パーキンソン病:米国でiPS細胞の移植開始
・米国の患者に、日本製のIPS細胞を移植へ
・iPS細胞によるパーキンソン病治療を開始
関西NHK NEWS掲載記事からSummaryをお届けします。
iPS細胞でパーキンソン病治療:
大阪の製薬会社が製造しているiPS細胞を使ったパーキンソン病の治療。
1.6月25日、米国での臨床試験で、1例目の患者にiPS細胞を移植した。
2.既に、日本での治験でiPS細胞移植に成功、良好な結果を得た。
日本の会社は、製造・販売承認申請を準備中、海外での実用化を進める。
製薬会社「住友ファーマ」:
パーキンソン病患者の脳に、iPS細胞から作り出した細胞を移植する治療を開発した。
海外での実用化を目指す。米国での治験を行うと、おととし発表した。
カリフォルニア州の大学病院:iPS治験を実施:
今年6月、大阪の施設で「日本で作製したiPS細胞を、生きたまま梱包・輸送する」ことに成功した。
1.航空機で23時間かけて、米カリフォルニア大サンディエゴ校の臨床試験にiPS細胞を提供。
2.日本時間の6月25日、臨床試験の1例目として、米国患者に移植した。
日本国内でのiPS治験は既に成功し、会社は今後、国に製造・販売の承認申請を行う。
パーキンソン病とは:
運動にかかわる脳の神経細胞が減り、震えやこわばりなどの症状が出る難病。
2018年日本の京都大が、他人のiPS細胞で作った神経細胞を、脳に投与する治験を始めた。
住友ファーマは、細胞の製造を担い、日本で承認申請の準備を進めている。
米国のパーキンソン病患者数:
1.アメリカの患者数は、日本の3倍以上で、およそ100万人いる。
2.市場規模の大きい海外で、iPS細胞治療の実用化が注目される。
住友ファーマは、アメリカでの承認申請を目指す。
住友ファーマ再生・細胞医薬推進室:吉田賢司室長
1.今回の米国治験では、7人の患者に治療を行う計画だ。
2.さらに多くの患者を対象にした治験を実施する予定。
この治療法を多くの関係者と一緒に作り上げ、世界中の患者に一日でも早く届けたい。
輸送時間短縮の工夫:
住友ファーマは大阪府吹田市の自社工場で作製し、米カリフォルニア大サンディエゴ校の病院に届けた。
1.実は、「iPS細胞を生きた状態で輸送する必要がある」のだ。生きたまま2~8度の温度で空輸する。
2.品質が悪化しないよう、出荷から24時間以内に届けることが目標だ。
通関手続きで時間のロス:24時間以内の目標
住友ファーマは、2020年から、iPS細胞の航空機・海外輸送試験を開始した。
1.しかし、ロサンゼルス空港に到着した後、通関手続きで時間がかかった。
2.米国現地の通関手続きでは、40時間から60時間ほどを要したとのこと。
関西空港発ロサンゼルス行きの定期便で行った最終試験で、計21時間14分と、目標を達成。
日本航空などとの協力体制:「バルク貨物室」の活用:
生きたままのiPS細胞を良好な状態で届けるため三菱倉庫と稲畑産業、日本航空とタッグを組んだ。
1.「バルク貨物室」にiPS細胞だけを搭載させ、到着後、迅速に通関手続きする。
2.今回の輸送では、23時間で現地の大学病院に届けることができた。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250707/2000095108.html