは、どこかうつろな表情をした女性スターシャ(マレーネ・ディートリッヒ)とすれ違いその陰のある謎めいた美貌に目が釘付けとなる。
彼女をこのまま連れ去りたい。そんな欲求に駆られるアンリだったが、
しかし新妻アンジェラを置き去りにするわけにもいかなかった。

監督のクルト・ベルンハルトは当時のドイツ映画界で売れっ子だった新進気鋭のフィルムメイカー。
ユダヤ人だったためゲシュタポから逃れてフランスへ亡命し、やがて第二次世界大戦が勃発するとアメリカへ移住。
ハリウッドではカーティス・バーンハートとアメリカ人風に名前を変えた。
ベティ・デイヴィスの『盗まれた青春』(’46)や
ジョーン・クロフォードの『失われた心』(’47)、
リタ・ヘイワースの『雨に濡れた欲情』(’53)など、
トップ女優を主演に迎えた女性映画に腕を振るった名匠である。
日本では劇場未公開でビデオソフトのリリースなし。一方、アメリカでは短期間ながらもひっそりと劇場公開されていたらしく、
「バッド・ガール」 Bad Girl (1931)
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アメリカ映画/88分/モノクロ作品
評価(5点満点):★★★☆☆
「Behind Office Doors」 (1931)
https://eiga3mai.exblog.jp/31362450/

<あらすじ>


「魔の家」: The Old Dark House (1932)
https://eiga3mai.exblog.jp/30736234/
アメリカ映画/72分/モノクロ作品
評価(5点満点):★★★★☆
<あらすじ>

「The Purchase Price」 (1932)
https://eiga3mai.exblog.jp/31192304/
アメリカ映画/68分/モノクロ映画
評価(5点満点):★★★☆☆
「上海特急」 Shanghai Express (1932)
https://eiga3mai.exblog.jp/27870673/
アメリカ映画/80分/モノクロ作品
評価(5点満点):★★★☆☆




なお、ハーヴェイ大尉役の英国俳優クライヴ・ブルックもサイレント時代のトップ・スター。彼の場合はトーキーへの移行にも成功し、当時はハリウッドで最も人気の高い英国俳優の一人だった。また、悪役チャンを演じているワーナー・オーランドは、中国人の名探偵を演じた『チャーリー・チャン』シリーズで当時人気を集めていた性格俳優。その容姿がアジア人に似ていることから中国人役を演じることが多く、かの有名な『フー・マンチュー』シリーズで中国人犯罪王フー・マンチューを演じたこともある。
「恐怖城」 White Zombie (1932)
https://eiga3mai.exblog.jp/32475058/

映画史上初のゾンビ映画である。
本作に出てくるゾンビ:
ヴードゥー教の司祭によって、仮死状態にされただけの人々なのだ。

「不思議の国のアリス」 Alice in Wonderland (1933)
https://eiga3mai.exblog.jp/31318368/
アメリカ映画/77分/モノクロ作品
評価(5点満点):★★★☆☆

<あらすじ>


と同時に、実はこの作品、経営状態が思わしくなかった当時のパラマウントが起死回生を賭けた映画でもあった。折からの世界大恐慌に加えて、社長アドルフ・ズーカーの大作主義が祟り、’32年になるとパラマウントは倒産の危機に直面してしまう。そんなこともあって、大人から子供まで幅広い年齢層に親しまれ、家族連れを呼び込むことが期待できる「不思議の国のアリス」は、一発逆転の大ヒットを欲していたパラマウントにとって願ってもない題材だったのだろう。ところが蓋を開けてみると興行成績は惨敗。その理由は後ほど分析するが、いずれにせよパラマウント経営陣にとって手痛い大失敗となってしまう。結局、同社の経営難を救ったのは、希代の女傑メエ・ウェストが脚本と主演を兼ねた大人向けのセックス・コメディ『私は別よ』(’33)と『妾は天使ぢゃない』(’33)の2本だった。

脚色を手掛けたのは、後に『三人の妻への手紙』(’49)と『イヴの総て』(’50)でオスカー監督となるジョセフ・L・マンキーウィッツと、SF映画の古典『来るべき世界』(’36)の監督としても知られるウィリアム・キャメロン・メンジーズ。内容的には「不思議の国のアリス」とその続編「鏡の国のアリス」のミックス・ブレンドである。想像力豊かで夢見がちな少女アリスが、鏡を通り抜けて向こう側の世界へ迷い込むプロローグは「鏡の国のアリス」。おや?これって「不思議の国のアリス」の映画化じゃないの?と首をかしげていると、ひょっこりウサギが現れて穴の中へと飛び込んでいく。ここからが「不思議の国のアリス」の導入部分となり、いざアリスが扉の向こうの不思議の国へと足を踏み入れて以降は、「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」のキャラクターが入れ代わり立ち代わり登場することになるわけだ。
「飢ゆるアメリカ」 Heroes for Sale (1933)
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黄金期のハリウッドを支えた巨匠ウィリアム・ウェルマンによる隠れた名作である。
本作では第一次世界大戦から世界大恐慌へ至る激動の時代が背景だ。
正直で真面目で強い信念を持つ名もなき庶民の男性。
それゆえ貧乏くじばかり引いて苦労に苦労を重ねる。
しかし、自分の名誉や利益よりも他者の幸福のために尽くしていく姿が描かれる。

