COVID-19:iPSでウイルス感染防止の研究:ACE2発現iPS細胞(動画):
COVID-19:Research on virus infection with iPS: ACE2-expressing iPS cells:
COVID-19:预防病毒感染 iPS 的研究:表达 ACE2 的 iPS 细胞
CiRA
京都大学 iPS細胞研究所研究の概要
SARS-CoV-2感染において「TMPRSS2注2)とカテプシンB注3)が重要な役割を担うこと」を見出しました。
「TMPRSS2阻害剤とカテプシンB阻害剤の組合せ」により「SARS-CoV-2感染効率が低下すること」を確認しました。
「CRISPR干渉(CRISPRi)とACE2発現iPS細胞」が、SARS-CoV-2関連遺伝子の機能解明に役立つと考えられます。
1. 要旨
これまで、
- ’多くの受容体やプロテアーゼ’が、
- SARS-CoV-2感染に必要であることが、
- 報告されています。
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2):
ウイルス感染において、「ACE2は最も重要と考えられている受容体」です。
しかし今まで、「ウイルス感染における’他の受容体やプロテアーゼ’の寄与度」については、十分調査されていません。
CiRA増殖分化機構:
研究グループは、
- ACE2発現iPS細胞とCRISPRi技術を用いて、
- SARS-CoV-2感染における3種の受容体と、
- 6種のプロテアーゼの役割を調べました。
検証の結果:
「TMPRSS2またはカテプシンB発現を抑制する」と、
ウイルス量
それぞれ20.6%あるいは0.84%にまで低下しました。「TMPRSS2とカテプシンB発現を、同時に発現抑制する」と、
ウイルス量
0.036%にまで低下しました。同様に、
「カテプシンB阻害剤とTMPRSS2阻害剤の組合せ」では、
ウイルス量
0.0078%にまで低下しました。4種類のSARS-CoV-2変異株でも、同様の結果が観察されました。
研究のまとめ:
本研究では、
- 「CA-074 Meとカモスタットの組合せ」により、
- 「ウイルス感染効率の顕著な低下」が見られました。
しかし、完全な感染阻害効果を得ることはできませんでした。
- 今回調べた受容体と、
- プロテアーゼ以外にも、
- 重要な因子があると予想されます。
今回の技術:
今回用いた「ACE2発現iPS細胞およびCRISPRi技術」は、「新たなSARS-CoV-2関連因子の探索と評価」にも使用できると考えられます。
CiRA
京都大学 iPS細胞研究所
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/211021-000000.html
Dual inhibition of TMPRSS2 and Cathepsin B prevents SARS-CoV-2 infection in iPS cells:
Abstract
It has been reported
that many receptors and proteases are required for SARS-CoV-2 infection.Although angiotensin-converting enzyme2 (ACE2) is the most important of these receptors,
little is known about the contribution of other genes.
In this study,
we examined the roles ofneuropilin-1,
basigin,
transmembrane serine proteases (TMPRSSs),
cathepsins (CTSs)in SARS-CoV-2 infection using the CRISPR interference system and ACE2-expressing human iPS cells.
Double-knockdown of TMPRSS2 and CTSB reduced the viral load to 0.036±0.021%.
Consistently,
the combination of the CTPB inhibitor CA-074 methyl ester and the TMPRSS2 inhibitor Camostat reduced the viral load to 0.0078±0.0057%.This result was confirmed
using four SARS-CoV-2 variants (B.1.3, B.1.1.7, B.1.351, and B.1.1.248).The simultaneous use of
these two drugs reduced viral load to less than 0.01% in both female and male iPS cells.These findings suggest that
compounds targeting TMPRSS2 and CTSB exhibit highly efficient antiviral effects independent of gender and SARS-CoV-2 variant.Molecular Therapy – Nucleic Acids
https://www.cell.com/molecular-therapy-family/nucleic-acids/fulltext/S2162-2531(21)00259-6