中国EV輸出の1/2:欧米ブランドが中国で生産したもの
1/2 of China’s EV exports: those produced in China by Western brands
中國電動車出口量的1/2:由西方品牌在中國生產
ースウェーデンのポールスター、英国のMG、米国のテスラ
ー欧米EVメーカーも、中国政府から補助金の恩恵
’ビジネス+IT’掲載記事からSummaryをお届けします。
中国が自動車輸出で世界一:
Figure 1: China’s automobile export volume has overtaken Japan in the first half of 2023
中国が、自動車輸出台数で日本を追い抜いた。
欧州・東南アジアで、中国製EVの輸出が、市場を席巻し始めている。
日本の自動車関係者からは危機感の声が聞かれる。
中国生産EVの内訳:
1.その40%を占めるのが米国テスラである。
2.また、10%が欧州メーカーのブランドだ。
中国製EVの世界進出:
データを基に、輸出動向を読み解いてみた。
’EVにおける中国と欧米との関係性の変化’が見てとれる。
中国海関総署(税関)の通関統計:
1.2023年上半期、中国の自動車輸出台数は234万1000台。
2.日本自動車工業会発表の、日本の輸出台数は202万3000台。
中国が日本を抜き去り、世界最大の自動車輸出国となった。
中国輸出台数の内訳:
Figure 2: Trends in the export volume of EV and ICE vehicles in China
2023年上半期の実績:
1.’中国のEV輸出台数(PHVを含む)は、全体の1/3’。
2.’残り2/3は、内燃機関(ICE)自動車’である。
3.ただし輸出金額ベースでは、EVが全体の52%を占める。
純粋な中国ブランドは半分:
Figure 3: Looking at Chinese EV exports by manufacturer, Western companies account for half of them.
’中国製EV輸出のおよそ半分’は、’欧米自動車メーカーの製品’である。
純粋な中国ブランドは、全体の半分にすぎない。
欧州における中国製EVの輸入:
Figure 4: Western manufacturers account for over 91% of new Chinese EVs registered in Germany
ドイツの中国製EV比率:
2023年1~6月、ドイツで新車登録されたEV。
中国製は全体の11.2%に相当する3万2000台であった。
中国製EVの内訳:
スウェーデンのポールスター:24.7%
英国のMG:23.1%、
米国のテスラ:21.8%、
ルーマニアのダチア:9.9%、
ドイツのスマート:6.1%、
ドイツのBMW:5.6%、
中国固有のブランドは、全体の8.8%にすぎない。
中国と欧州メーカーの資本関係:
1位のポールスター:
その親会社はボルボ ・カーズ・グループだ。
ボルボの株式の8割を浙江吉利控股集団(ジーリー)が保有。
2位のMG:
上海汽車グループ(SAIC)の支配下にある。
6位のスマート:
ジーリーと独メルセデス・ベンツの合弁子会社だ。
ドイツで販売される中国製EV:
1.全体の91%以上は、’欧米メーカーのブランド’だ。
2.全体の53.9%は、’中国資本所有の欧州メーカー’が生産したもの。
もちろん、BYDなどの中国ブランドを海外でも広める。
3.中国製EVは、中国資本の欧州ブランド名を用いる。
4.狡猾に、中国製EVが全体のシェアを高めているのだ。
ローディアム・グループ:ナルギザ・サリジャノバ中国担当部長
中国の手口:
1.本来の競争力や技術革新力による手法ではない。
2.中国政府は国内メーカーに対し、補助金を使い全面支援した。
欧米が中国製EVを批判:
しかし、’欧米が、中国製EVを批判することは、諸刃の剣’なのだ。
なぜなら、
’中国生産を行う欧米EVメーカー自身’が、’中国政府の補助金政策の恩恵’を受けてきた。
テスラの上海ギガファクトリー:
上海ギガファクトリー、2022年の車両台数が、70万台を超えた。
テスラは、全世界生産台数の半分に上った。
中国の中央・地方政府:
2016~2022年:
570億ドル(8.5兆円)のEV製造・購入補助金支給や税控除を実施した。
テスラもその分け前にあずかった。そのおかげで、競争力が増した。
上海のコンサルティング
オートモビリティCEOのビル・ラッソ
中国のEV輸出攻勢は、中国国内需要の減速に起因している。
2023年から消費者向け補助金打ち切りが、
国内の供給過多を悪化させた。
年間1000万台の余剰EV生産能力がある。
北米の2022年全生産量の2/3にもなるのだ。
中国で国産ブランドが優勢
2022年中国で販売されたEVの80%は、国産ブランドである。
欧米ブランドは苦戦し始めている。
2023年9月、テスラの中国販売台数は前年同月比で10.9%も減少した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/783687595d3699929752e0262a333d3463ccbc40