本作が作られた1933年と言えば、まさしく世界大恐慌の真っ只中。
誰もが生きるために必死で他者のことなど顧みる余裕もない。
その一方、富裕層の多くは依然として富裕層のままだった。
そうした不公平な世の中:
本作では、より良い社会を望むため、無欲無私を貫く主人公の生き様を描く。
ウェルマン監督はアメリカの良心を体現した「理想の英雄像」を描いた。
主人公は、どれだけ理不尽な目に遭っても誰かを恨んだりしない。
たとえ躓いたり転んだりしても起き上がり前を向いて歩いていく。
これは極めてフランク・キャプラ的な映画でもあると言えよう。

物語の始まり:第一次世界大戦
ヨーロッパ戦線でドイツ軍と戦うトム・ホームズ(リチャード・バーセルメス)
トム・ホームズは、ドイツ軍兵士を捕虜にすることに成功した。
しかし銃弾に倒れて、戦うことを拒んでいた臆病な戦友ロジャー(ゴードン・ウェスコット)に捕虜を託した。
何と、戦わずして捕虜を連れ帰ったロジャーに、英雄として勲章を与えられる。
一方、死んだと思われていたトムはドイツ軍に助けられ、大怪我を負いながらも生き延びていた。
やがて戦争は終結:
捕虜の交換で、トム・ホームズはアメリカへ帰国した。
怪我が完治するまでの鎮痛薬として医師からモルヒネを処方される。
そして、祖国へ向かう軍用船でトムはロジャーと再会した。
結果的に手柄を横取りしてしまったことを謝る、
トムは「もしも俺が君の立場だったら同じことをしただろう」と許した。

トム・ホームズのモルヒネ中毒:
トムは、ロジャーの父親が経営する銀行で働くようになった。
しかしトムは、実は人知れずモルヒネ中毒で苦しんでおり、仕事でもミスが多い。
遂にはモルヒネ、毒の事実が社長の耳に届いて解雇された。
ロジャーはトムを弁護せず:
戦場での武勲が「本当はトムの功績であることがバレること」を、ロジャーは恐れたのだ。
トムは、療養施設に収容され、2年後に社会復帰するが、その間に最愛の母親は死亡した。
彼は、住む家もなく職を探してシカゴの街を彷徨っていた。

クリーニング会社が配達ドライバーを募集:
隣人のルース(ロレッタ・ヤング)から、クリーニング会社の配達ドライバーの職を紹介される。
その勤勉な仕事ぶりが評価されて昇進し、美しいルースとも愛し合い結婚したトム。
自動洗濯マシンの独占契約:
そんな折、発明家の隣人マックス(ロバート・バラット)が、自動洗濯マシンを開発した。
これがあればクリーニング会社の作業は楽になり、従業員の負担も減って生活が向上する。
トムは特許出願の費用を捻出し、ギブソン社長(グラント・ミッチェル)と独占契約を結ぶ。
「Red Ensign」 (1934)
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英国映画界の名匠マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガーとのコンビで『黒水仙』(’47)や『赤い靴』(’48)、『ホフマン物語』(’51)など世に送り出した。
’20年代末~’30年代のイギリス映画界は、黄金時代を迎えたハリウッド映画に国内市場を侵食され低迷していた。
そこで、イギリス政府は激減する国産映画のシェアを確保するための法令(Cinematograph Films Act 1927)を’27年に制定。
国内の映画館で上映されるイギリス映画の数にノルマ(当初は全体の7.5%、後に20%へと引き上げ)を課したのである。

これに対応するため、イギリス映画界では低予算のB級映画を急ごしらえで大量生産することに。。
新人監督時代のマイケル・パウエルも、低予算映画を多い時で年間7本も撮っていた。
本作『Red Ensign(英国商船の赤旗)』もそのひとつだったのである。

長い歴史と伝統を誇りながらも、安価な外国製に押されて低迷するイギリスの造船業界。
グラスゴーで造船会社を経営するデヴィッド・バー(レスリー・バンクス)
従来よりも多くの荷物を搭載可能で、なおかつ燃料費を少なく抑えられる新型の貨物船をデザインする。
模型を使った厳格なテストをパスすることにも成功。これを実用化すれば会社が儲かるだけではなく、
衰退したイギリスの造船業界を盛り返すことが出来るし、仕事を失った大勢の労働者たちを食わせることもできる。
理想に燃えて奮起するデヴィッドだったが、しかし問題はどうやって資金を調達するかだった。

一隻当たりの製造コストを抑えるためには20隻をまとめて作らねばならないが、いずれにせよ莫大な費用が掛かってしまう。
経営の行き詰まった会社には十分な資金はないし、具体的な販売計画のめどが立っているわけではない。
政府に補助金を申請したものの、前例のない新型モデルであることから、にべもなく却下されてしまった。
株主ディーン卿(フランク・ヴォスパー)の提案は、同業の海運王マニング(アルフレッド・ドレイトン)に協力を得ることだ。

低迷するイギリスの造船業界:
唯一、勝ち組のマニングならば、新型貨物船を大量生産するだけの十分な資金がある。
彼に設計図を高額で売却し、さらにロイヤリティで稼げばいい。
しかし、デヴィッドはこのアイディアに猛反発する。
なぜなら、マニングの会社がひとり勝ちしているのは、
彼がイギリスではなく外国で安上がりに貨物船を製造し、外国人労働者たちを低賃金で働かせているからだ。
イギリスにとっても労働者にとっても、むしろ彼は国賊とも呼ぶべき敵である。

そこでデヴィッドは株主たちの反対を押し切り、自らの私財を投じて新型貨物船の製造に着手する。
久しぶりの仕事に労働者たちもやる気満々だ。
新型貨物船の特許権を手に入れたいマニング:
その労働者たちの中にスパイを何人も紛れ込ませ、デヴィッドの計画を頓挫させようと破壊工作を企む。
一方、会社創業者の筆頭株主の女性ジューン(キャロル・グッドナー)は、デヴィッドの理想に共感した。
しかしジューンの婚約者でもあるディーン卿がこれに激しく嫉妬し、株の売却を持ち出してデヴィッドを脅迫する。

