NYの市民:熱中症で毎年350人死亡 NYC residents: 350 people die from heatstroke every year 紐約市民:每年有350人死於中暑

NYの市民:熱中症で毎年350人死亡
NYC residents: 350 people die from heatstroke every year
紐約市民:每年有350人死於中暑

1.米国で、熱中症による死亡者が急増中

2.2020年、全米の12%、1270万戸にエアコンがない

ロイター掲載記事からSummaryをお届けします。

ニューヨークの夏:猛暑関連死亡例に関する報告

2024年版を、ニューヨーク市が発表した。

1.毎年350人のNY市民が、猛暑のために命を落とした

2.最も重要なリスクは、賃貸住宅の家庭に、エアコンがないこと。

Air conditioning accounts for about 12% of U.S. home energy expenditures - U.S. Energy Information Administration (EIA)

最新の米国世帯統計:

2020年の時点で、全米の世帯数の約12%(=約1270万戸)にはエアコンがない。

易な冷房機器を持っている世帯は多い。しかし、熱波に対抗できない。

City adds air conditioners to heat response strategy

ボストン大学の調査:

2022年、米国内115都市圏を対象に調査した。

エアコン機器が無い家庭は、賃貸入居者のうち、低所得層である。

世界保健機構:

 毎年、世界全体の気候要因死亡例の中で、最も多いのが熱中症によるものだ。
しかも、こうした死亡例の多くは、室内で発生している。
 Air conditioning: How many US homes use central air con? | World Economic Forum

 ロイターが全米50州を調査:

 ロイターが、全米50州の住宅規制を調査した。
1.半数近くの州が、’家主に対して、既設の旧式エアコンを使うこと’を義務付けている
2.新型のエアコン設置を義務付ける州は、一つもない。
米国の賃貸住宅に関する規制:
新型エアコンは、上下水道や暖房設備と大きく異なる。
3.新型エアコンを、必須設備として扱う州が、米国に一つもない。
4.一方、賃貸住宅に対し、室温上限基準を定める州が、急増中。
 Austin inches closer to air conditioning mandates for residences | Community Impact

 米国の不動産法令を検証:

 ロイターが不動産法令を検証し、10名の政策担当者及び住宅規制当局者に取材した。
1.エアコン設備義務付けを導入した米国自治体は、直近5年間で急増。
2.ニューオーリンズ市、ネバダ州クラーク郡など、6カ所あることが判明した。
それ以前の20年間では、米国で僅か7カ所のみだった。
 
米国の室温上限基準・規制案:

今、ニューヨークとロサンゼルス、オースティンで、賃貸住宅に室温上限基準を課す規制案が提出された。

1.ニューヨークの規制案では、上限が摂氏26度とされた。

2.オースティンの規制案では、上限が摂氏29度とされた。

3.ロサンゼルスでは、まだ規制案の目標値が決まっていない。

ロサンゼルスでは、賃貸住宅を改修して、空調・換気対策を行うことは無理だ。

家主側の有力ロビー団体が反対:

家主側の有力ロビー団体が、反発を強めている。

1.近年、カリフォルニア、テキサス、アーカンソーで、類似の規制が廃案となった。

2.エアコン設備の追加コスト負担には、家賃引き上げが必要と主張した。

家主のロビー団体:カリフォルニア・アパートメント・アソシエーション

州政府対応担当の執行副総裁デブラ・カールトン氏が語った。

1.経済的方法が見いだせない限り、協会は冷房設備導入の義務化を支持せず。

2.2022年提出のカリフォルニア州法案が、家主側の反発で廃案となった。

 

Mayor Adams unveils long-term climate plan for the city

ニューヨーク市が検討中:

アダムス市長が、2030年までの夏季の室温規制導入を、政策目標の1つに掲げている。

7月の提出規制案では、賃貸住宅で、’外気温が28度以上の場合、室温を26度以下に抑えること’を義務付ける。

規制案提出者のリンカーン・レスター市議:

規制案が承認されれば、エアコン設備のない75万人の賃貸人に、恩恵を与えると語った。

A graphic showing the percentage of households with air conditioners around the world

今年度の国連報告:

2000─2019年モデル推定で、年間48万9000人が熱中症で亡くなった。

米国の疾病管理予防センター:

2021年の1602人に対し、2023年は2302人が熱中症で死亡した。

ただしこのデータは、は大幅な過小評価になっていると指摘している。

Maricopa County is fastest growing ...

