Honda Reusable Rocket:垂直離着陸に成功！
・なぜHondaがロケット開発？
・今回の垂直離着陸実験の狙い
Mynavi掲載記事からSummaryをお届けします。
Hondaのロケット開発：
Hondaが小型ロケットの開発を表明し、世間を驚かせたのは2021年のことだった。
それ以降、開発状況などの情報は外部に出てくることはなく、実情はベールに覆われていた。
6月17日、同社は北海道・大樹町にて垂直離着陸実験を実施、その一端が明らかになった。
Honda R&D：櫻原一雄室長：
民間のロケット開発は、世界はもちろん、日本でも競合が多い状況にある。
そんな中、Hondaはどんなロケットを開発しているのか。何をめざしているのか。
ロケット開発を率いる宇宙開発戦略室の櫻原一雄室長と、石村潤一郎チーフエンジニアに話を聞いた。
櫻原一雄室長(右)と石村潤一郎チーフエンジニア(左)
なぜHondaがロケット開発?：
Hondaの歴史は、先進的なチャレンジを続ける姿勢は創業当時から一貫している。
そういう意味では、Hondaがロケット開発に乗り出すのはむしろ自然だ。
使いやすいロケットの必要性：
現代のデータ社会を大きく支えているのが人工衛星だ。
１．低軌道の通信衛星コンステレーション、
２．自動運転などに欠かせない測位衛星システム、
３．地球環境を把握するためのリモートセンシングなど、
人工衛星の活用をさらに拡大するためには、使いやすいロケットの増加が必須だ。
サステナブルなロケット：
ロケットを開発すると言っても、Hondaがめざすのは、持続可能燃料を使う再使用型ロケット。
１．燃料としては、水素とメタンが候補だが、現在はメタンを採用している。
２．現在はまだ研究開発の段階で、今回の離着陸実験がその試金石になる。
今回の垂直離着陸実験の狙い：
１．全高が6m(脚格納状態)、直径が85cm。
２．重量は900kgで、推進剤を入れたときは最大1,312kgとなる。
３．上部には制御翼、下部には接地脚があり、飛行中は収納し、必要なときに展開できる。
エンジンは、推力6.5kNのものを2基搭載しており、ジンバリングによる3軸姿勢制御が可能だ。
2019年より研究開発スタート：
１．2024年には、まず高度50cmのホバリングに成功。
２．2025年には、さらに高度を270mまで上げた。
飛行時間は1分程度と短いものの、姿勢・誘導制御、推力スロットリング、
着陸脚の収納/展開、誘導翼の展開など、全ての要素技術の検証を行った。
今回の実験で検証する内容：
今回は特に、下降速度を20m/s以上まで上げて、空力の影響を受けながら、正常に機体を制御する点に注目。
１．誘導翼を傾け、機体にあえてロール回転を与えるのだ。
２．エンジンの姿勢制御で、それを抑えられるかも検証する。
公開実験の動画を確認：高精度な制御に成功：
３．ロール制御まで含め、すべてうまくいったように見える。
４．着陸についても、位置の誤差はわずか37cmということだ。
技術的に注目したい点：、ターボポンプを搭載
１．ターボポンプは、ロケットエンジンの中でも、特に難易度が高い装置。
２．今回の段階で、ターボポンプは絶対に必要になる技術だ。
櫻原氏は、自動車とロケットのエンジンの違いについて語る。
３．自動車エンジンは、間欠燃焼方式であり、すごく複雑だ。
４．ロケットエンジンは、燃料が極低温だが、連続燃焼方式で仕組みはシンプルだ。
日本の民間ロケット開発事業者：
１．現在、日本ではインターステラテクノロジズの「ZERO」、
２．スペースワンの「カイロス」、
３．将来宇宙輸送システムの「ASCA」など、民間による新型ロケットの開発が進んでいる。
部品のバラツキなども含めて工業製品化し、リーズナブルな価格帯にする必要がある。
Hondaの次のマイルストーンは、2029年に実施予定のサブオービタルフライトだ。