会社の命運と業界全体の将来を憂慮してチャレンジする理想主義者デヴィッド。
そんな彼を邪魔しようとする私利私欲にまみれた悪徳経営者マニングの攻防戦を軸に展開するストーリーはスリリングだ。
社会全体の幸福を最優先に追求し、貧しい労働者たちのために奔走する実業家デヴィッドの高潔な理想にも胸を動かされる。
暗躍するスパイたちの破壊工作、ミニチュア特撮を用いた工場爆破のスペクタクルなど、見せ場もちゃんと用意されている。
映像を織り交ぜたリアリズム演出や、エイゼンシュタインのモンタージュ理論を彷彿とさせる編集も興味深い。
これは非常に良く出来たプログラムピクチャーと言えるだろう。

主演は、ハリウッド映画『猟奇島』(’32)の残忍なロシア貴族ザロフ伯爵役でも知られる名優レスリー・バンクス。
『暗殺者の家』(’34)や『岩窟の野獣』(’39)など、初期ヒッチコック作品の主演スターとしても有名だ。
ヒロインのジューンを演じるキャロル・グッドナーは、当時イギリスのコメディやミュージカルで活躍していたアメリカ人女優。
悪徳実業家マニング役のアルフレッド・ドレイトンは、戦前のイギリスで大衆に愛された舞台の人気喜劇俳優だった。
「武器なき戦ひ」 Jew Süss (1934)
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題材となったのは、18世紀のドイツに実在した裕福なユダヤ人銀行家ヨーゼフ・ズース・オッペンハイマー。
貧困と差別に苦しむ同胞のユダヤ人たちをゲットーから解放するべく、
地位と名誉と権力を求めてヴュルテンベルク公カール・アレクサンダーに取り入ったオッペンハイマーは、
そのおかげで宮廷ユダヤ人として大きな影響力を手に入れたものの、
しかしユダヤ人の台頭を快く思わない政敵によって無実の罪を着せられて処刑されてしまった。
まさに反ユダヤ主義の招いた悲劇である。

この実話を基に、ユダヤ系ドイツ人の作家リオン・フォイヒトヴァンガーが「ユダヤ人ジュース」’25年に発表した。
欧州に根強い反ユダヤ主義とユダヤ人のアイデンティティをテーマにした作品だった。
一方、問題作『Jud Süß(ユダヤ人ズース)』(’40)は、その8年前にイギリスで作られた。
ユダヤ系ドイツ人ロタール・メンデス監督と、妻がユダヤ人でナチス嫌いのコンラート・ファイトがタッグを組む。
200年前の出来事を通して、20世紀のドイツで広がる反ユダヤ主義に警鐘を鳴らす作品に仕上げた。

当時、ユダヤ人の多くはゲットーに閉じ込められて貧しい生活を余儀なくされていた。
しかし、一部にはゲットーから出て成功したユダヤ人も存在した。
その中のひとりが裕福な銀行家のヨーゼフ・ズース・オッペンハイマー(コンラート・ファイト)。
王侯貴族を相手に金を貸し付けて莫大な富を築いたオッペンハイマーだった。
しかしどれだけ財を成しても「ユダヤ人」というだけで見下されていた。
同胞のユダヤ人のためにも、財産だけでなく地位や名誉や権力が欲しい。

ある時、銀行家オッペンハイマーは、ヴュルテンベルク家のカール・アレクサンダー(フランク・ヴォスパー)と遭遇する。
カール・アレクサンダーは、墺土戦争で武勲を立てたことで、神聖ローマ皇帝よりベオグラード総督に任命された。
しかし彼には、地位と名誉はあっても、金がない貧乏貴族なのだ。
またアレクサンダーは、トゥルン・ウント・タクシス家の令嬢マリー・アウグステ(ベニタ・ヒューム)に惚れていた。
銀行家オッペンハイマーはアレクサンダーに、
パーティに着ていく贅沢な衣装、
マリー・アウグステに贈る高価な装飾品、
さらにはアレクサンダーの趣味である賭博の元金などを無償で提供した。

アレクサンダーは、オッペンハイマーを宮廷ユダヤ人として重用する。
しかも、従兄のヴュルテンベルク公とその息子が相次いで死亡した。
アレクサンダーがヴュルテンベルク公国の君主となり、マリー・アウグステともめでたく結婚。
オッペンハイマーもヴュルテンベルク公国の財務官として我が世の春を謳歌する。

オッペンハイマーを恨んでいたブランデンブルク=バイロイト辺境伯。
「オッペンハイマーに、美しくてうら若い娘がいる」ことを、アレクサンダーに告げ口をする。
好きのアレクサンダーが黙っているわけがないと踏んだからだ。
その目論見通り、オッペンハイマーの娘ナオミにひと目で欲情した。
アレクサンダーは彼女を強姦。辱めを受けたナオミは自殺してしまう。
オッペンハイマーは、自らの野心が招いた結果だと深い後悔の念に苛まれ、横暴な君主アレクサンダーの無慈悲に憤る。
オッペンハイマーは、娘のために復讐を果たそうとするのだった。
しかし皮肉なことにそれが自らの身の破滅も招くことになる。

