1928:松竹映画:天國の人:

  

天國の人:松竹映画:

1928-01:芝居とキネマ 5(1):

相馬謙三が出獄:

ちょいとした過失で人を殺し、十八年間を刑務所で暮らした。

刑期満ちて、五十歳のみすぼらしい老人となって、出獄した。

彼が場末の飯屋へ入って、十八年前の出来事を思い浮べていた。

「甲州の辰」といふ男:

彼の肩を叩いたのは、獄中で知り合つた「甲州の辰」と云う男である。

謙三は、辰にはげまされて、育見院を訪れた。

育見院を訪問:

そこには、謙三が刑務所へ入る時、預けておいた愛児・敏子がいる。

ところが、「敏子は某富豪に引き取られて、幸福に暮らしている」とのこと。

しかし、その富豪の名は数へられかつた。

同行した辰が協力:

事務所から帳簿を盗み出して、富豪の名を知るここが出来た。

某富豪とは、「過失殺人罪を謙三に被せた松岡普吉」である。

謙三を裏切った「松岡普吉」:

驚いたことは、「かつて謙三を裏切った、松岡普吉が敏子を引取つていた」とのこと。

「辰と謙三」:

松岡は「近く結婚式をあげる敏子のため、全財産をささげる」と語つた。

東京都の新聞:

やがて、「敏子とその愛人安田進の盛大な結婚式がる」と報じた。

「辰と謙三」:

当日、松岡邸で敏子のため近親者のみの別離の宴を催した。

その夜、辰と謙三は、邸の中へ忍び込んだ。

辰が捨てたマッチ:

捨てたマッチで、松岡邸に火事が起り、敏子たちは逃げ出した。

敏子の弟・陽一が、逃げ遅れ:

松岡邸の階上室は、猛火で悲鳴をあげている。

謙三は猛火の中に飛び込み、陽一少年を救い出した。

松岡が、謙三に感謝:

松岡は、謙三の勇気に涙を流し、過去の罪を詫びようとした。

謙三の松岡への想い:

十八年ぶりで立派な娘敏子に逢つて、謙三は涙を流した。

謙三はわが身が前科者であり、黙っている方が良いと思った。

親娘であることを、今名乗りたあげるべきなのか?

謙三の胸は、心の乱れに揺れた。

松竹蒲田映画

相馬謙三  井上正夫

その敏子  栗島すみ子

芝居とキネマ 5(1):1928-01:

表紙:伏見 直江

目次:天國の人:「健闘屋キートン」:プラーグの大學生: