Rapidus:2nm半導体作製に成功
・2nm半導体・量産化へ大きな一歩
・2027年後半、自動工程が稼働へ
勝又壽良のワールドビューからSummaryをお届けします。
Rapidus (東京):小池社長:
2nm半導体「IIM-1(イーム・ワン)」の試作に成功した。
7月18日千歳市の工場で、回路幅2nm半導体の試作に成功した。
2nmの動作性能を確認:
7月10日、「2nmのトランジスタ(半導体素子)の動作を確認した」ことを明かした。
「顧客候補が十分に満足していただける動作性能を確認できた」と語った。
IIM-1(イーム・ワン)試作に成功:
試作したのは、電流を制御する「トランジスタ」という最先端の部品。
1.最新技術のゲート・オール・アラウンド(GAA)構造だ
2.7月10日、ゲート・オール・アラウンドの正常動作を確認・検証した。
2027年までの量産目標に向け、順調な進展をアピールした。
世界の大手ファウンドリー:2nm開発の進捗状況:
台湾TSMC:
TSMCは、25年後半に2nm量産を始める。
TSMCは、28年に次世代1.4nm量産に乗り出す。
韓国サムスン:
サムスンは、25年内に2nm量産の予定だが、サムスンの2nm商業化は無理である。
現在「5nm」の歩留まり率ですら、「20~30%の赤字ゾーンで停滞している」のだ。
米国インテル:
インテルは、25年内に、1.8nm量産の予定だが、サムスンと同様、商業化は無理だ。
現在「後行程の自動化を、日本企業に依頼している」など、遥かに遅れている。
米調査会社オムディアの試算:
Rapidusの生産能力:
12インチウエハーで、月産7000枚程度。量産時には2.5万〜3万枚に増える。
TSMCの生産能力:
12インチウエハーで、TSMC主力工場は10万枚だ。Rapidusは、生産規模でTSMCに敵わない。
Rapidusの試作品:2年間で開発:
小池社長は記者会見で、「考えられないスピード」と胸を張った。
1.23年9月、北海道千歳工場の着工を開始。
2.24年12月25日、EUV(極端紫外線)露光装置を搬入。
3.25年4月1日、2nm半導体・試作ラインを立ち上げた。
今後の計画:前工程・量産化のレベルアップ:
1.今年中に、チップ設計に必要なPDK(プロセス・デザイン・キット)最新版を顧客候補に配る。
2.顧客候補のメーカーは、PDKを基に、Rapidusの技術を評価できる。
来年3月末までに、顧客にPDKを示す計画・方針を明らかにした。
前行程と後工程の全自動化:
Rapidusは「前行程と後工程の全自動化」に、世界で初めて成功した。
後工程で、隣接のセイコーエプソン千歳事業所を活用する。
1.半導体の後工程・全自動化の拠点として、「パイロットラインの準備」を進める。
2.2027年後半には「前工程・後工程の一貫工程」をスタートさせる。
Rapidus:小池社長曰く:
Rapidusには「TSMCと、量産規模で競争する考え」はない。
「小ロットでも短期に納品する小回り経営」を指向している。
1.米国顧客は、米中の分断を意識し、セカンドベンダー(代替の供給元)を必要とする。
2.「GAFA」のような「巨大テック企業の開拓」が、Rapidusの販売ターゲットだ。
Rapidus量産化により、AI・データセンターや、自動運転ベンダーは、最新半導体を常時安定調達できる。
TSMC:海外工場の建設を急ぐ:
TSMCは、「Rapidusこそが、強力なライバルである」と視ている。
従来TSMCは、米国工場の建設に、それほど乗り気でなかった。
しかし、「Rapidusが、2nm開発に成功」のニュースが流れてから、急ピッチの建設にギアを切替えた。
TSMCが、海外で必死になっている理由は、「Rapidusの存在そのもの」にある。
https://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/38969831.html