古くよりヨーロッパに蔓延する反ユダヤ主義の深刻さ、
差別と偏見に晒され貧困に苦しむユダヤ民族の哀しみを背景としつつ、
権力欲に突き動かされるあまり人として大切なものを見失った野心家の栄光と破滅を象徴的に描く。
洞窟の女王:【怪奇】松竹座■戦前宣材『洞窟の女王』松竹座(イラスト)初版/RKO/SF/ホラー/怪奇■【希少】(当時もの)
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「洞窟の女王」 :She (1935)
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『キングコング』(’33)の生みの親:
メリアン・C・クーパー監督がプロデュースを手掛けた特撮アドベンチャー映画である。
原作は「ソロモン王の洞窟」に続くアラン・クォーターメイン・シリーズで有名なH・ライダー・ハガードの「洞窟の女王」。

アメリカ人の若者レオ・ヴィンシー(ランドルフ・スコット)がイギリスに住む叔父を訪ねる。
ラジウムによる放射線中毒で余命幾ばくもない叔父ジョン(サミュエル・S・ハインズ)
ヴィンシー家に先祖代々語り継がれてきた伝説をレオに話して聞かせる。

それは今から500年ほど前のこと。
ヴィンシー家の当主ジョン(ランドルフ・スコット2役)
最愛の妻を伴って、シベリアの北端へ探検に出かけたところ、
そこで不老不死の炎を守る未知の王国にたどり着いたというのだ。

その白く光る不思議な炎を全身に浴びた人間は、永遠に死ぬことなく若さを保ち続けるという。
ところが、王国を支配する女王の寵愛を拒絶したジョンは無慈悲にも処刑された。
妻だけが命からがら逃げだしてポーランドへと辿り着き、
秘境で目撃したことの一部始終を手記にまとめたのだ。
そこで、500年前の祖先ジョン・ヴィンシーと瓜二つのレオに、不老不死の炎を探し出す使命を託した。

かくして、叔父の共同研究者であるホリー教授(ナイジェル・ブルース)と共に極寒のシベリアへと向かったレオ。
現地の案内人ダグモア(ラムスデン・ヘア)の小屋で一泊することになった2人は、
そこで白人の女王が支配する未知の王国があるらしいとの噂を耳にする。
しかし、レオが叔父の形見として受け取った、王国の存在を示す純金ペンダントを目にしたダグモアは、なるほど、その秘境の王国とやらへ行けば金塊がたんまり手に入るかもしれない…と考え、王国の噂に詳しい一人娘ターニャ(ヘレン・マック)を連れて、秘境へ続く道があるという場所へレオとホリー教授を案内することにする。

そこは雪に覆われた断崖絶壁。高くそびえ立つ崖の急斜面を登って行った一行は、そこで氷の中に閉じ込められたサーベルタイガーと人間の死体を発見する。
ところが、その召使の死体と一緒に氷に封印された純金ペンダントを盗もうと、欲深いダグモアが氷を勢いよく砕き始めたところ、その反響音で大きな雪崩が発生してしまう。間一髪で洞窟へと逃げ込んだレオとターニャ、ホリー教授の3人。すると、その奥にある通路をホリー教授が発見する。

高度に発達した文明を築いているコール王国。レオたちはその支配者である女王(ヘレン・ガハガン)に謁見することとなる。野蛮人と格闘した際に怪我をしたレオを一目見て驚く女王。500年前に彼女の愛を拒絶した男性ジョン・ヴィンシーと瓜二つだったからだ。そのため、女王はレオのことをジョンの生まれ変わりだと信じ込んでしまう。怪我の回復したレオは大いに戸惑うものの、しかし女王が不老不死の体であると知った彼は、例の白い炎の秘密を探り出そうと女王に接近。
「真夏の夜の夢」A Midsummer Night’s Dream (1935)
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20世紀の舞台演劇における最も偉大な演出家のひとり、マックス・ラインハルトが監督を手掛けた唯一のハリウッド映画である。オーストリア出身でドイツのベルリンを拠点にしたラインハルト。回転舞台や豪華絢爛な美術セット、創意工夫を凝らした特殊効果などを駆使した彼の斬新な演出は、20世紀初頭のドイツ語圏はもとより欧米各国の演劇界に大きな衝撃を与えた。
シェイクスピアの幻想喜劇「真夏の夜の夢」。’05年の初演以来、各地で好評を博したラインハルト版「真夏の夜の夢」は、
’27年にアメリカでも上演されて話題を呼んだ。
やがて’33年にドイツでナチス政権が誕生:
ユダヤ人だったラインハルトはドイツ国外、中でもアメリカでの公演活動に重点を置くようになったのだが、
そのハイライトとなったのが’34年9月にロサンゼルスの野外劇場ハリウッド・ボウルで上演された「真夏の夜の夢」だった。

ハリウッド・ボウルのステージに本物の木と土を大量に持ち込んで幻想的な妖精の森を再現し、シェイクスピア俳優ではなくハリウッドの映画スターをキャスティングした’34年版「真夏の夜の夢」。8日間の公演で12万人の観客を動員した
ワーナー・ブラザーズの製作部長ハル・B・ウォリス:
これに強い感銘を受けたウォリスはすぐさま社長ジャック・L・ワーナーに連絡。彼の強い勧めで舞台を見たワーナー社長も感動し、このラインハルト版「真夏の夜の夢」を自社で映画化することにした

ギリシャのアネテ公シーシアス(イアン・ハンター)とアマゾネスの女王ヒポリタ(ヴェリー・ティースデイル)の結婚が迫り、民衆が晴れやかな祝賀ムードに包まれる中、若い娘ハーミア(オリヴィア・デ・ハヴィランド)は大きな悩みを抱えていた。
彼女はライサンダー(ディック・パウエル)という若者とお互いに深く愛しあい、おのずと結婚を望んでいたのだが、しかしハーミアの父親イージアス(グラント・ミッチェル)は2人の関係に猛反対。自分の気に入った若者ディミートリアス(ロス・アレクサンダー)と娘を無理やり結婚させようとしていたのだ。
そのディミートリアスもハーミアにぞっこん。

