原子力機構:骨がストロンチウムを吸着:高炭酸含有アパタイトを開発(動画):  JAEA: Bone adsorbs strontium: Developed highly carbonated apatite:  JAEA:骨头吸收锶:开发出高度碳酸化的磷灰石

原子力機構:骨がストロンチウムを吸着:高炭酸含有アパタイトを開発(動画): 
JAEA: Bone adsorbs strontium: Developed highly carbonated apatite: 
JAEA:骨头吸收锶:开发出高度碳酸化的磷灰石

日本原子力研究開発機構:

東京大学:

研究グループは2月4日、「廃棄豚骨を原料とする安価で高効率な金属吸着剤を開発した」と発表した。

「骨がストロンチウムなどの金属を吸着するメカニズムに炭酸が寄与していること」を明らかにした。

食品廃棄物の活用:

食品廃棄物の豚骨ガラを、家庭用の重曹(炭酸水素ナトリウム)水溶液に漬け込んだ。

「高炭酸含有アパタイト」を、作成・分析し開発に至ったもの。

原子力産業新聞

https://www.jaif.or.jp/journal/japan/6461.html

廃棄豚骨が有害金属吸着剤に

ー新たな金属吸着技術を実現ー

廃材を利用して、安価で高性能な、金属吸着技術を開発しました。

豚骨ガラを活用:

食品廃棄物である豚骨ガラと、食品添加剤としても利用される重曹(炭酸水素ナトリウム)を利用して実験を行いました。

  1. 豚骨を加圧加温した後、
  2. 重曹を含む水溶液に浸漬させたところ、
  3. 骨の形を保った白い構造体の形成を確認(図1)

構造体の組成と微細構造分析:

この構造体の組成と微細構造を調べた。

「ナノメートルサイズの炭酸アパタイト結晶から構成されていること」が分かりました。

この炭酸アパタイトには、通常の骨よりも多くの炭酸が含まれています。

炭酸アパタイトの結晶:

浸漬させる重曹水溶液の濃度を増加させると、その炭酸量も増加しました。

つまり、「重曹に浸漬させれば、多くの炭酸を含む高炭酸含有アパタイトが形成すること」が分かりました。

ストロンチウムの吸着性能解析:

作製した炭酸アパタイトを、ストロンチウム (0.1mol/Lの濃度)水溶液中で、攪拌した。

その後、溶液中に残存したストロンチウムを測定して、ストロンチウム吸着性能を調べました。

ストロンチウムの吸着評価:

炭酸アパタイトは、3分以内に、溶液中の99%ストロンチウムを吸着しました。

その吸着性能を、より詳細に調べました。

炭酸アパタイトの分配係数Kd値[5]は274,780 mL/gです。

未処理の骨に比べて、250倍高い値を示しました(図2左)

カドミウムや鉛の吸着性能:

さらに、炭酸アパタイトのカドミウムや鉛に対する吸着性能も調べました。

結果、「炭酸化アパタイトは、カドミウムや鉛に対しても高効率に吸着すること」が分かりました。

【今後の展望】

  1. 食品廃棄物の豚骨を利用して、
  2. 簡単な工程で、
  3. 高い性能の重金属吸着性能を有する、

吸着剤の開発に成功しました。

この材料は、汚染水の浄化だけでなく、土壌中に埋め込むことで汚染物質が地下水などの環境中に広がることを防ぐことができます。

環境汚染問題への対策:

「人が有害金属を摂取する可能性を、最大限に減らす目的での利用」が期待されます。

さらに、「有用金属を回収することを目的とした吸着剤としての利用」が期待されます。

なお、本成果に関連して、国内外で特許を出願中。

日本原子力研究開発機構:プレス発表

https://www.jaea.go.jp/02/press2020/p21020401/

Carbonated nanohydroxyapatite from bone waste and its potential as a super adsorbent for removal of toxic ions

Abstract

The effective, low-cost decontamination of toxic metals

is critical for addressing global health risks, reducing environmental pollution, and building a sustainable future.

Here, we developed

an eco-friendly hydroxyapatite nanocrystal adsorbent made from bone waste that can effectively capture 90Sr.

Highly carbonated nanohydroxyapatite (C-NHAP) crystals with a negatively charged surface

were obtained by simply immersing pig bone in an aqueous solution of sodium hydrogen carbonate (NaHCO3).

Fourier transform infrared spectra showed that

the C-NHAP was highly carbonated and that the amount of introduced carbonate ions (CO32−) increased with increasing NaHCO3 concentration in the immersion solution.

With increasing amount of CO32− ions introduced into the C-NHAP, it exhibited a greater ion-adsorption performance. The distribution coefficient (Kd = 24,780 mL g−1) of the C-NHAP for Sr2+ was approximately 20 and 250 times greater than those of clinoptilolite and untreated bone, respectively.

The C-NHAP also exhibited high adsorption capacity (Qe = 125 mg g−1) for Sr2+.

The extended X-ray absorption fine structure spectra

showed that the CO32− sites in C-NHAP played an important role in its high adsorption performance.

The C-NHAP exhibited high adsorptivity for Cd2+, Pb2+, and Cu2+.

The C-NHAP prepared from bone waste

is an eco-friendly, high-performance, low-cost material that should be useful in environmental pollutant removal and food waste disposal.

ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2213343721000920