日本製鉄:中国・宝山製鉄を切り捨て世界展開
Nippon Steel: Cuts off China’s Baoshan Steel and expands globally
新日鐵:放棄中國寶鋼,向全球擴張
・米国・インド・東南アジア3極体制を構築
・今夏、マイク・ポンペオ氏を買収の助言役に起用
勝又壽良のワールドビュー掲載記事からSummaryをお届けします。
日本経済新聞(8月10日)
「日鉄、3極で地産地消 米・印・東南ア、一貫生産 成長市場に進出」と題する記事を掲載した。
日本製鉄の海外戦略が歴史的な転換点を迎えている。
日中経済協力の一環で高炉技術を教えた中国・宝山鋼鉄との47年に及ぶ協力関係を事実上打ち切る。
1.中国・宝山鋼鉄の生産能力を7割削減する。
2.かわって米国、印度、東南アジアに経営資源を集中する。
世界3極で、高炉など上工程から一貫生産する「地産地消」の実現に挑む。
WSJ電子版(8月4日オピニオン欄)
USスチール買収の分析記事が、WSJに載った。
米トランプ前政権・国務長官のマイク・ポンペオが、分析記事を執筆した。
1.この合弁事業は、米国労働者と家族を第一に考えており、米国製造業に力を与える。
2.バイデン大統領は「米国製鉄に対する国家安全保障のリスク」と、誤解している。
米国の堅調な鋼材需要:
米国は、先進国では例外的に人口増加が続く。
2023年の3億3500万人から、2080年には3億7000万人に達する。
米国は、中国と異なり人口が増加。先進国で唯一の人口増国家である。それだけに大きな需要が見込める。
中国の不動産不況長引く:
中国は不況が長期化、鉄鋼需要が大幅に後退した。
日本製鉄は、中国・宝山製鉄との合弁事業を終了する。
8月29日、世界首位の宝武鋼鉄集団傘下の宝山鋼鉄との合弁事業から撤退する。
中国製鉄業は過当競争状態:
中国には粗鋼生産量で世界上位10社のうち6社が乱立する。
1.中国の不動産不況が長引き、鋼材需要が低迷。
2.生産は高止まりし、鋼材市場は過当競争の様相だ。
中国のEV生産も過当競争:
中国では、EVへの転換が急速に進んだ。
その為、日鉄が顧客の日系自動車メーカーは苦戦を余儀なくされている。
中国が急速に人口減少:
1.中国は、これから急速に人口が減っていく國だ。
2.そういう市場に、世界上位10社のうち6社が乱立。
典型的な過当競争へ落込み、中国の鉄鋼需要は減少を辿る。
新たに目指す海外ビジネスモデル:
海外で新たに目指すのは、、高炉・電炉の上工程から一貫生産するモデルだ。
世界3極での集中生産体制:
今後、米国、インド、ASEAN3極での生産に集中する。
日鉄の粗鋼生産能力は現在6600万トンだが、将来1億トンへ増やす方針だ。
インドの鋼材需要:調査会社スチールミント
1.インドの鋼材需要は、2023年の1億2000万トン。
2.2030年には1億9000万トンに増える見通し。
アルセロール・ミタルとの合弁事業:
印度は、人口増加とともにインフラ投資が盛んで、鋼材需要は増え続ける。
日鉄は、欧州アルセロール・ミタルとの合弁企業を通じ、インド西部で高炉2基新設を進めている。
1.2025年以降の稼働を見据え、一連の投資額は1兆円を上回る。
2.日鉄とミタルの合弁企業は、インド東部でも別の製鉄所の新設を計画。
韓国ポスコの動向:
インドを成長戦略の柱に据えるのは、世界のライバルも同じだ。
2022年、インドのアダニ・グループと合弁で、一貫製鉄所の建設計画を推進すると発表。
日本JEEの動向:
インド2位のJSWスチールに出資した。
エネルギー需要の拡大を見込んだ変圧器向け鋼板で合弁企業を立ち上げる。
日本製鉄の世界戦略:
1.品質や脱炭素技術で世界をリードし、グローバルでの存在感を高める。
2.USスチールを買収することが、日鉄を世界企業へ押上げるのだ。
日鉄は、品質や脱炭素技術で世界をリードする。
https://hisayoshi-katsumata-worldview.com/archives/36485212.html