ところが、彼にはヘレナ(ジーン・ミューア)という元恋人がおり、彼女は今もなおディミートリアスを深く愛していた。アテネの古い法律によると、娘は父親が選んだ相手と結婚せねばならず、さもなくば尼僧として一生独身で過ごさねばならない。誰が何と言おうと自分たちは結ばれる運命なのだ。そう考えたライサンダーとハーミアは駆け落ちを決意し、郊外の森で待ち合わせることにする。
「ショウ・ボート」 Show Boat (1936)
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「ショウ・ボート」が映画化されるのは本作が2度目。
ただし、’29年に公開された最初の映画版:
厳密に言うとブロードウェイ・ミュージカル版の映画化ではなく、ファーバーの小説を直接の原作とするサイレント映画だった。ユニバーサル・スタジオは小説が出版された翌年の’27年に映画化権を獲得。
ところが、その直後にワーナーが史上初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』(’27)を発表し、
さらにその年末にはブロードウェイでミュージカル版「ショウ・ボート」が上演されて記録的な大ヒットを遂げる。
映画ファンがミュージカル版「ショウ・ボート」のトーキー映画を期待していると知ったユニバーサルは、
慌てて劇場公開を一旦キャンセル。今さら最初からトーキー映画として作り直すわけにはいかないが、かといって観客の期待を裏切るわけにもいかない。そこでスタジオが辿り着いた解決策が、ミュージカル版のハイライトを新たに別途撮影することだった。
要するに、ミュージカル版の人気ナンバー数曲をトーキーで撮影して編集し、サイレント版の本編が始まる前にプロローグとして上映したのである。
物語の始まりは1887年のアメリカ南部。ミシシッピー河の流域を巡業するショウ・ボート、コットン・ブラッサム号が、とある小さな田舎町へと到着する。待ってました!と大喜びで歓迎する住民たち。白人も黒人も金持ちも貧乏人も、みんなショウ・ボートの公演を心待ちにしていたのである。
そんなマグノリアが実の姉のように慕っているのが、一座の看板スターであるミュージカル女優ジュリー・ラヴァーン(ヘレン・モーガン)。酸いも甘いも咬み分けた姐御肌のジュリーは、音楽だけでなく人生や恋愛についてもマグノリアに教えてくれる。実はそのジュリー、同じく一座の人気二枚目俳優であるスティーヴ・ベイカー(ドナルド・クック)と結婚しているのだが、それにも関わらずショウ・ボートの機関士ピート(アーサー・ホール)から執拗に言い寄られていた。ジュリーからキッパリと拒絶され、さらにスティーヴからもパンチを食らったピート。逆恨みで復讐心を燃やした彼は、保安官事務所へ駆け込んでジュリーの重大な秘密をバラす。どこからどう見ても白人のジュリーだが、実は黒人と白人の混血だったのだ。ミシシッピー州の法律では、黒人の血が一滴でも混じっていれば黒人として扱われ、人種隔離政策の対象となってしまう。当然、白人であるスティーヴとの結婚は違法だ。ジュリーを心から愛するスティーヴの機転と、コットン・ブラッサム号の操縦士ウィンディの協力で逮捕だけは免れたジュリーだったが、しかし黒人ゆえ白人と同じステージに立つことも許されない。仕方なく、ジュリーとスティーヴの夫婦は一座を離れることになる。
中でも筆舌に尽くしがたいのは、ジョー役を演じるポール・ロブソンの豊かで逞しくて温かみのあるバリトン・ボイスだ。実はもともと、このジョーというキャラクターは原作小説だと目立たない存在だったが、当時すでに黒人バリトン歌手の先駆けとして注目されていたロブソンを念頭に置いて、ジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世があて書きして膨らませた役柄だった。しかし、ブロードウェイの初演版ではロブソンのスケジュールの都合がつかず、代わりに黒人で最初のブロードウェイ俳優ジュールズ・ブレッドソーが起用されたという。彼が黒人労働者の悲哀を込めて歌う挿入曲「オール・マン・リバー」は、ジェームズ・ホエール監督のドイツ表現主義的なモンタージュ演出と相まって圧巻の仕上がり!この曲はロブソンのシグニチャーソングとなり、その後も生涯に渡って歌い続けることになる。

「The Black Cat」 (1941)
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ユニバーサルが映画化を試みたのはこれが2度目。
ハンガリーを新婚旅行中の三文作家のピーター・
ボリス・カーロフにベラ・ルゴシの競演が呼び物だった最初の『黒猫』(’34)は日本でも劇場公開された。
本作はボリス・カーロフとベラ・ルゴシとの初の共演映画で、1934年度のユニバーサル映画で最高のヒットを記録した作品。監督のエドガー・G・ウルマーは美術監督の出身で、ドイツ映画『最後の人』の美術監督、『巨人ゴーレム』(1920)、『メトロポリス』(1926)、『M』(1931)等のセットデザインを手がけている。
音楽はハインツ・エリック・ロームヘルドによる。テーマ曲だけでなく、映画全編に挿入曲が流れる最初期の作品でもある。
エドガー・アラン・ポーの短編小説『黒猫』が下敷きになっているが、ピーター・ルーリックによる脚本には原作の面影はほとんど残されていない。本編で登場する黒猫は、過剰なまでに黒猫を忌み嫌うワルデガストの前に現れて彼を悩ませるだけの存在であった。しかし、黒猫が悪魔の化身であるという迷信や、死に対する恐怖、特定の女性に対する執着といったポーの作品の重要な要素が散見される。
ポールジックの人物像はイギリスのオカルティスト(神秘主義者)であるアレイスター・クロウリーがモデルとなっている。また、ポールジックの名は『巨人ゴーレム』(1920)の美術監督を務めたドイツ表現主義を代表する建築家ハンス・ペルツィヒ(同スペルのドイツ語発音)からのイタダキである。ペルツィヒは本作がアメリカでの映画監督デビューとなるウルマーの助言役であった。ウルマーは本作の悪役をポールジックと名付けることにより、その礼に報いたのである。
一応ストーリーに黒猫が絡んでは来るものの、しかしそれ以外は小説版と殆んど関係がない。というか、全くの別物である。