アリゾナ州マリコパ郡の状況:

屋内・屋外での暑熱関連の死亡例を追跡している数少ない場所の1つが、アリゾナ州マリコパ郡だ。

ここでは気温が摂氏43度を超えることも珍しくない。

Phoenix vs Tempe AZ : r/skyscrapers

フェニックスとテンペの対応:

郡内の2つの都市、フェニックスとテンペでは室温上限規制が導入されている。

しかし、昨年屋内での熱中症死亡者が156件記録された。この10年で5倍の増加だ。

2023年フェニックスとテンペは、室温上限規制を導入していない郡内の他都市に比べ、数値は悪くない。

公衆衛生統計:

熱中症の死亡例全体のうち屋内の比率は、

1.フェニックスでは21%、テンペでは17%だった。

2.郡内の平均では24%、スコッツデール及びメサの2都市では32%を超えていた。

オレゴン州とワシントン州の対応:

ここ数年の記録破り熱波で、両州は新規制導入を後押ししている。

2021年「ヒートドーム」現象が、太平洋岸北西部を襲った。

入居者が自らエアコンを設置する法案:

入居者が、自らエアコンを設置する措置を承認した。

1.オレゴン州は22年に、入居者が自らエアコンを設置することを承認した。

2.ワシントン州スポケーンは24年に、入居者が自らエアコンを設置することを承認した。

アーカンソーのホットスプリングスの状況:

だが米国で最も気温の高い都市が、安全な室温維持の法律を制定できずにいる。

アーカンソー州の山岳地域:

ホットスプリングスは昨年、賃貸住宅における冷房基準に関する規制案を廃案とした。

ホットスプリングス市理事会のフィリス・ベアード氏によれば、家主団体からの抗議によるという。

Austin, Dallas, or Houston ...

 テキサスのダラス、エルパソ、ヒューストン:

またテキサス州議会下院のシェリル・コール議員が地元メディアに語った。

ダラス、エルパソ、ヒューストンの各都市は、室温基準を定めている。

州レベル法案は昨年、テキサス・アパートメント・アソシエーションの反対により否決された。

オースティンは現在、新たな規制案を検討している。

高温多湿なフロリダ州の対応:

2021年以降、4回エアコン設置義務付けを試みたが失敗してきた。

1.多湿なフロリダでは、エアコン設置は経済的に理にかなう。

2.エアコンには除湿機能があり、物件のダメージを防ぐ機器だ。

ジェイソン・ピッツォ州上院議員(民主党)は、複数の家主協会と意見交換した。

その結果、今後2年以内に規制を導入できると自信を持った。

ロサンゼルス郡の家主協会:

ロサンゼルス郡の家主協会が、室温基準規制案への反対を強めている。

1.集合住宅で、エアコン設置案が可決されると、家賃上昇で強制退去が起きる。

2.賃貸住宅改修期間が30日以上の場合、家主が入居者を退去させることができる。

空調設置のためのモデル費用:

米国住宅検査協会が、空調設置のためのモデル費用を算出した。

1.集中空調システムを導入するには、通常5000─1万ドルかかる。

2.窓枠設置型エアコンの導入には、400ドルのコストがかかる。

3.旧式住宅でエアコン機器を使うには、電気系統の更新も必要になる。

https://jp.reuters.com/markets/global-markets/4XUB4VBST5K5LLGWHIP7Q2JBYA-2024-08-11/