人の細胞の受容体(オレンジ色)とスパイクタンパク質の「受容体結合ドメイン(RBD)」が結びついている様子。赤い部分が「E484K}の変異(立教大・望月祐志研究室提供)
COVID-19:変異株は細胞との結合力が強い:’富岳’が分析(動画):
COVID-19: Variant has strong cell binding: ‘Fugaku’ analyzes:
COVID-19:变体具有很强的细胞结合力:“ Fugaku”分析
スパコン’Fugaku’が分析:
理化学研究所のスーパーコンピューター「Fugaku」を使ったシミュレーション。
変異株の感染力:
- 新型コロナウイルスの変異株が、
- 人の細胞と結合する力が、
- 従来株よりも強くなっている仕組みがが分かった。
立教大の研究チームが、4月28日発表した。
感染の仕組みを解明:
「変異によって、感染の仕組みにどのような影響が及ぶのか」を、分子レベルで解明した。
今後、ワクチンや治療薬の研究に役立つと期待されます。
変異株感染力を比較:
- 英国株は1.03倍、
- 南アフリカ株・ブラジル株は1.20倍、
スパイクタンパク質:
スパイクタンパク質は、1300のアミノ酸でできている。
スパイクタンパク質の一部である「受容体結合ドメイン(RBD)」と呼ばれる部分。
「RBDと、細胞表面にある受容体が結びつくこと」で感染が始まる。
変異で感染力が上昇:
英国株、南アフリカ株、ブラジル株で、「RBDのアミノ酸の一部が、置き換わる変異」が起きている。
これが、感染力の強まる原因とみられる。
研究チームが分析:
「RBDと、受容体が持つ全てのアミノ酸の間」で、結合力の大きさや種類を分析。
「それらが、変異によってどのように変化するか」を、シミュレーションで再現。
シミュレーション分析結果:
その結果を統合し、「RBDと受容体が結びつく力」を評価した。
- 従来株に比べて、
- 英国株は1.03倍、
- 南アフリカ株とブラジル株は1.20倍、
受容体の結合力が、強くなっていることが分かった。
変異により、プラスとマイナスが反転:
例えば、感染力が強いとされる南ア株には、「E484K」という変異がある。
これは、
スパイクタンパク質の484番目のアミノ酸「グルタミン酸(E)」が「リシン(K)」に置き換わっていることを示す。
グルタミン酸は、マイナスの電気を帯びている。一方、リシンはプラスだ。
もともと、「細胞側のプラス電気を帯びたアミノ酸と、安定的に結合していた力」が弱まり、逆に反発するようになった。
一方、「細胞側のマイナス部分と引合うことで、結合力が強まる現象」が起きていた。
今後の研究:
今回は、細胞受容体との相互作用を分析した。
変異株モデルでのシミュレーションで、結合力が強まると云う結果が得られた。
将来の変異リスクに備える研究につながるという。
立教大の望月祐志教授:
- ’Fugaku’の圧倒的な計算力を生かして、
- 相互作用の解析を行えるようになり、
- 実験で得られないような予測ができるようになった。
今後、ワクチンや薬の作用を調べる研究にも応用できる。
産経ニュース
https://www.sankei.com/life/news/210428/lif2104280030-n1.html