大富豪の未亡人ヘンリエッタ・ウィンスロー(セシリア・ロフタス)が危篤に陥り、慌てた親族が築100年を超えるウィンスロー家の大豪邸に集まって来る。

屋敷はヘンリエッタの愛するペットの猫だらけで、猫アレルギーのギルはくしゃみや咳にも悩まされる。
そんなギルとペニー氏の登場に、モンタギューの企みを見抜いたヘンリエッタ。

遺産相続のために集まった大富豪の親族が折からの嵐で屋敷に足止めされ、広い大豪邸を彷徨う異常者によって命を狙われる。
ホラー・コメディ『猫とカナリヤ』(’27)のリメイクなのだ。
「成吉斯汗の仮面」 The Mask of Fu Manchu (1932)
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今からおよそ100年前、20世紀前半の欧米諸国で広まった「黄禍論」。
そんな世相を背景に人気を博したのが、英国人作家サックス・ローマーの生んだ悪漢フー・マンチューだった。

頭脳明晰な天才にして、アジア人による世界征服を目論む邪悪な秘密組織の首領フー・マンチュー。
そのフー・マンチューの宿敵が、西欧社会の平和を守らんとするスコットランド・ヤードの捜査官ネイランド・スミス卿。

1913年発表の「怪人フー・マンチュー」を筆頭に、合計14冊が出版されたサックス・ローマーの「フー・マンチュー」シリーズ。
MGMはユニバーサルから『フランケンシュタイン』(’31)の怪奇スター、ボリス・カーロフを引き抜き、中国人の大悪党フー・マンチュー役を演じさせることにする。それが本作『成吉斯汗の仮面』(’32)だった。

スコットランドヤードのネイランド・スミス卿(ルイス・ストーン)は、失われたジンギスカンの墓を発掘するのだ。
モンゴルのゴビ砂漠へ向かう高名な考古学者ライオネル・バートン卿(ローレンス・グラント)をオフィスへ招いた。

ジンギスカンの墓には、偉大なジンギスカンの復活を願う黄金の皿に黄金の仮面、そして黄金の三日月刀が収められている。
実は、この3種の神器を世界的な大悪党フー・マンチュー(ボリス・カーロフ)が狙っているのだ。
ところが、大英博物館へ寄ったバートン卿は、その帰りに待ち伏せしていたフー・マンチューの手下どもに拉致されてしまう。
「Gメン」 G Men (1935)
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’20年代に黄金時代を迎えた映画業界はアメリカでも有数の巨大産業へと成長した。
しかし、この自主検閲条項が初導入された’30年は世界大恐慌の真っ只中。
ヘイズ・コードでは映画の性描写や暴力描写に厳しい制約を課していた
しかし大恐慌の影響で経営が苦しくなった映画会社、セックスとバイオレンスは観客を呼ぶために欠かせない武器であり、
それゆえ各スタジオは強制力のないヘイズ・コードを平然と無視

’34年6月13日に本格施行される。
こうして始まったハリウッドの自主検閲だが、その主なターゲットにされたジャンルがギャング映画だった。
’20年代の禁酒法時代にアルコールの密造と密売で大儲けし、ニューヨークやシカゴなどの大都市で急速に勢力を伸ばした。
アメリカのギャング。やがて世界大恐慌の暗い時代が訪れる

そうした世相を背景に台頭したのがギャング映画だった。
折しもジェームズ・キャグニー主演の『民衆の敵』(’31)
とエドワード・G・ロビンソン主演の『犯罪王リコ』(’31)、
ポール・ムニ主演の『暗黒街の顔役』(’31)が立て続けにヒット。
ギャング映画はハリウッドで最もポピュラーなジャンルのひとつとなる。

しかし、自主検閲条項の本格施行でワーナーはギャング映画の製作方針を変える必要に迫られる。
なにしろ、ヘイズ・コードの倫理規定では犯罪および犯罪者を美化することを厳格に禁じていたため
ギャングや売春婦などの犯罪者やその協力者は劇中で必ず相応の罰を受けねばならない。無罪放免などもってのほかだ。

ハリウッド映画のセックスとバイオレンスに厳しい制限が課されたのである。
そうした諸々の条件をなんとかクリアしながら完成へと漕ぎ着け、
当時のワーナーのギャング映画としては異例の興行収入110万ドル越えという大ヒットを記録したのが、
FBI対ギャングの全面戦争を描いた本作『Gメン』(’35)だった。

舞台はニューヨーク。時代設定は連邦捜査局(FBI)がまだ捜査局(BOI)と呼ばれていた頃だ。
貧民街ブロンクスに生まれ育ったジェームズ・‟ブリック”・デイヴィス(ジェームズ・キャグニー)
父親代わりである地元ギャングのボス、マッケイ(ウィリアム・ハリントン)から、
資金援助を受けて法律学校を卒業し、弁護士となって大都会の片隅にオフィスを構えた
BIO捜査官として働く法律学校時代の親友エディ(レジス・トゥーメイ)から、
「Gメン(Government Men=BOI捜査官)の一員にならないか」と誘われているデイヴィス

