COVID-19:京都府立医大、中和タンパク製剤:結合阻止たんぱく質開発(動画):
COVID-19: Kyoto PU of Med, Neutralizing protein preparation development:
COVID-19:京都府立医科大学,中和蛋白制备:蛋白的结合阻断/发展
新型コロナの「スパイクたんぱく質」:
新型コロナは、「ウイルス表面のスパイクたんぱく質」を使い、細胞内に入り込む。
このたんぱく質が、人の細胞表面にあるたんぱく質「ACE2」に結合している。
結合を妨げるたんぱく質を作製:
研究チームは、ACE2遺伝子を改変し、結合を妨げるたんぱく質を作製した。
改変たんぱく質の結合力:
スパイクたんぱく質に結合する能力が、100倍高い。
- これを薬として投与すれば、
- 新型コロナが、作製したたんぱく質に、先に結合し、
- 生体細胞への侵入を防げるという。
実用時は、たんぱく質を静脈に注射する方法を考えている。
生命科学インスティテュート:
三菱ケミカルホールディングス傘下の生命科学インスティテュートと協力し、動物実験で安全性を確かめる。
順調に進めば治験に進み、実用化を目指す。
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66383590Y0A111C2000000/
新型コロナウイルス中和タンパク製剤の開発について
京都府立医科大学:星野温 助教、
大阪大学:高木淳一 教 授、
微生物病研究所 :岡本徹 教授、
研究グループ:
「新型コロナウイルスの受容体であ る ACE2 タンパクのウイルス結合力」を 、100 倍以上高めることに成功しました。
ACE2タンパク:
新型コロナ ウイルスは、ヒト細胞のACE2タンパクと結合して感染します。
「結合力を高めた高親和性改変 ACE2 タンパク」を用いることで、ヒト細胞への感染を阻害する効果が期待され ます。
ウイルス中和タンパク製剤の創薬:
「この高親和性改変 ACE2 タンパクで、ウイルス中和タンパク製剤を創薬」の予定。
今後、 (株)生命科学インスティテュートと共同で行います。
研究手法と成果:
共同研究グループは、
指向性進化法(2)という、言わば試験管内で 、「ACE2 タンパクを、ウ イルスに結合しやすくなるように、進化させる方法」を用いました。
まず 、
ACE2 遺伝子を、エラ ーが入りやすい条件で、増幅させます。
そして、 10 万種類の ACE2 変異体ライブラリを作製し ます。
次に、
それぞれの 変異体を細胞表面に発 現させます。
そして、ウイルスのス パイク成分と、よく結合 するものを回収します。
更に、
回収された ACE2 変異体 に、さらに変異を導入します。
同様の流れでより、スパ イク成分と結合するも のを回収します。
これを 繰り返すことで、最終的 に ACE2 のウイルススパ イクとの結合力を、 100 倍以上に高めることに 成功しました(図1)
解離定数(KD 値):
結合力の指標である解離定数(KD 値)は、
- 野生型が 41.4nM に対して 、
- 改変 ACE2 は 0.37nM と、
- 抗体製剤と同等以上の結合力を達成しました。
次に、
この高親和性改変 ACE2 に、「抗体の Fc 領域(3)を、結合させたタンパク製剤」を合成します。
そして、機能評価を行いました。
- Fc を結合させることで、
- 体内での薬物動態が安定化する事や、
- 2量 体になり中和活性が向上する事が期待できます。
シュードウイルス(4)に対する中和実験:
50%感染阻害濃度(IC50)が
- 野生型では 12.6μg/mL であるのに対して、
- 改変型では 0.055μg/mLと
- 約200倍の有効性を、認めました。
また、
新型コロナウイルスに対する中和実験 では、
- 一般的な抗体製剤の血中濃度領域において、
- 改変型 ACE2-Fc で、良好なウイルス中和活性 が確認されました(図2)
【今後の展開】
本研究で開発された、高親和性改変 ACE2 タンパクを用いて、
- 高いウイルス中和活性を持 ち、
- ウイルスの遺伝子変異による、
- 薬剤耐性が問題とならない、
- 新たなモダリティによる 、
治療薬の開発に(株)生命科学インスティテュートと共同で取り組みます。
そしてこの製剤 を、安全にヒトへ投与し普及させ、COVID-19に終止 符を打つことが期待されます。
https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2020/files/25474.pdf
High affinity modified ACE2 receptors prevent SARS-CoV-2 infection
Yusuke Higuchi, Tatsuya Suzuki, Takao Arimori, Nariko Ikemura, Yuhei Kirita, Eriko Ohgitani, Osam Mazda, Daisuke Motooka, Shota Nakamura, View ORCID ProfileYoshiharu Matsuura, Satoaki Matoba, Toru Okamoto, Junichi Takagi, Atsushi Hoshino doi: https://doi.org/10.1101/2020.09.16.299891
ABSTRACT
The SARS-CoV-2 spike protein
binds to the human angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2) receptor via receptor binding domain (RBD) to enter into the cell.
Inhibiting this interaction
is a main approach to block SARS-CoV-2 infection and it is required to have high affinity to RBD independently of viral mutation for effective protection.
To this end,
we engineered ACE2 to enhance the affinity with directed evolution in human cells.
Three cycles of random mutation and cell sorting
achieved more than 100-fold higher affinity to RBD than wild-type ACE2.
The extracellular domain of modified ACE2 fused to the Fc region of the human immunoglobulin IgG1
had stable structure and neutralized SARS-CoV-2 pseudotyped lentivirus and authentic virus with more than 100-fold lower concentration than wild-type.
Engineering ACE2 decoy receptors with directed evolution
is a promising approach to develop a SARS-CoV-2 neutralizing drug that has affinity comparable to monoclonal antibodies yet displaying resistance to escape mutations of virus
bioRxiv