アメリカと通貨スワップ協定を結んだ韓国銀行本店(ソウル) ©︎iStock.com
韓国:新型コロナウイルス感染者発生前後の株価指数/為替レート(対ドル(韓国取引所ホームページ)
韓国外貨準備高の推移(韓国銀行「ECOS経済統計システム」)
COVID-19:韓国経済最大の弱点:外貨準備高/通貨スワップ:
COVID-19: South Korea’s biggest weakness: foreign exchange reserves / currency swaps:
COVID-19:韩国最大的弱点:外汇储备/货币掉期
COVID-19:
ー通貨問題という“弱点”ー
韓国の中央銀行:韓国銀行
3月19日、米FRBと600億ドル規模の通貨スワップを締結したと発表した。
韓国政府がアメリカと通貨スワップを締結するのは今回が2回目。
1回目はリーマンショックによるグローバル金融危機があった2008年10月で、金額は300億ドルであった。
今回、韓国が「通貨スワップ」に動き出したのは、新型コロナウイルスの影響による
- ウォン安ドル高の進行、
- 株価暴落等金融市場の不安
- ドル資金の逼迫感を解消、資金流出/通貨下落を防ぐため。
新型コロナウイルス:金融市場の動き
韓国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された。
1月20日:
為替レート1ドル=1160ウォンであった。
- 3月18日:米韓通貨スワップ前日の3月18日には1ドル=1261ウォンまで下落。
- 3月19日:2月まで、2000ptの株価指数(KOSPI)が、3月19日には1458ptに暴落。
- 3月19日:アメリカと通貨スワップを締結、
金融市場不安が解消され、株価は少しずつ上昇、ウォン安も止まるなど金融市場は安定化され始めた。
外貨準備高:
- 1997年末:アジア危機が発生した時、外貨準備高は89億ドルた。
- 2020年3月末:時点は4002億ドルまで増加。
現在、通貨スワップで確保したドル及び外貨準備高の合計額は、約6000億ドルに至った。
このように大きな改善が見られた。
日本/韓国:通貨スワップ
- 2001年7月に20億ドル規模で始まり、2011年には700億ドルまで拡大。
- しかし2012年、日韓関係が悪化したため2015年2月に終了。
韓国の外貨準備高:増やさなければならない理由
しあkし、韓国政府はさらに外貨準備高を増やす政策を続けている。
一つ目の理由:
「韓国の通貨は、ドルや円のような基軸通貨ではない」からである。
アメリカ/日本の場合:
外貨が足りなくなった場合、「量的緩和を実施し、通貨を発行すること」で、外貨不足の問題を解決することができる。
韓国の場合:
しかし、自国通貨が基軸通貨ではない韓国は、「外貨が足りなくなると他の国から外貨を借りなければならない」
外貨が借りられないと通貨危機に直面することになる。
1997年:アジア通貨危機
当時、韓国では、ウォンの急落により外貨で借りていた借金が膨らんだ。
外貨準備高は39.4億ドルしかない。
結局、韓国はIMFに緊急支援を要請する羽目に陥った。
二つ目の理由:
「現在保有している外貨準備高が十分ではない」と、韓国政府が判断している。
最近、韓国学会/発表論文では、
- 韓国の外貨準備高の適正水準は、
- IMF:基準を適用すると6810億ドル、
- BIS:基準を適用すると8300億ドルである
と推計されている。
この推計結果と比べると現在、「韓国の外貨準備高は適正水準を大きく下回っている」
IMF基準やBIS基準には、短期対外債務額や外国人投資家/株式保有額などが含まれている。
韓国:短期対外債務額
短期間で返済する必要がある。
外国人投資家/保有株式は、韓国の景気が悪くなると、すぐ売られ、資本が海外に流出する可能性が高い。
韓国政府:
「韓国政府にとっては、依然として通貨スワップに、頼らざるを得ない」状況なのだ。
韓国の短期対外債務の対外貨準備高比は、低下傾向。
しかし、3割以上(2019年32.9%)を占めている。
文春オンライン