ところが、銀行強盗犯を捜査していたエディがギャングによって銃殺されてしまう。
当時のGメンには殺傷性の高い武器の所持が認められておらず、そのため任務中に命を落としてしまう捜査官も多かった
親友エディの死に大きなショックを受けたデイヴィスは、その仇を取るべくBIO捜査官に応募して合格する。
こうして弁護士を辞めてGメンとなったデイヴィス。

デイヴィスはデイヴィスで、もともとマッコードの嫌がらせなど全く意に介していなかったが、一目惚れした女性看護師ケイ(マーガレット・リンゼイ)がマッコードの妹だと知り、自分のことを一人前の捜査官として認めさせるべく一層のこと訓練に打ち込んでいく。
「恐怖のロンドン塔」 Tower of London (1939)
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評価(5点満点):★★★☆☆

<あらすじ>


物語はシェイクスピア劇でも知られる薔薇戦争最後のイングランド王リチャード3世(ベイジル・ラズボーン)の栄枯盛衰である。リチャード3世といえば、己の出世のためなら身内の兄弟や親族であろうと容赦なく陥れ、躊躇することなく処刑・暗殺した希代の策士として、シェイクスピア劇はもとより数々の文学や映画、演劇の題材となってきた人物。自らの甥である当時12歳のエドワード5世と10歳の弟ヨーク公リチャードを、ロンドン塔の牢屋に幽閉して暗殺したとされるエピソード「塔の王子たち」は、かつてロンドンのマダム・タッソー館「恐怖の部屋」の蝋人形にもなったほど有名(筆者が子供の頃に初めて「塔の王子たち」を知ったのもマダム・タッソー館)なので、日本でもピンとくる人は少なくないだろう。

本作はそんな血も涙もない権力の亡者リチャード3世が、王位継承の邪魔になるライバルを次々とロンドン塔の拷問部屋や処刑台へと送り込み、似た者同士の兄エドワード4世(イアン・ハンター)が崩御すると幼い甥っ子たちを無慈悲にも始末。自らが即位して宮廷のパワーゲームを恐怖支配で制するものの、結局は敵対するヘンリー・チューダー(後のヘンリー7世)の勢力に滅ぼされるまでの因果応報をスリリングなタッチで描く。

といっても、必ずしも歴史を忠実に再現しているわけではなく、映画向けに面白おかしく脚色された部分も少なくない。その筆頭が、リチャード3世の忠実な下僕として暗躍する処刑人モード(ボリス・カーロフ)であろう。これは最初からカーロフのためにあつらえられた架空のキャラクター。単なる処刑人に留まることなく、リチャード3世の目となり耳となりスパイ活動を繰り広げ、街中の浮浪者たちを動員してご主人様の有利になるような噂を広めては世論を扇動し、ロンドン塔に囚われた政治犯たちにサディスティックな拷問を加え、命令とあらば前王だろうと子供だろうと手にかける。スキンヘッドの不気味な見た目を含め、血生臭いホラー・ムードを盛り上げる異形のモンスターだ。

さらに、本作ではリチャード3世やモードといった「悪」と対になる「善」を象徴する存在として、清廉潔白で理想主義的な若き貴族ジョン・ワイアット(ジョン・サットン)とその婚約者アリス(ナン・グレイ)というキャラクターが登場。ワイアットはエドワード4世の王妃エリザベス(バーバラ・オニール)の従弟、アリスは同じく王妃の侍女という設定だが、もちろんどちらも架空の人物だ。なので、彼らがリチャード3世の裏をかいて王宮から命がけで宝石を盗み出し、それを資金源としたヘンリー・チューダーの軍勢がリチャード3世を打ち破る…という終盤のドラマチックなストーリー展開も、「善が悪を打ち負かす」という英雄的カタルシスを強調するためのフィクション。まあ、そうでないと映画的な面白みが出ませんからな…。

そのほか、デュークスベリーの戦いでエドワード4世自らがウェールズ公エドワードを討ち取ったり、リチャード3世が幼少期からアン・ネヴィルに横恋慕していたり、クラレンス公ジョージ(ヴィンセント・プライス)がリチャード3世と酒飲み比べの末にワイン樽へ沈められて殺されたりと、恐らくシェイクスピア劇なり俗説なりをベースにしているのだろうが、史実として正確とは言い難いような描写も少なくない。あくまでも、陰謀と愛憎と暴力の渦巻くソープオペラ的な大衆向けエンターテインメントであり、格調高い歴史ドラマを期待すると肩透かしを食らうことだろう。

その上で少なからず驚かされるのは、どうやら本作の制作陣が本気でアカデミー賞を狙っていたらしいということ。まあ、確かに300人のエキストラを動員した戦場のバトル・シーンはそれなりにスケール感があるし、テムズ川の運河を含むロンドン塔の宮殿や城塞の実物大セットも堂々たるものだが、しかしストーリー自体はセンセーショナリズムに訴える三文小説とあまり変わらないため、さすがにオスカー狙いは無理があるってもんだろう。むしろ、そういう俗っぽいいかがわしさこそが本作の醍醐味だと言える。

ちなみに、美術デザインを担当したのはマレーネ・ディートリヒの『焔の女』(’41)や『スポイラース』(’42)でオスカー候補になったジャック・オターソン。実際に13世紀に建てられたロンドン塔の城塞のオリジナル設計図を基にしてセットを組み立てたそうで、完成したセットの高さは38メートル以上もあったらしい。さすがにこれ一本だけで取り壊すのは勿体なかったため、その後も数多くのユニバーサル作品で使いまわしされたそうだ。

