京都フュージョニアリング:3秒間の1MW級の出力を実現 Kyoto Fusioneering: Achieving 1MW class output for 3 seconds 京都Fusioneering:3秒實現1MW級輸出

核融合炉向け低周波数ジャイロトロンシステムで、3秒間の1MW級での出力を達成 京都フュージョニアリングら - fabcross for エンジニア

京都フュージョニアリング:3秒間の1MW級の出力を実現
Kyoto Fusioneering: Achieving 1MW class output for 3 seconds
京都Fusioneering:3秒實現1MW級輸出

・35GHz低周波数ジャイロトロンを稼働

・小型核融合炉開発に大きな貢献

NEWS・ KYOTOFUSIONEERING掲載記事からSummaryをお届けします。

国際産学共同研究グループ

京都フュージョニアリング(KF)、

核融合科学研究所(NIFS)、

筑波大学、

英国原子力公社(UKAEA)、

キヤノン電子管デバイス

35GHzの低周波数で、3秒間の1MW級(ダミーロード計測で930kW)出力を実現した。

A.【研究開発の背景】

ジャイロトロンが、大型核融合炉のITERJT-60SAで開発されている。

大型核融合炉は高周波数:

大型核融合炉は、電子の回転周波数に合わせて共鳴させる方式だ。

1.大型核融合炉は、100GHz以上の高周波数のものが主流。

2.電子サイクロトロン加熱方式で、炉心を加熱する方式。

Spherical Tokamaks | SpringerLink

球状トカマク装置の加熱方式:

しかし、球状トカマク装置(=英国のMAST Upgradeなどが採用)は、その特徴から電子サイクロトロン加熱方式を使えない。

別の加熱方式を採用:

今回、球状トカマク装置では、’別の加熱方式を採用すること’とした。

比較的低周波数で、’高密度プラズマ電子を加速し加熱する’には、

一般的に電子バーンスタイン波を使用する。

低周波数ジャイロトロンでプラズマ加熱実験:

’1MW級低周波数のジャイロトロンシステム’を新たに製作した。

1台のジャイロトロンで、’28GHz35GHz’を発振できる。

核融合反応での重要事項:

1.炉心プラズマへのビーム加熱誘導

高出力のビームを、’ジャイロトロンから、炉心プラズマに誘導すること’が重要。

2.低周波数ジャイロトロンの難しさ

ジャイロトロンは、’周波数が低くなるほど、本体の出力ビームが発散しやすい’のだ。

・炉心プラズマまでのビーム伝送が難しい。

・かつ、ビームが放電しやすくなるのだ。

また、機器破損等に注意が必要という問題あり。

西浦正樹【東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻】

低周波数ジャイロトロンの開発:

共同研究グループは、低周波数ジャイロトロンシステムの開発を開始。

1.電子サイクロトロン加熱グループ:NIFS西浦正樹 准教授

KF、ジャイロトロン性能試験に、必要な設備を有する。

2.筑波大学数理物質系:假家強 准教授、

低周波数ジャイロトロンシステムの研究開発をけん引する

3.UKAEA:キヤノン電子管デバイス

ジャイロトロンの製品設計・製造企業である。

加熱装置系 | 実験・研究設備 | 筑波大学 プラズマ研究センター

B.【研究開発の方法】

筑波大学の知見を活用:

筑波大学の’低周波数ジャイロトロンの知見’を参考に、再設計した。

1.低周波数ジャイロトロン内部のミラー

ジャイロトロン本体から、ビームを出力するミラー。

ジャイロトロン内部設置のミラーを、大きくした。

2.MOU内のミラー

ジャイロトロン本体の発生ビームを、炉心プラズマに伝送するミラー。

導波管へ誘導する準光学的結合器(MOU)のミラーを大きくした。

3.ミラー間の距離を短縮

2つのミラー間の距離を近づけるよう、システムを再設計。

ミラーを大きくして、発散ビームの伝送損失を最小限に抑える。

ミラー間の距離を縮めると、伝送損失や放電が減少する。

4.再設計・性能試験

低周波数ジャイロトロン本体稼働に向け、性能試験を重ねた。

高電圧電源や、ビーム発生に必要な磁場形成用・超電導磁石を見直し。

35GHz低周波数の核融合炉用炉心プラズマ加熱装置で3秒間1MW級の出力を実現 | TECH+(テックプラス)

C.【研究開発の結果】

1.低周波数ジャイロトロンの性能試験:

35GHzの低周波数で、3秒間の1MW級(ダミーロード計測で930kW)出力を実現した。

2.大電力電磁波ビーム発散の課題解決:

35GHzの比較的低周波の領域で、秒レベルのMW級での出力を達成した。

小型核融合炉開発における大きな貢献となる可能性があります。

3.高性能の確認(再現性と安定性):

再現性と安定性の観点で、高い性能を確認した。

合計20回出力のうち19回は、同等の数値での出力に成功した。

10回連続出力でも同等の数値を確認し、信頼性の高い結果を得た。

MAST Upgrade - Culham Centre for Fusion Energy

UKAEA -MAST Upgrade

この低周波数ジャイロトロンを、今後UKAEAに届ける。

オックスフォードの球状トカマク装置・MAST Upgradeで使うのだ。

Spherical tokamak as model for next steps in fusion energy

STEPSpherical Tokamak for Energy Production

日本は、UKAEAの核融合プラント開発プログラムSTEPSpherical Tokamak for Energy Production)に貢献する。

今回の研究プロジェクト:

次の共同研究に基づき、実施された。

NIFSKFとの共同研究

高パワージャイロトロンの長パルス化に関する研究

筑波大学とKFとの共同研究

低周波数領域ジャイロトロンの長パルス化等に関する研究

日本学術振興会の科研費

ミリ波散乱計測による核融合プラズマ中の燃料イオン診断システム開発(19KK0073

https://kyotofusioneering.com/news/2024/01/12/2063