中国の造船業:米国の500倍の生産力を誇示!
・米国造船業の衰退理由を、分かり易く解説
・中国は造船業優位で、米海軍力は地獄へ転落
中国問題グローバル研究所掲載記事からSummaryをお届けします。
トランプ大統領:施政方針演説:
3月5日、トランプ大統領は、アメリカの造船業を復活させると強調した。
中国は現在、アメリカの500倍の造船生産力を持っている。
1.アメリカの造船業はなぜそこまで衰退したのだろうか?
2.関税措置や制裁で、そのギャップを埋めることができるのか?
造船に関するトランプ大統領の抱負:
施政方針演説で、造船業強化に対するトランプの抱負を強調した。
1.防衛を強化するため、商業用造船や軍用造船で、米国造船業も復活させる。
2.ホワイトハウスに造船局を新設し、特別税制優遇措置を設けることを発表する。
アメリカは、「自国の造船業が壊滅的であること」を自覚すべきだ。
世界造船業界で中国シェアが急拡大:
1.中国のシェアが、2000年の5%から、2023年に50%以上拡大した。
2,今後、関税や港湾使用料として、中国製船舶に税金を賦課する予定だ。
アメリカは、「中国が不正を行った」と結論付けて、対中制裁を強化する。
アメリカ造船業の衰退理由:
米造船業衰退は、「産業空洞化」の一環として1980年代から始まった。
1.1981年レーガン政権が、米国造船所に対し、商業造船補助金制度を撤廃した。
2.造船業界は、4万人の労働者を解雇し、造船業界全体が崩壊した。
米海運会社の外洋商船:受注がゼロ:
1980年:62隻の外洋商船の注文を受けていた。
1981年;46隻に減少、1982年;35隻に減少した。
1983年;21隻に減少、1984年;13隻に減少した。
レーガン政権が終わる1988年に、遂に「ゼロ」になった。
米国海軍の戦艦建造:要員不足、建造技術不足
米国海軍の戦艦に関しては、別枠予算である。
1.しかし米国造船技術者の要員が不足、建造技術水準も低レベルだ。
2.最新空母の建造レベルでさえ、その品質、性能に疑問が持たれる。
高関税をかけたり、制裁したところで、アメリカの造船業は復活しない。
◆世界造船業の現状:UNCTAD2023年統計:
次に、世界の造船業の現状を考察してみる。
1.中国の造船総トン数は、「3286万トン」である。
2.アメリカの総トン数は、「6.48万トン」である。
中国の造船業における生産力はアメリカの507倍だ。
米中日韓の船舶製造トン数の推移:
アメリカ(青色)は、生産量が低くて、ゼロ近辺の状況だ。。
1.韓国(緑色)が、造船業に関して案外に強い。
2.中国(赤色)が、2017年から韓国を抜き、独走中。
3.日本(紫色)は、中国にも韓国にも追い抜かれたままだ。
世界の船舶の新規受注シェア:
世界貿易の90%は、「海運業によって行われている」と言われている。
「中国船舶工業業界協会」:2023年の新造船受注量
2023年、新造船受注量の世界シェアで、中国が世界の66.6%を占めている。
2024年、中国の世界シェアが、74.1%にまで上昇したのだ。
アメリカのVOA:2月25日
「301条の実施は、米造船業の利益にならず」との意見を報道した。
1.中国所有の貨物船、第三国籍船に対し、米国内寄港地で100万ドル以上を課すとのこと。
2.中国の船舶は、カナダやメキシコの港で貨物を降ろし、陸路でアメリカ国内に運ぶのだ。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/290abb186203ba10f84550bd5feb94567126a8a8
中国:「造船と鉄鋼の戦略的連携」:
中国の国家戦略は、中国国内で連携政策を着々と実行している。
1.中国の造船力優位性が、米海軍力の相対的劣化をもたらす。
2.米国の、日本の防衛予算に対する要求にも、大きく関係する。
トランプ2.0が、25%関税をかけても、中国製造業の背骨は揺るがない。
造船と鉄鋼の両輪:国家支援の重要性:
1.造船業は、政府の支援がないと困難だ。一朝一夕にできる商売ではない。
3.鉄鋼業が国内で栄えないと、造船業は基本的に成り立たない。
なぜなら、鉄鋼輸入に頼る国は、「船体用厚板の調達」にコストがかかる。
中国の巨大な計画:中国の国家戦略とは:
1.2005年7月27日、「鉄鋼と造船が、戦略的連携協議メカニズムを結成」
2.2006年、船舶工業中長期発展計画:(2006~2015年)を発表。
3.2019年11月、中国船舶工業集団と中国船舶重工集団が合併、中国船舶集団になった。
4.2022年9月、「2022年 造船企業・鉄鋼企業のマッチング協調会議」
5.2023年12月、「中国船舶集団(CSSC)と宝武鋼鉄集団が協力枠組み」
6.2024年10月、「中国遠洋海運(COSCO)と中国船舶集団が協力枠組み」
米中日印露の粗鋼生産量:(1969~2023年)
中国の鉄鋼が、成長しているのに対して、アメリカは底辺を這っている。
アメリカ鉄鋼協会:2024年のデータ:
一目瞭然。アメリカの鉄鋼生産は長年にわたり低迷している
1.2024年、アメリカの鉄鋼生産は、23%輸入に依存している。
2.鉄鋼の輸入上位国は「カナダ、ブラジル、メキシコ、韓国、ベトナム、日本」の順番だ。
米国の「造船業と鉄鋼業の連携」:
1.アメリカ政府には、米造船業を支援する明確な政策がない。
2.米国が鉄鋼輸入に頼るなら、造船業は成長しない。
3.アメリカには、造船・鉄鋼エンジニアが大量に不足。
「造船と鉄鋼業が連携しない国家戦略」では、「造船局」を設立しても、造船業復活は厳しい。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c7a22ea7a1fca345359ba5f8f9b87b8c0614c053