日本企業対応:英EU離脱への備え – 金融、製造、製薬:
Japan’s Brexit response: Efforts to prepare for the Brexit – Finance, manufacturing,pharma:
日本企业的回应:努力准备退出欧盟 – 金融,制造业,制药业
2019年1月30日
イギリスに拠点を置く日本企業の間では、イギリスのEU離脱に備える動きが出ています。
金融機関
EUには、1つの加盟国で当局から認可を得れば、ほかの国でも事業を行える「単一パスポート」制度があります。
しかし、イギリスで認可を受けた金融機関は、離脱後、EU域内での事業が制限される可能性があります。
「野村ホールディングス」、
ロンドンの拠点に加えて、ドイツのフランクフルトにも新たに拠点を設けます。
去年6月に金融当局から認可を受けました。
「大和証券グループ本社」:フランクフルト
「みずほ証券」:フランクフルト
「SMBCグループ」:フランクフルト
「三菱UFJ証券ホールディングス」:オランダ・アムステルダム
EU域内での営業に必要な免許をすでに取得しています。
製造メーカー
イギリスに拠点を置く日本のメーカー各社の間では離脱に備える動きが広がっています。
ソニー:
ヨーロッパ事業を統括するイギリスの現地法人を通じて、日本やアジアの工場から輸入したテレビやカメラなどの製品をEU域内に輸出しています。
ことし4月から貿易手続きを行う拠点の登記を、イギリスからオランダに移すことを決めました。
一方で、ヨーロッパ事業・統括業務と従業員を、イギリスに残すとしています。
パナソニック:
ヨーロッパでの本社機能を、去年10月、機能の一部をオランダの拠点に移しました。
ホンダ:
離脱後、EUから部品などの輸入が滞った場合には、4月の操業を6日間休止する計画です。
トヨタ:
離脱後の輸入の遅れに備えてイギリスの工場の操業の一時停止を検討しています。
日産自動車も対応策を検討しています。
製薬会社
エーザイ:
これまでイギリスで承認を受けた医薬品をEU域内で販売してきました。
ドイツの拠点を増強し、EUとイギリスの双方で承認が得られるよう態勢を見直す方針です。
物流が滞る事態に備え、イギリス国内で原材料の在庫を増やすことにしています。
大塚製薬:
医薬品の承認などの拠点をロンドンに置いています。
新たにオランダにも拠点を設ける方向で検討しています。
「合意なき離脱」
「合意なき離脱」が現実になると、イギリスに拠点を置く日本企業への影響も避けられない見通しです。
まず、イギリスとEUの間の物流への影響です。今より時間やコストがかかるおそれがあります。
労働力の確保にも、影響が出ると見られています。
イギリスの工場などでは、EUから移り住んだ外国人労働者が働いています。
こうした人たちの労働条件が、より厳しくなる可能性があります。
イギリスに進出している日本企業が、EUとの間で顧客や従業員などの個人データをやり取りする際、
新たな許可が必要になる懸念もあります。
NHKニュース