また、本作はベイジル・ラズボーンにボリス・カーロフ、ヴィンセント・プライスと、その後アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)製作のB級ホラーで幾度となく共演することになる3人が顔を合わせているのも興味深いところ。そもそも、本作自体がAIPによって同じタイトルでリメイクされており、そちらの『恐怖のロンドン塔』(’62)ではヴィンセント・プライスがリチャード3世役を演じている。
「The Black Cat」 (1941)
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監督:アルバート・S・ロジェル

エドガー・アラン・ポーの短編小説「黒猫」を原作とするユニバーサル・ホラー映画である。これまでに世界各国で幾度となく映画化されてきた同作だが、ユニバーサルが映画化を試みたのはこれが2度目。ボリス・カーロフにベラ・ルゴシという2大ホラー映画スターの競演が呼び物だった最初の『黒猫』(’34)は日本でも劇場公開されたが、しかし後続の本作は太平洋戦争勃発の直前という時期に作られているため日本では未公開に終わった。どちらも、ポーの原作と同じ「黒猫」をタイトルに掲げ、一応ストーリーに黒猫が絡んでは来るものの、しかしそれ以外は小説版と殆んど関係がない。というか、全くの別物である。今だったら「原作を冒涜するのか!」などと怒られて炎上しそうだが、当時のハリウッド製B級映画では客寄せのために有名小説のタイトルだけを拝借するなんて荒業も珍しくなかった。なんというか、昔はいろいろと緩かったのだ。

大富豪の未亡人ヘンリエッタ・ウィンスロー(セシリア・ロフタス)が危篤に陥り、慌てた親族が築100年を超えるウィンスロー家の大豪邸に集まって来る。ヘンリエッタの姪マーナ(グラディス・クーパー)にその旦那モンタギュー(ベイジル・ラズボーン)、モンタギューの連れ子リチャード(アラン・ラッド)、そしてヘンリエッタの孫であるエレイン(アン・グワイン)にマーガレット(クレア・ドッド)にスタンリー(ジョン・エルドリッジ)。ただし、ヘンリエッタの健康を心配しているのはエレインひとりだけで、それ以外の親族が心配しているのは莫大な遺産の行方だった。結局、高齢のヘンリエッタはなんとか持ちこたえたばかりか、奇跡的な回復を遂げて親族たちを落胆させる。すっかり遺産が手に入るものと思っていたからだ。そんな彼らの本音を見透かしたヘンリエッタは、せっかくみんなが集まったのだからと遺言の内容を読み上げる。それぞれ十分な金額の遺産を貰えると知って一安心する親族たち。しかし、最も価値のある屋敷と土地は全てエレインが相続することとなる。

一方その頃、生まれも育ちも地元でウィンスロー家とも顔見知りの不動産屋ギル・スミス(ブロデリック・クロフォード)と、友人の骨董商ペニー氏(ヒュー・ハーバート)が屋敷へやって来る。実は、捕らぬ狸の皮算用をしたモンタギューがヘンリエッタの死亡を想定し、その場で屋敷や調度品を売り払って金に換えようと考え、専門家である2人をこっそりと呼び寄せていたのだ。しかし、ヘンリエッタに忠実な庭師エドゥアルド(ベラ・ルゴシ)は敵対心を露わにし、気難しい家政婦のアビゲイル(ゲイル・ソンダーガード)も2人を邪魔者扱いする。そのうえ、屋敷はヘンリエッタの愛するペットの猫だらけで、猫アレルギーのギルはくしゃみや咳にも悩まされる。そんなギルとペニー氏の登場に、モンタギューの企みを見抜いたヘンリエッタ。すると、ヘンリエッタが寝しなに飲むはずだった牛乳を飲んだ猫が死んでしまう。何者かが彼女を殺そうとして毒を盛ったのだ。悲しんだヘンリエッタは、敷地内に建てた猫専用の火葬場へ遺体を運んだところ、秘密の通路から出てきた何者かによって殺害される。

悲鳴を聞いて火葬場へ駆けつけたギルとエレイン、アビゲイルの3人は、床に倒れたヘンリエッタの遺体を発見する。先ほどの毒入り牛乳事件があっただけに他殺を疑うギルだったが、しかしウィンスロー家の親族たちは転倒事故で片づけようとする。もしも殺人事件だとすれば、自分たちの中に犯人がいることになるからだ。さあ、これで頑固婆さんはいなくなった。さっさと遺産分配の手続きをして、ついでに屋敷と土地も売り払って親族で山分けしようと言い出すモンタギュー。エレインは半ば強引に同意させられる。ところが、実はヘンリエッタの遺言には重大な続きがあった。屋敷に住んでいる猫たちと彼らの世話をするアビゲイルが存命中は、いかなることがあっても遺産の分配を禁じるというのだ。

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キングコング【戦前特撮】■映画チラシ『キングコング』昭和館/13.1×19.2㎝/初版

『コングの復讐/キングコング続篇』戦前グランドキネマ アーネスト・B・シュードサック ウィリス・H・オブライエン
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戦前/1937年4月日本公開 米映画 ポスター ★失はれた地平線 監督 フランク・キャプラ大作 ロバート・リスキン ジェ―ンワイヤット














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フラッシュゴードン・宇宙をかける男



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喜劇王チャーリー・チャップリン傑作映画「担え銃」本場米国Pathe(パテ―)版ポスター(1928年)







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16ミリフィルム「フランケンシュタインの花嫁」1931年 ダイジェスト版 約400FT 無声映画 英語インタータイトル