日本製鉄:USスチールを買収
Nippon Steel: Acquires US Steel
新日鐵:收購美國鋼鐵公司
・CO2回収・利用・貯留(CCUS)を推進
・USWは、USスチール買収に反対へ
ジェトロ掲載記事からSummaryをお届けします。
日本製鉄とUSスチール:
12月18日、日本製鉄が、USスチールを141億ドル(負債を含む総額149億ドル)で買収することで最終合意した。
USスチールの株価:
12月18日、USスチールの株価は、市場前の取引で29ポイント急騰した。
世界鉄鋼協会:
1.日本製鉄は、年間6,600万トンの鉄鋼を生産している。
2.USスチールは年間2,000万トンの鉄鋼を生産している。
今回の買収で、日本製鉄は、中国の中国宝武鋼鉄集団に次ぐ、世界2位の鉄鋼メーカーとなる。
日本製鉄のプレスリリース:
世界経済の構造の変化を背景に、鉄鋼などは安価なエネルギー。
1.エネルギーなど鋼材需要分野で、米国内回帰の動きが顕著である。
2.また、米国鋼材市場は今後も安定的に伸長すると見込まれている。
米国は、先進国最大の市場で、高水準の高級鋼需要を期待できる。
本買収の意義:
1.インド、ASEAN、米国に鉄源一貫製鉄所を持つことの効果が大きい。
2.先端技術を融合することで、2050年カーボンニュートラルを推進する。
日本製鉄の取り組み:
水素還元製鉄の生産:
1.2021年3月、大型電炉での高級鋼・量産製造を開始。
2.水素還元製鉄の研究開発、製造システムを完成した。
水素還元製鉄とは?
炉の中で鉄鉱石から鉄を取り出す方法のこと。
従来どおりのコークス(炭素)ではなく、
水素を使うことでCO2排出量を削減する。
CO2回収・利用・貯留(CCUS):
カーボンオフセット対策などを複線的なアプローチで、カーボンニュートラルを目指す。
USスチールの取り組み:
2021年4月に、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロとする目標を発表した。
日本製鉄:橋本英二CEO
本買収により、米国における当社のプレゼンスをさらに強化する。
USスチールの既存労働組合との関係性を尊重していく。
両社の強みを結集し、USスチールと協働することを楽しみにしている。
USスチール:デビッド・ブリットCEO
本日の発表は、米国鉄鋼業の競争力を確保する、
米国鉄鋼業の世界的地位を強し、米国に利益をもたらすもの。
複数のUSスチール買収提案:
ブリットCEOが、8月13日のプレス発表で明らかにしていた。
USスチールは、日本製鉄を含め、複数の買収提案を受けていた。
米国鉄鋼メーカー:クリーブランド・クリフス
米国鉄鋼メーカーのクリーブランド・クリフスから、買収提案を受けていた。
ブリットCEOは、’クリフス側は、買収における標準的なプロセス(秘密保持契約の締結など)を拒否した’のだ。
その為USスチールは、’クリーブランド・クリフスの提案を拒否した’と発表。
USスチールの歴史:
米国最大手の鉄鋼メーカー。
1901年、初代エルバート・ゲーリー会長と、ジョン・ピアポント・モルガン氏が率いていた連邦鉄鋼会社。
アンドリュー・カーネギー氏所有の鉄鋼会社を買収したことで創設された。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/23d81f99dc5912c3.html
USW:日本製鉄のUSスチール買収に反対
・全米鉄鋼労組と上院議員らが反対
・買収計画の入念な審査を強く要望
Bloomberg掲載記事からSummaryをお届けします。
全米鉄鋼労働組合(USW):
12月18日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に反対を表明。
買収計画の入念な審査を、米規制・監督当局に強く求める方針だ。
USW:デービッド・マッコール国際会長
国際会長の発表資料:
この買収が労働者にプラスとなり、米国の国家安全保障上の利益にかなうかどうか?
USWとして、米当局に厳格な審査を求める。
USWの従来の主張:
これまで、USWは、
1.’外国企業によるUSスチールの買収’を支持しない。
2.クリーブランド・クリフスの買収提案(8月公表)だけを支持した。
クリーブランド・クリフスの買収提案は、72億5000万ドル(1兆400億円)
米議会の上院議員:
米議会でも少なくとも3人の上院議員が、外国企業によるUSスチール買収に反対する。
USスチールはペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置く。
ペンシルベニア州の議員:
同州選出のボブ・ケーシー議員(民主)と、オハイオ州選出のシェロッド・ブラウン議員(民主)が18日に批判を表明。
批判は、’両州は、重要な激戦州である点を考える’と、特に注目に値する。
議員は来年の選挙に向け、ブルーカラーの支持獲得を目指している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-18/S5VED9DWX2PS00