ITER:三重水素除去のレベルアップに成功
ITER: Succeeded in improving the level of tritium removal
ITER:成功提高脫氚水平
・日本の最新三重水素除去装置を導入
・フュージョンの安全性向上に貢献
QST掲載記事からSummaryをお届けします。
量子科学技術研究開発機構(QST):
ITER(国際熱核融合実験炉)が、三重水素除去設備をレベルアップ。
QSTが、三重水素を除去する技術を開発。ITERに提案した。
三重水素除去設備の検証:
イーターの三重水素除去率を充足することを確認した。
1.日本のQSTが、新規設備の改良工事を担当した。
2.また、性能確証試験を、日本の施設で実施した。
三重水素の安全取扱い技術:
本成果は、ITERのみならず、日本の原型炉の開発に役立つ。
三重水素の安全な取扱技術水準の向上に、大きく貢献するもの。
ITERとは:
7極(日本・欧州・米国・ロシア・中国・韓国・インド)が協力。
フランスに建設中の核融合実験炉。
量子科学技術研究開発機構(QST):
QSTは、ITERと共同で三重水素除去設備の開発と性能検証を進める。
新規設備で、更に三重水素除去設備の安全性向上を図る。
ITERと三重水素除去装置の関係:
核融合では、三重水素を高純度に濃縮して、燃料として使う。
三重水素は放射能を持つ:
1.公衆への影響を防ぐため、三重水素を除去することが重要だ。
2.三重水素除去設備で、三重水素(=排ガス内)を除去するのだ。
ITERは乾燥塔方式を採用:
ITERは、’乾燥塔で三重水素を吸着させ、取り除く方式’を採用。
排出ガス中の三重水素を酸化させて、水蒸気の形にするのだ。
乾燥塔方式の問題点:
乾燥塔は「吸着」「再生」「待機」状態の3塔で構成される。
1.3搭の状態を順番に切り替えて、連続的に乾燥塔を使用。
2.この3塔の切替えには、頻繁なバルブ操作が要求される。
QSTがITERにスクラバー塔方式を提案:
QSTは、ITERに新システムによる解決法を提案した。
従来の乾燥塔方式を、スクラバー塔方式に変更する。
スクラバー塔方式での三重水素除去:
スクラバー塔方式は、三重水素を含む水蒸気を、連続的に洗い流す。
1.特殊な充填物が詰まった塔に、純水を導入・散布する。
2.必要な操作は、水を塔内に導入するだけ。
スクラバー塔方式導入の利点:
1.複雑な設備・操作による故障等、機能喪失リスクを低減
2.設備信頼性を高めることで、ITERの安全性が向上する
スクラバー塔方式導入で連続運転可能:
ITERは、建設活動等による稼働中断を、防ぎたい。
’常に三重水素除去機能を稼働させること’が、重要課題なのだ。
日本のスクラバー塔方式を採用:
ITERは、日本の三重水素除去装置を採用した。
1.塔内の充填物で、水親和性を持つ物質に変換する。
2.塔内の純水が、効率的に分散する構造に改造した。
3.塔内の水蒸気量と、同量の純水を供給すれば済む。
スクラバー塔方式採用が、’ITERの排水量増加への懸念’を払拭した。
スクラバー塔方式の性能検証結果:
スクラバー塔方式の三重水素除去設備が、長期の健全性を証明した。
1.ITERの様々な条件で、除去率を満たすことを確認。
2.11年間の連続運転で、’経年劣化による性能低下なし’を確認。
今回の三重水素除去技術:
1.イーターの安全性を向上させ、イーター計画を大きく前進。
2.日本の原型炉における’三重水素の安全な取扱技術向上’に貢献。
ITER Newsline(英語)に掲載される予定。
ITERの三重水素除去設備:
ITERの三重水素除去設備は、次の安全機能を担う。
1.三重水素を扱う機器、設備、区画等から、排出ガス中の三重水素を除去する。
2.放射性物質による汚染拡大防止、三重水素除去のための負圧維持。
3.エアロゾルや放射性腐食性生成物を、フィルターでろ過する。。
QSTの三重水素除去設備(スクラバー塔方式):図2(上図)に示す。
既存の三重水素除去設備(乾燥塔による方式):図2(下図)に示す。
図2(上図)と図2(下図)を比較:
フィルター→送風機→触媒塔という灰色の部分は同じ。
三重水素を回収する部分を、乾燥塔からスクラバー塔に変更。
1.スクラバー塔方式・図2(上図)採用で、ITER安全性が向上。
2.従来必要だった’煩雑な乾燥塔・切替え操作’が不要に
3.バルブ故障など機能喪失リスクがなく、ITER信頼性が向上。