中国の半導体装置:露光プロセスの技術レベル Semiconductor Equipment in China: Technology Level of Exposure Process 中國半導體設備:曝光工藝技術水平

北美智權報第268期:中國芯的危與機

中国の半導体装置:露光プロセスの技術レベル
Semiconductor Equipment in China: Technology Level of Exposure Process
中國半導體設備:曝光工藝技術水平

ー日本のDUV露光装置の輸出規制ー

ー中国がArFi液浸露光を実現ー

遠藤誉・エキスパート掲載記事からサマリーをお届けします。

習近平どうする? 日米蘭が対中半導体製造装置輸出規制で合意 | 中国問題グローバル研究所

露光プロセスのレベル:

中国が、半導体製造の中で最も弱いのは、リソグラフィ技術を中心とした露光装置だ。

露光プロセスとは:

半導体は小さなチップに非常に細かい配線が描かれている。

配線パターンを「光照射」で、作ることを露光プロセスと呼ぶ。

日本の輸出規制開始:

日本は、7月23日半導体輸出規制を実行した。

まさに露光装置・プロセスを中心としたものだ。

ASMLの中国向け輸出:

世界の主な半導体メーカーの80%以上が、ASMLの顧客だ。

中国への輸出は、世界全体の15%を占めている。

従来、中国とASMLの仲は非常に良かった。

ASML、新たな対中規制をけん制-既存措置で「お手上げ」とCEO - Bloomberg

アメリカの対中制裁:

米国は、中国への半導体装置輸出に新たな規制をオランダに求めた。

ASMLは不本意ながら、アメリカに同調せざるを得ない立場に追い込まれた。

現在、世界市場の34.7%を占める。

ASMLのビジネス拠点:

2020年江蘇省無錫市ハイテクパークに、独自のビジネス拠点を設立した。

ASMLは、中国向けDUV(深紫外線)露光装置を、独自開発した。

これを中国本土に投入する計画を立てていた。

オランダ貿易相、半導体「軍事利用防ぐ」 対中輸出規制を拡大 - 日本経済新聞

米国とオランダ政府:

20236月、オランダは「91日から輸出管理法を実行すること」を決定。

今回の規制対象は、少数のハイエンドDUVEUV露光装置に限定。

ASMLは、「中国専用バージョンを中国で発売できる可能性」を残している。

中国は、「ASMLも、アメリカの被害者なのだ」と憤っている。

光源5世代のヒストリー:

光源5世代の歴史から、中国の開発レベルを分析した。

g線:1980年代に使われた波長の長いタイプ

i線:1990年代に使われた波長のやや短いタイプ

KrF:1990年代後半のクリプトン・フッ素レーザー光

ArF:フッ化アルゴンによるレーザー光線

EUV:5世代の中で最新バージョンだ

中国の光源開発:

中国は、4代目半のArFiに相当した光源を開発することに成功した。

中国科学院・長春光機所と、ハルビン工業大学が12wDDP-EUVの開発に成功。

このArFiの「i」は「immersion(浸潤)」の意味である。

対物レンズの開発:

露光装置の構成要素の中で、光学系が大きな要素の一つ。

ASMLの対物レンズ:

ASMLは、ドイツのツァイス社のレンズを独占使用。

日本の対物レンズ:

キヤノンやニコンは、自社レンズを持っている。光学メーカーとして有利だ。

 

 

中国の対物レンズ:

「長春奥普光電技術股分有限公司」が90nmを開発した。

「長春光機所」が32nmEUVレンズを開発中。

しかし、ツァイス社との格差は大きい。

半導体露光装置 | 製品技術 | Nikon 企業情報

デュアル・ウェハー・ステージ・システム:

1台の露光装置内で、同時に2つのウェハーを扱える、

露光と計測を同時に行うシステムのこと。

中国語では「双工台」と書く。

中国の「双工台」:

清華大学と華卓精科)が、10nm(移動精度)を実現した。

ちなみに、ASML2nmまで実現している。

液浸露光システムのレベル:

波長の短い光源を使った液浸露光システムを開発した。

たどり着いたのが「ArF液浸露光」と「EUV露光」だ。

ArF液浸露光とは:

光源として波長193nmの「ArF光源」を用いる。

この技術で、10ナノ世代の加工精度でパターンを形成できる。

浙江啓爾機電:

中国の「浙江啓爾機電」が、「ArFi液浸露光の実現」に成功した。

ASMLは、EUV露光で中国の先を行く

半導体/エレクトロニクス商社特集】急成長する中国半導体産業技術レベル向上で最先端に迫る | 電波新聞デジタル

中国はパワー半導体で勝負:

アメリカは、ハイエンド半導体製造での対中制裁を強化した。

一方中国は、線幅の大きいミドルクラス半導体製造にシフトする。

更に、パワー半導体製造を強化するのだ。

中国のパワー半導体:

2020年、中国のIGBTInsulated Gate Bipolar Transistor)の自給率は、20%だった。

2024年、自給率は40%に達すると予測されている。

アメリカが中国のハイテク36社・団体を輸出禁止対象に追加 「安全保障上の懸念」理由に:東京新聞 TOKYO Web

アメリカの制裁の有効性:

既に中国は、宇宙開発でもアメリカを凌駕した。

アメリカの対中制裁外交には、「賞味期限」があるのだ。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6a65579cd968bf1688062a18f07c0d2e0d6262c1